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古今ジャニオタ、幼馴染と私。

幼馴染のM実との付き合いは早いもので25年を迎えようとしてる。

私は田舎を離れ、東京で生活をしているので、彼女と会うのは年に数回程度しかない。

だが、先人たちがよく言うように、学生時代の友人は、どんなに離れた場所にいようと、会わない期間が長くなろうと、いつだって心の距離は近く、いつまで経っても親友で悪友だ。

1980年中頃、小中学校を同じ学び舎で過ごした私たちが憧れたジャニーズアイドルは、少年隊や光GENJIである。

トップテンやベストテンなどの歌番組を始め、歌謡曲が絶世期だった時代はアイドルに触れる機会も多かった。

誰もが経験するように、クラスメイトたちの話題の中心はテレビのネタが全てであり、協調性を求める子供たちは、話題についていけるよう、テレビにかじりついていた。

女の子はアイドル歌手、男の子は特撮ヒーローやアニメに憧れていた。

きっと今も変わらないであろうが、私たちも少ないお小遣いを握り締め、近所のスーパーにアイドルグッズを買いに行ったものだ。

下敷きとかシールとかの文房具をはじめ、プロマイドやキーホルダーなど、非公式グッズはあちらこちらに売っており、それらを持つことは子供ながらのステータスだった。

クラスメイトの女の子は、光GENJIの諸星くんの下敷きを男の子に取り上げられ大泣きしていたという、ホロ苦い思い出が懐かしい。

そして、小学高学年〜中学生になるとアイドル雑誌に触れる機会が多くなる。
姉がいる友人からのリークで、明星、平凡、デュエットなど、当時は漢字表記だったアイドル誌をみんなで読み漁ったものだ。

恋愛に興味を持ち始める思春期、自分の好みのタイプを考え、芸能人を恋愛対象として意識した。
M実はジャニーズの沼へ、私はバンドマンをカッコいいと思うようになっていったのだ。

そんなM実は高校生になり、陸上部のマネージャーになる。
この頃のM実はジャニーズをお茶の間ファンとして愛し続けながら、当たり前のような青春時代を過ごしていた。

そして来たるべき進路が決まった高校3年生の初冬、時間とお金に余裕ができた彼女は、満を持して本格的なジャニオタ生活へ突入していくのであった。

大学生になると、バイトで貯めたお金と長い夏休みを利用し、彼女はSMAPを追いかけ始めた。

M実は今の私と同じように、コンサートがあるたびに全国各地へ飛び回り、新曲が出るたびに全形態を買い揃えていた。

当時の彼女の部屋はSMAPのポスターが貼り巡らせており、その圧迫感に恐怖を抱いた事もある。

現在の私は一応デザイナーという職業上、自分自身をお洒落に見せれるようセルフプロモーションしていきたいと思っている。(中身はどうであれ!)
そのため、部屋にアイドルのポスターを貼るという行為には抵抗があり、特典で付いてくる数々の写真系グッズに困ってしまうのだ。

ともあれ、なんの因果か、また同じ大学学に通うことになった私たち。バイトと追っかけで、彼女のスケジュールは多忙を極め、私とはあまり遊んでくれなくなってしまっていた。

急激に友達が増えた原因を問いただせば、全国各地にいるSMAPファンと遊ぶと言うし、夏休みはコンサートで遠征しないといけないから、遊ぶのはムリだと言われるし…

当時の私は彼女の考えていることがわからなかった。

なぜ同じコンサートに何度も通うのか?
なぜ全国各地で友達が出来るのか?
なぜ録画してるくせに、テレビが観たいからという理由で、私との約束ができないのか?
なぜSMAPがCMをしているという理由だけで、そのCM商品を買い続けるのか?
あげく、M実は当時キムタクがCMをしていたRAV4を彼氏に買わせた…恐るべし…

でもね、今なら全部理解出来るよ、M実、いろいろゴメンね。

この間連休で帰省した私は、ついにM実にジャニオタであることを告白した。

彼女はとても驚いた様子で、私の話を聞いてくれた。今、どんな熱量でジャニオタ生活しているか、周りにいるジャニオタ友達とどんな付き合い方をしているか。

彼女はとても共感してくれた。
そして、『私の頃と何にも変わらないんだね』と言った。

変わったことといえば、メディアなどの媒体、プロモーションなどの露出、所属するグループが増えたこと、Jrにスポットライトがよく当たるようになったこと。

M実曰く、グループが多くなっても、愛するアイドルの選択肢が増えただけであり、ファン心理や事務所自体の考え方は今も昔も同じらしい。

新しい曲を覚え、振り付けを覚え、メンバー同士の密着度が高い写真や映像に一喜一憂する。

メンバーの行動を分析したがるコもいれば、メンバーになりたがるコがいたり、メンバーに恋愛感情を持っていたり、その昔、彼女が抱いた感情を、私はそっくりそのまま受け継いでいるようだった。

ただ、大人ジャニオタはメンバーのATMになりたいと思ったり、時間や体力を節約するために財力をフル活用する話しには驚いたようだ。

それはそうかもしれない、M美がハマっていたのは1番自由度の低い高校生なのだから。
(当時の彼女は必死にバイトしていたものです。)

どこかの記事で見たのだが、嵐以降のファンの多くは、mixiというSNSでコミュニティを作った。

その昔は掲示板や、個人サイト、SMAP以前のファンの多くは文通を介してファンは繋がっていた。

現在はTwitterが主流になっているが、ファンは自分の熱量を語れる仲間を欲する気持ちは同じなのだ。

最近、追っかけの何が楽しいの?と聞かれた。

どの分野のオタクがそうであるように、ジャニオタもお金は使うし、コンサートではチケット争奪戦に巻き込まれ、嫌な思いをすることもある。
愛が強すぎて周りに引かれることだってあるし、世間の偏見に晒されることもある。

趣味に走りすぎてしまわないように、ある程度ブレーキはかけているつもりだが、有給を使いジャニオタ活動をしたことだってある。

好きな人に少しでも近づきたいのは、人間の本能だ。

私自身、物理的な距離や心の距離をどう縮めていくか、本来なら縮まらない距離をどう埋め合わせていくか無意識に思案しているように思う。

そんな私は、そんな気持ちを共感してくれる仲間ができた事が、とても嬉しかった。

M実も同じ事を言っていた。
出会ったNEWS仲間も同じ事を言っている。
ももクロ好きの後輩モノノフちゃんも同じ事を言っている。

世代が変わっても、ハマるジャンルが変わっても、オタクじゃなくても、年齢なんて関係なく、同じ趣味を持って繋がっていくことに快感を覚えるものなんだ。

M実は社会人2年目くらいで、ジャニオタを卒業した。
今は結婚して2児の母だ。

仕事や恋愛に夢中になっていった彼女は、仲間のノリについていけなくなり、気持ちがフェードアウトしたらしい。

いつか私にも、そんな時が訪れるだろうか?訪れて欲しいような、欲しくないような。

そして現在のM実はお茶の間嵐担。
子供たちと仲良くライフDVDを観ているんだって!

#ジャニーズ

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