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(11個の目的別)M&A業務で役に立つ!オススメ書籍43選。本の感想付き。(筆者が本を読むにつれてコッソリ増えていきます)

※最終更新日:2022/4/21

この記事では、これまで出会ったM&Aに関する書籍の中から、個人的におススメできる本を11個の目的別に紹介します。

M&Aの専門家、特に会計税務アドバイザー向けの本がメインですが、買い手の経理部の方、顧問先からM&Aについて相談を受ける各士業の方にも役に立つかと思います。

「この本買おうか悩んでいるけど、実際使えるのかな?」
「こういうこと調べたいんだけど、オススメの書籍はどれだろう?」
とお悩みの方に参考になります。

※もし調べたい本があれば、「Ctrl + F」で検索してみてください。

ちなみに私が作成している記事は、これまでの実務経験に加え、これらの書籍で得られたナレッジで成り立っています。

書籍を活用されるM&A業界の皆様の参考になれば幸いです。

※私の専門は大企業同士のM&Aではなく、中小企業M&Aとなります。
※評価は完全に私の独断と偏見での評価ですので、ご了承くださいませ。



1.M&A実務で役に立つ、常にデスクに置いておきたい本(4冊)

まずは実務家の方が常に手元に置いておきたい本の紹介です。

評価★★★★★ 「中小企業M&A 株式譲渡の税務」
どなたにでも自信をもっておススメできる1冊がこちら。
M&Aの会計税務に関する各論点が、網羅的に読み手に易しく載っています。
教科書的な論点ではなく、実務で即使えるノウハウが多数散りばめられています。「痒い所に手が届く」すばらしい実務本です。従来からの改訂版で内容がさらに充実。アドバイザーはデスクに1冊あると重宝します。作者はM&Aセンター出身の税理士・村木氏。


評価★★★★☆ 「サクサクわかる!M&Aの税務」
こちらは会計税務アドバイザー向け。
組織再編に関する基本的な税務知識はこの1冊でマスターできます。
佐藤信祐先生の書籍は良書が多いですが、中でもこちらは初学者でも読みやすく書かれています。


評価★★★★★ 買い手の視点からみた中小企業M&AマニュアルQ&A(第2版)
中小企業M&A実務で問題となりやすい法務論点についてのリアルな対応方法が、網羅的かつ詳細に記載されています。株主や不動産、労務についての問題から、最終契約の諸条件の決め方など。法務的な問題にぶつかったときの強い味方となります。内容は細かいので辞書的に使うのがおススメです。



評価★★★★☆ サクサクわかる!株主対策の税務
中小企業でよくある株主に関する問題について、実務的な対策を分かりやすく解説。特に、株式の「時価」に関する相続税法、法人税法、所得税法の体系的な整理は分かりやくまとめられています。M&A実務で遭遇する論点が多いので、実務家には一読をオススメします。



2.M&Aのスキーム検討に役立つ本(6冊)

M&Aのスキーム検討に役立つ書籍です。
「スキーム構築時の発想力を磨いたり、着眼点を増やすために読むべき本」と「検討しているスキームについて辞書的に使う本」に分けられます。


評価★★★★☆ 税務コストをへらす組織再編のストラクチャー選択(第2版) 
佐藤信祐先生のストラクチャー本。
具体的な数値例を交えて様々なシチュエーションでの税負担を検証しています。ストラクチャー構築の基礎が身に付きます。
M&Aの税務アドバイザーとして一読すべき本です。


評価★★★★☆ 目的別 組織再編の最適スキーム
目次がスキーム別に整理されているので検索性が高く、欲しい情報に素早くアクセスできます。
深めの論点には触れられていないものの、基本的な会計税務処理をサッと調べたいときに便利な本です。


評価★★★★☆ 中小企業M&A実務必携 M&A手法選択の実務
多数の成約数を誇る日本M&Aセンターならではの事例本。共同株式移転や非適格分割型分割など、特殊な事例も掲載。会計税務面だけではなく、法務面の手続やスケジュールまで解説されている点が類書との差別化になっています。


評価★★★★☆ M&A・組織再編スキーム発想の着眼点50(第2版)
宮口徹先生のスキーム本。
以前不明点についてメールさせて頂いたところ、丁寧にお返事を頂けて大変助かった経験があります。
タイトル通りバリエーション豊かにスキームを紹介していますので、スキーム構築の着眼点を増やしたい方はぜひ。


