ジャックダニエル

会いたいな。

そう思って恋人が友人に貰ったんだという飲み差しのジャックダニエルを口に含んでみた。

バニラ香、カラメル、甘味。メープルシロップの元となるサトウカエデの素敵な風味と芳香が充満する。

ストレートで飲んでもアルコール感を強く感じさせない。
ほんのり、くっと、胸が熱くなる。
初恋か。

若い頃、よくこのお酒を瓶のまま飲むのが好きだったという。
彼女が当時どんなことを思っていたのか少しでも知りたくて、同じように飲んでみた。

なんとなく自由になった気持ちになれるし、この飲み方はかなりうまかった。
結局彼女の気持ちは図り知れなくて、また会いたいと思うまでだったが。

お酒はそれこそ自分にとってタイムマシーンのようなもので。
この人に会いたいと思った時に、その人との思い出を口に含めば味の記憶を辿って
その時のその人に会える気がしてしまう。

会いたいといえば、もうだいぶ昔に亡くなってしまった祖父にももう一度会いたい。
余市育ちの祖父はとにかく、ウイスキーが好きな人間で、ニッカの余市をよく飲んでいた。
私にとってそのウイスキーを飲むことは、祖父に対面する事に近い。

微かな味の記憶を辿ってでも、会いたい。
そんな気持ちを持って飲むウイスキーは、何よりも愛しくて美味しいのだ。

#余市 #ニッカウヰスキー #jackdanielswhiskey
#ラガヴーリン

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