Global Scrum Gathering 2024に行ってきた

はじめまして、こんにちは。
株式会社タイミーでスクラムマスターをしているmahoです。
少し時間が経ってしまいましたが、5月にアメリカのルイジアナ州にあるニューオーリンズで開催されたGlobal Scrum Gathering 2024に参加してきました。
とても貴重な経験だったので、今回はそこで感じたことや学んだことをシェアできればと思います。内容としては現地参加で感じたことや、それによって起こった私の心境の変化などが中心です。

パリピの地、ニューオーリンズ

まず開催地となったニューオーリンズはジャズ発祥の地ということもあり、非常に賑やかな場所でした。5月の時点で体感として日本の真夏と同じくらい暑く、観光客らしき人たちもたくさんいました。

バーボンストリートの様子

特に有名なバーボンストリートは、明るいうちからガンガンに音楽が鳴り響き、お酒を飲みながら歩いている人ばかりだったので、通り全体がもはやクラブ!!バイブス!!といった感じです。付近を散策しているときに、何度かマーチングバンドやジャズバンドを見かけることもあり、地域全体に音楽が深く根付いている印象でした。
個人的には、カラフルな建物や繊細なバルコニーなど、植民地時代の影響が残るヨーロッパ風の街並みも目に楽しかったです。

ニューオーリンズの名物、ベニエ

GSGのライブ感

私がスクラムマスターになってからこれまでに参加したことがあるイベントは、GSG以外だと今年の初めに開催されたRegional Scrum Gathering Tokyo 2024しかないので、自然と二つを比較することになってしまうのですが、個人的にRSGTよりもGSGはライブ感と参加型の要素が強かったように感じています。
実際に会のオープニングやクロージング、各セッションにおいてもずっと座って聴いているという時間はありませんでした。どのスピーカーも必ず以下のように、参加者がいろいろな方法で自分の考えや意見をアウトプットできるギミックをいくつも散りばめていました。

  • 自己紹介を兼ねての簡単なゲーム

  • 参加者同士でのディスカッション

  • リアルタイムで映し出されるアンケート

  • 各々の環境を当てはめながら考えるグループワーク

  • テーマに沿ったメタファーを描いて見せ合う

私がGSGでの経験をメタファーで表現したもの

こうしたギミックはたまたま近くに座った人や同じグループやセッションにいた人とのライブ感的な交流を生み出し、現地で参加する意味合いをより強化していたと思います。
また、中でもシンプルに印象的だったのは、あるセッションを受けていて、ふと隣の部屋から別のセッション参加者たちの歓声が聞こえてきたときのことです。唐突にスピーカーが「こっちのほうが盛り上がっていることをアピールしよう!」と言い出し、カウントダウンの掛け声で、こちらのセッション参加者たちも負けじと声を張り上げるというシーンがありました。セッションそのものの内容には関係なく、些細なことではありますが、そのライブ感があるアクションによって会場が一体になった瞬間でした。
総じて、GSGのスピーカーはエンターテイナーとしての振る舞いを効果的に使いこなしている方ばかりで、たくさんのインスピレーションを受けて帰ってきました。

会期中にHands-on Scrumというプログラムがあって、チームで車を作っていくのが楽しかった
私たちのチームが担当した部品を組み立てているところ

ポジティブを分解する

GSGに足を運ぶまでは、初めてかつソロでの参加であること、英語もネイティブレベルではないことから、当然アウェイ感はあるだろうな〜という不安や、とにかくセッションを中心に聴いて、少しでも多く学びを得るぞ!という意気込みがありました。しかし、実際の参加体験を振り返って私が抱いた感想は、ポジティブにエンジョイできたな〜という気持ちです。
GSGは常にエネルギーで溢れた空間だったため、大きなパワーに圧倒される気持ちはあったのですが、一方で参加前に想像していたより、アウェイ感を気にするシーンがなかったことは自分にとって大きなギャップでした。また、セッション中のディスカッションだけに限らず、ランチタイムや合間の時間にも話しかけてもらう機会があり、参加者同士での交流が充実したものになったことも嬉しい驚きでした。
ここでの経験は、私にポジティブの持つ影響力が侮れないという気づきを与えてくれました。

書籍「SCRUM MASTER THE BOOK」では、スクラムマスターのメタスキルの一つとして、遊び心が挙げられています。私はこれまでその遊び心のことを、くすっと笑えるユーモアのセンスだとなんとなく解釈していました。それも間違ってはいないかもしれませんが、GSGで華麗なエンターテイナーたちを目にしてからは、遊び心=エンターテイメント的なギミックであり、それによって人々のポジティブな感情を引き出すことだと考えるようになりました。
そのうえで、私が実際に感じたポジティブな気持ちはどのように引き出されたのかを辿ってみると、図のように三つの要素が必要になると思いました。つまり、スクラムマスターがエンターテイナーとして振る舞うとき、意図的に相関し合うこの三つの要素を満たすことでポジティブは作れる!というのが今の私の仮説です。

  • Entertainment

    • 楽しめるギミックやアクションによって一体感を生む

  • Curiosity

    • 興味関心を持ち、相互に自己開示したコミュニケーションが起こる

  • Inclusive

    • 身内感などがなく、誰に対してもオープンな雰囲気を感じられる

私はスクラムマスターが乗り越えるべき最初の山場は、チームの関係性を構築することだと思っています。ポジティブやネガティブは自らの属性を強化して循環するため、もし私の仮説が的を得ていれば、ある程度の再現性を持ってポジティブを引き出すことができ、関係性構築のスピードをあげられるはずです。仮説が正しいかどうかはこれから実験していきます!

エンターテイナーになれ!

GSGから帰ってきて以来、いかにしてエンターテイナーになるかが私のテーマの一つになっています。現時点で取り組んでいる実験の一つは、入社者にアジャイルやスクラムの楽しさを伝えるオンボーディングの設計です。単純にアジャイルの価値観やスクラムの用語を説明するものではなく、そのエッセンスを体験できるオンボーディングにしたいと思っています。オンボーディングの内容については鋭意作成中ですが、絵本からインスピレーションを得ていて、そこにはもちろんポジティブを引き出す三つの要素も取り入れていくつもりです。
まずはここからエンターテイナー筋を鍛えて、GSGのスピーカーたちのような振る舞いを目指していきます!

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