評価★★★★☆ 「M&Aスキーム」選択の実務
上場会社のM&A事例をスキーム別に紹介している異色の書籍。
この本の特徴は、TOBや第三者割当増資、三角株式交換や持株会社化など、普段実務ではなかなか経験しない珍しい実例が掲載されている点です。
上場会社の実例をさっと調べたいときに重宝します。


評価★★★☆☆ 実務目線からみた税務判断 ~実務で直面する厳選20事案~
実務で遭遇する税務論点を深く検討している税務本。
M&Aの書籍ではありませんが、M&A実務でもよく論点になる株主への資金還流や事業譲渡vs会社分割、役員退職金などの論点が盛り込まれています。実務家は一読の価値ありです。対談形式がより一層理解を深めてくれます。
平成26年の本です。


3.会社法上の論点について参考にする本(3冊)



M&Aプレイヤーなら押さえておきたい会社法上の手続。
中小企業M&Aの現場で役に立つ実務本と、いわゆる組織再編本に分かれます。

評価★★★★★ 中小企業M&A実務必携 法務編 第2版
基礎的な会社法上の手続きを確認したいときはこちら。
M&Aに必要な意思決定や手続きについて網羅的に確認することができます。


評価★★★★★ 会社分割ハンドブック(第2版)
会社分割に関する書籍といえばこれ。
個人的には最も深い論点まで検討されている本だと思います。
条文の趣旨を知りたいときやイレギュラーな場面においても頼りになります


評価★★★★☆ 事業譲渡の理論・実務と書式
事業譲渡を専門に扱う書籍は意外と少なく、その中でオススメなのがこちらです。
労務分野や登記・担保など、実務で気になる点までカバーされています。



4.固有の論点について深く知りたいときに活用する本(5冊)

固有の論点について深く掘り下げている良書がたくさんあります。


評価★★★★★ Q&A持株会社化の考え方と進め方
「持株会社化」をテーマにした貴重な本。
持株会社化のメリット・デメリットを中心に、実務上の知りたいポイントがしっかり載っています。
M&Aの買い手が持株会社化を検討している際にも役に立つ良書です。


評価★★★★☆ 親子兄弟会社の組織再編の実務(第2版)親子会社間・兄弟会親子会社間および兄弟会社間の組織再編に特化した実務書。
「兄弟会社間の無対価吸収分割に債権者保護手続は必要か?」などといったマニアックな論点について、しっかり見解が述べられている気持ちのいい書籍です。


評価★★★★☆ みなし配当の税務
みなし配当の税務に特化した佐藤信佑先生の本。
オウブンシャ・ホールディング事件や日本スリーエス事件、日本IBM事件など、有名な訴訟がいくつも詳細に解説されている点が素晴らしいです。


評価★★★★☆ 不動産M&Aの税務
いわゆる不動産の譲渡を主目的とした「不動産M&A」について解説している珍しい本。こちらも作者は佐藤信佑先生。
不動産と密接なテーマである事業承継や相続まで考慮しており、スキーム構築の観点からも参考になります。


評価★★★★☆ カーブアウト型M&Aの実務
カーブアウト(一部事業等の譲渡)時の論点をピックアップしている実務書です。
大企業を想定してますが、中小企業にも当てはまる内容が多くて参考になります。
切り出す範囲の特定や、DDでのポイント、価格交渉戦略など、カーブアウト特有の視点が身に付きます



5.税務会計論点について最後に頼る本(2冊)

M&Aは何年・何百件とやっていても、これまで見たことのない論点に遭遇します。普通に調べたって分からないこともザラにありますが、そんなときの頼みの綱として使っている、心強い味方を紹介します。


評価★★★★★ M&A・組織再編成の税務詳解Q&A
M&Aで使われるあらゆるスキームについて網羅的に紹介されている本。
かなりマニアックな例まで触れられているので、スキーム構築を業務とする専門家は重宝します。


評価★★★★★ Q&A企業再編のための合併・分割・株式交換等の実務
2冊構成でジャンプ3冊分の厚さがあります。
なかなかのお値段ですが、確かにこの本にしか載っていない論点があったりするんですよね…。いざという時に頼りになる本です。


