英語の猛者が集う「演習室」とは
集う、英語の猛者たち
大修館書店からでている『英語教育』※1という月刊誌に、「演習室」という訳文をきそう読者参加型の企画が連載されています。
偶数号は「英文解釈演習室」で250words前後の英文が、奇数号は「和文英訳演習室」で400文字前後の和文がそれぞれ課題文として出題され、読者はその訳文をメールなどで提出して次々号にのる講評と成績とをまちます。
もともと英語教員むけの雑誌なので、教育関係者あるいは英語マニアでないとなかなか手にとることはないでしょう。賞金がでるわけでも景品があたるわけでもないこのイチ企画に、毎号100人ほどの参加者がみずからの訳の巧みさを純粋にきそいあっています。皆かなりの英語愛好家か探求者なのだろうと想像しております。
Twitter(現X)では毎月、〆切日をすぎてからみずからの訳文をアップするのが慣例※2となっており、「この部分がむずかしかった」「じぶんはこうかんがえた」と活発に意見交換がされています。タイムラインを観測するかぎり十数名ほどの方々が訳文をさらしていますが、かなり度胸のいる行為だとおもいます。
※1 『英語教育』のバックナンバーはこちら。残念ながらサンプルページはないので、大型書店の「教育」関連のコーナーで立ち読みしてみてください。
※2 Twitter上で「英文解釈演習室」の訳文をみるにはこちら。「和文英文解釈演習室」の訳文をみるにはこちら。
英語の猛者に、わたしもなりたい
わたしもそんな英語の猛者たちにあこがれ、勇気をだして2023年12月号の課題にて初参戦をはたしました。その後、毎号やろうと覚悟をきめて、雑誌の定期購読にももうしこみました。
この「演習室」への参戦をとおして、以下のようなルーティンができあがりました。
訳文を完成させる
なぜそう訳したかの根拠をまとめる
〆切後に他のかたの訳文と読みくらべる
その約1ヶ月半後に講評をよむ
なかなか骨がおれるのですが、ここまでやって英語力がつかないわけがないと信じています(本当はここに「5.講評をふまえ、もういちど訳文をつくりなおす」をいれるのが理想です)。
わたしは毎回、辞書や文法書などを何日もかけずりまわってヒーヒーいいながら訳文をこしらえていますが、参加者のなかには課題文を一読して数時間で訳しきる豪傑もいるようです。何年先になるかわかりませんが、いつかそのくらいの境地に達したいものです。
「訳す」ことは、古くて新しいこと
「演習室」は提出期限まで約2週間ほどあるので、ふつうの試験などとちがいリファレンスをフル活用してじっくり課題文にとりくむことができます。もともとしらべたりかんがえたりするのが好きなので、じぶんの気質にあっているとおもいます。
わたしは黄リー教を中心に英語学習をすすめてきましたが、「演習室」はその成果を発揮する場になっています。特に「英文解釈演習室」のほうはそのまんまというかんじです。
いっぽうで、英作文はまともに勉強をしてこなかったので苦手意識があり、「和文英訳演習室」はいつも解釈の十倍くらいエネルギーをつかっています。ただ、苦手なりにみずから英文をかくようになったことで、英文をよむときにどういう表現がつかわれているか以前より意識がむくようになりました。
ときに国語辞典や類語辞典をひいたり、この課題文は結局なにがいいたいのだろう熟考したり、訳文づくりをとおして日英両方の読解力・表現力をみがく修練になっているとかんじます。
さて、「訳」というと、むかしながらの文法訳読式の授業がおもいおこされます。「ふるくさい」「よくない」と批判したくなる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、訳すという行為は、みずからがよみとった意味内容を言語で表現して相手に伝えるコミュニケーションにほかなりません。また、前述のとおり、いわゆる「演習室界隈」ではひとつの課題文についてSNS上でやりとりをする、あたらしいコミュニケーションがうまれています。
このように「演習室」にはふるくてあたらしい魅力がつまってるのです。
成績表
以下は「演習室」でのじぶんの成績の記録です。随時更新していきます。
成績はA+〜B-の段階評価ですが、A+がひとりもでない回があったり、Cがでたりする回もあったりします。特に和文英訳演習室のほうがきびしめなイメージがあります。