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アグローと夜

小林大吾という推し詩人がいます。

推しってキャッチーだしファジーだから便利でつい使っちゃうけど、いつ使っても箱としてのしっくり感が無くて困っちゃう。Amazonの空き箱みたい。


好きな詩人です。
12年もファンやってて、こないだ、ようやく、初めて、ライブに行きました。

2022年12月13日(火)
「アグローと夜」
@元住吉POWERS2
タケウチカズタケ/小林大吾

きちゃった♡

詩人とライブの文字を並べたときの違和感すごいと思ったけど楽曲に合わせてポエトリーリーディングするタイプの詩人です。
最近はリーディングアーティストと呼ばれているようです。
こんな感じ。

曲も声も心地良いし物語としても楽しい
各種サブスクも出てるので聴いておくれ。
彼自身が手がけるアートワークも素晴らしいからぜひCDも手に取って欲しいところだけど。

まず1曲目(単位あってる?1篇?)は「紙芝居を安全に楽しむために」
配信音源だと4トラックに分割されているけど合わせると15分近い大作…
…を台本見ずでやり始めるから笑っちゃった。
カズタケさんのキーボードと合わせないといけないという綱渡り感と(マジかよ……)というフロアの緊張感はなかなか言葉で伝えられない……この曲でこんなにライブ感を感じることになるとは……。

紙芝居は音源だと安全教育ビデオのナレーションぽいんだけどライブだと演説みたいで、そもそもの内容もだいぶおかしいのに、それを固唾を飲んで見守る70人近い集団という構図がなかなかヤバくてマスクの下でかなりニヤニヤしてしまいました。

演説みたいと書いたけど、リーディングに合わせて身振り手振りする姿は舞台役者のようだったし、カズタケさんの演奏を聴いてリズムを取る姿は指揮者にも見えて、「これが生の小林大吾か……!」という感慨がありました。

今回、特に聴けて嬉しかったのは「処方箋」、「ジャグリング」の2曲。
この2曲は12年前にラジオで流れてきて、あまりの衝撃に近所のタワレコまでダッシュさせられた思い出の曲です。
処方箋はそもそもカズタケさんとの共作だしジャグリングは今回のアグロー案内で再録されていたので、「今回ぜったい両方やるやつ!」と思ってチケットを取りました。両方やりました。

12年間死ぬほど聴いてきた2曲だけどやっぱりライブだとその瞬間の物になっていて最高だった……。
めちゃくちゃ好きな1節の「悩み多きウェルテルの末裔諸君!〜」もめちゃくちゃパワーあって震えた……。

「名探偵山本和男」シリーズを演奏するコーナーはエピソードトーク含め、カズタケさんの魅力と演奏にフォーカスしていて良かった。
体育祭と卒業式の音楽を自ら作曲する学生ってなんだよ……。(卒業式にヴァン・ヘイレン流れる高校も変だけど)

大吾さんとカズタケさんがお互いに好きなことをやろうという企画がアグロー案内ということを理解できた。
この先のアグロー案内に収録予定のクライマックスシーン、エンディングテーマを試写会として聴けて嬉しかったしめちゃくちゃ笑った。
山本和男、加藤一(はじめ)、森脇(モリワーキー)教授の今後の展開が気になって仕方ない。

MCも漫才みたいなやりとりで面白かった。
いかにライブをさせるかみたいな話でちょこちょこ大吾さんがむずがってて笑った。

MC含めて印象的だったのは「ラストノート」で、「最初の頃を思い返して、カズタケさんとここから仕切り直そうと思って今回のために書いた」(うろ覚え)というのを聞いた後に詩に注目すると、書くことへの向き合い方について綴られている気がしてジーンと来るものがあった。

全曲素晴らしかったんだけど語彙を使い果たして「最高」としか浮かばなくなってきたので〆る。
セトリはこんな感じ

※順番曖昧
※間奏者たち後に休憩(だった気がする)(曖昧)

アグロー案内+the 3という感じ。
(棘と山本和男シリーズは今後のアグロー案内に収録予定)

これが初めて生で観る小林大吾のリーディングになったわけですが凄まじかったですね。
トークパートでカズタケさんも言ってたけど音源には無い間というか、大吾さんとカズタケさん2人が対峙してるからこそ産まれるドライブ感。
音源としてひたすら聴いてきた詩が活きた言葉(呼吸とか間にナマモノ感が感じ取れるの意)として届いてくるというか……。
ライブというだけでここまで声と言葉の手触りが変わってくるものなのか……。

(the 3そういえば買い忘れてたな……)と思って会場物販で買ったらカズタケさんと大吾さんにサインして貰ってしまった……。

家宝

そして憧れの詩人に握手してもらって会場を後にしたというワケ……。最高の夜だな。