6.そもそもの税制の趣旨や考え方について学びたい人向けの本(3冊)

複雑な組織再編税制って、そもそもの趣旨を知りたくなるとき、ありませんか?
書籍やネットで調べたら答えは出るけど、なんか味気無い。物足りない。本当に合っているのかどことなく不安。そういう方は、税制の背景を一度学んでみることをオススメします。これまで腹落ちしなかった適格要件に、納得感が生まれます。


評価★★★★★ 組織再編税制をあらためて読み解くー立法趣旨と保護法益からの検討
白井一馬先生の書籍です。
特に組織再編税制の適格要件についての解説が秀逸です。この本を読んでいなったら、自分は今でも適格要件を丸暗記したままだったでしょう。
「どうしてその要件が求められているのか?」スッキリしたい方はぜひ。


評価★★★★★ 「むずかしい税法条文」攻略本
条文を読んでいる税理士にとって目から鱗となる本。
そもそもの条文の読み方から解説されていて、読みにくい条文が個別にいくつも説明されています。むちゃくちゃマニアックですが、刺さる人には深く刺さります。


評価★★★★★ そうだったのか!税法条文の読み方

そもそも税法にあまり触れてこなかった方は必読です。
私自身元々会計士で、M&A業界に入るまでは税法条文に触れる機会はほとんどありませんでした。
参考書に加えて税法までしっかり読んで身に付けたい方は、まずはこちらで税法の読み方をマスターすることを強くオススメします!



7.組織再編に関する失敗を防ぐために、一度仮想体験しておきたい本(3冊)


評価★★★★★ 組織再編税制の失敗事例
組織再編分野で突き抜けている佐藤信佑先生ならではの良書。
私自身も相当数のM&A案件に関与していますが、初めて知るマニアックな論点がいくつも紹介されていました。
「M&Aや組織再編分野の専門家」は読んでおくべき一冊


評価★★★★★ 組織再編税制で誤りやすいケース35
マンガテイストで論点が紹介されており、難しい内容もスラスラ読めます。上記と合わせて読むとさらに論点の守備範囲が広がります。専門家の方にはオススメです。


評価★★★★☆ 論点整理で見落としを防ぐ組織再編の税務リスク発見ガイド(第2版)
「繰越欠損金の使用制限・引継制限」と「特定資産の譲渡等損失に関する損金不算入制限」に関して、かなりマニアックな例外規定にまで触れられています。その点について他の書籍には無い価値があります。



8.業界別の特徴やリスクに関する情報がある本(10冊)

M&A案件と多数向き合っていると、どうしても業界特有の留意点が知りたい時が来ます。そこで業種別という観点で役に立つ情報が掲載されている本を紹介します。(もし他に参考になる書籍があれば、ぜひ教えてください!)


評価★★★★☆ 業種別M&Aの成功ポイントがよ~くわかる本
ズバリ、M&Aの観点から業種別の特徴を捉えた業界初の書籍
業種も豊富で、同じ飲食店でもパン屋や居酒屋など細かく分かれている点も嬉しいです。M&Aの実務家なら買って損は無い一冊です。


評価★★★★☆ M&A思考が日本を強くする
こちらは大きい業界を複数取り上げて、マクロな観点からM&A市場のトレンドを分析しています。各業界専任のコンサルタントが執筆しており、業界ごとに若干テイストが違うのも面白いです。


評価★★★★☆ 戦略的デューデリジェンスの実務
FAS出身の方に人気が高いKPMGの良書。やや古いですが、個人的にも全般的なDDの書籍として一番オススメできます。業種別のリスクについては、建設・不動産、通信・放送、ソフトウェア・コンテンツ、卸・小売、金融(保険・消費者信用)業界について掲載されています。


評価★★★★☆ 法務デューデリジェンスの実務
TMIの良書。全12業種の法務リスクポイントについて丁寧に紹介されています。中小企業においては馴染まないような大企業の論点もありますが、論点のエリアを広げておく意味で大変勉強になります。


評価★★★★☆ 中小企業M&Aにおける財務デューデリジェンスのすべて
累計800件のDD実績を誇る青山トラストの書籍。
中小企業M&Aに特化したDDのポイントが紹介されています。
実際のDD事例として、様々な業種の実例が参考になります。


評価★★★☆☆ M&Aを成功に導く 財務デューデリジェンスの実務<第4版>
製造業、建設・不動産、流通、サービス業について、財務DDでの留意点が解説されています。


評価★★★☆☆ M&Aを成功に導く ビジネスデューデリジェンスの実務<第4版>
個別の業種ではなく、製造業とサービス業について、BtoCとBtoB業界の4つに分けて記載されています。ビジネス的な観点からチェックポイントが解説されており、PMIにも役立つ内容となっています。


評価★★★☆☆ M&Aを成功に導く 税務デューデリジェンスの実務<第3版>
製造業、建設・不動産、小売、エネルギー関連、教育及び福祉、IT、コンテンツ業について、税務の観点から業種別のリスクポイントが紹介されています。


評価★★★☆☆ 業種別税務調査のポイントー国税調査官の視点とアドバイスー
業種別に税務調査の事例を紹介している稀有な本

事例も業種特有の内容が多いです。マニアックですが、税務アドバイザーは一読することで自分の引き出しが増えます。


評価★★★★★ 建設業法のツボとコツがゼッタイにわかる本
様々な規制のある建設業法について、1問1答式で大変分かりやすく解説されています。「建設業許可はどういうときに必要なのか」「経営管理責任者や専任技術者はどんな人が満たせるのか」など具体的に答えが示されています。建設業のM&Aを担当するアドバイザーは手元にあると便利です。
2020年10月の改正についても触れられています。



9.再生案件で参考になる本(2冊)

再生案件は独特の留意事項や税務論点があります。
私は再生の専門家ではありませんが、実際に実務で参考にしている書籍をご紹介します。


評価★★★★★ 実践的中小企業再生論〔第3版〕
再生案件に初めて関与した際に、ご一緒した支援協議会の方が手元で参考にされていました。再生実務のバイブルです。
DDレポートはこれをベースに作れば合格点が取れます。


評価★★★☆☆ ゼロからわかる事業再生60問60答
最近出版された1問1答式の再生本。
再生時特有の税制などについて検索しやすいです。


10.バリエーションについてとても頼りになる本(1冊)

といっても1冊です。
バリエーションで困ったときには、こちらの本でおおよそ解決します。

評価★★★★★ 企業価値評価の実務Q&A〔第4版〕
バリエーションの理論と実務を詳細に解説している良書。
特にDCFに関する疑問点は全て網羅されていると言っていいのではないでしょうか。
バリエーションの権威、プルータスの名著です。



11.M&A業界を知りたい方に、ぜひ一度読んでほしい本(4冊)

「M&Aって、大企業同士のマネーゲームでしょ?」
…自分にも、この業界には入る前はそう思っていました。
全然、ぜんぜん違うんです。
M&A業界について知りたい方に、読んで頂きたい本を紹介します。


評価★★★★★ 会社・社員・お客様 みんなを幸せにするM&A
日本M&Aセンター三宅社長の本。
M&Aって思っていたのと違う。人間臭く、泥臭く、ドラマティックで美しい。こんなにアツいのか。と思わせてくれる本。とても読みやすく、2時間ほどで読めます。


評価★★★★★ 約束のとき
M&Aを舞台にした名作。しかも実話で、登場人物も実在の人物です。
M&Aの現場感がこれほどリアルに伝わってくる本はありません。
中小企業M&Aを疑似体験したい人に強くオススメします。


評価★★★★☆ まんがでわかるオーナー社長のM&A
本や小説はちょっと…もっと気軽に読みたい!という方にはこちら。
中小企業M&Aについて漫画で疑似体験できます。
スラスラっと中小企業M&Aの雰囲気がつかめます。


評価★★★★★ あなたの夢を叶える!ネットでスモールM&A
今、流行のスモールM&A。
ネットで事業の売り手と買い手がマッチングされるなんてすごい時代ですね。そんな新時代のリアルがとても読みやすい漫画になっています。
「ネットでM&Aのいま」が、ここにあります


おわりに

いかがでしょう、参考になりましたでしょうか。

今後も役に立つ本・面白い本を見つけたら、随時更新していく予定です。

皆様も、オススメの本があればぜひ教えてください。

少しでも参考になりましたら、ぜひ「スキ」をよろしくお願いします!

私の活動が気に入って頂けた方は、少額でもサポート頂けると嬉しいです!