8月 救急医と総合診療医のスキルと役割

 8月の怒涛の救急ローテが終了しました。
 後期研修医になって初めての救急で、初期の頃と違ったプレッシャーが強くて毎日気合を入れて、祈りながら出勤するような状況でしたがなんとか生き抜いた。。。

初期研修医へのフィードバック、RaTs program

 今回の救急ローテでは初期研修医へのフィードバックスキルを重点的に伸ばしました。RaTs(Resident as Teachers)というプログラムを通して、「5 micro skills 」を中心としたフィードバック方法を学び、毎日実践していました。
 どんな症例でも、できるだけ多くのティーチングポイントを見つけること、そして学習者に一番気づいて欲しいポイントを探ること。これを意識すると常に言語化のプレッシャーにさらされるので、自然と自分の臨床的なスキルや「気付く能力」もその場で上がってくる感じがします。これはKFCTの定期外来でも同じ経験をするので、できるだけ学生や初期の後輩についてもらえるようにしたいなと思うところです。任せてもらえるように信頼を勝ち取っていこうと思います。

救急診療の成長

 今回の救急ローテで特に印象的だったのが、安房の看護師さんがめちゃくちゃ喜んでくれたことです。
 何もできなくて、仕事も遅くて、鑑別も上がらず困って上級医に助けを求めてウロウロしていた1年目の時のことをみなさん知ってくれています。3年目となり1年目を指導しながら挿管してA line取ったり、むちゃくちゃ時間かかりそうな縫合をやりながらwalk in の情報報告を聞いて捌いたり、そんなことをしていたら「こんなに成長して、、、!」と泣かれちゃいました。成長を見てくれているのも、喜んでくれるのも嬉しくて、僕の成長を支えてくれた周囲の人々との関係性を深く感じました。安房の環境が本当に良かったと思います。

救急医と総合診療医の役割

 救急は働き方としても自分の性としてもすごく合っていて、今回の1ヶ月もしんどいけど楽しい時間でした。昔、救急專攻医になるか非常に悩みましたが、ある人との対話で自分が救急医を3年目に選ばなかったことについて振り返ることができました。
 8月はとてもいい出会いがあり、超有名病院の救急專攻医をしている先輩との対話からなんとなく気づいてきたことです。結論からいうと、僕に取って救急診療はスキルであり、家庭医療が僕の担いたい役割だったということでした。
 先輩曰く、救急医は「限られた時間」という制約の中で、救命のために最高のパフォーマンスを出せる人。そして医療の受け皿から溢れてしまっているような人でも、どんな人も断らないということが救急医の担う役割なんじゃないかと。
これを受けて総合診療も似ているな〜と思う部分が多くて、僕に取って総合診療医は、その場にある「限られた資源」を使ってベストパフォーマンスを出す(ないなら作る)人だし、どんな人も断らない、その人がどのような状況に陥ってしまったとしても逃げずに横に居続けられる人でありそれが役割だと思っています。
 さらに一歩進んで、個人レベルから地域レベルに目を向けた時、地域の資源をどう使っていくかという目線で救急医と総合診療医はお互いの役割を理解しつつ目線を揃えることができると思います。
 僕にとって救急診療はできるようになりたいことであり、家庭医はそうであり続けたいことという点において、家庭医を選んでよかったなぁと思うようになりました。
 若いうちに自分の欲しいスキルをたくさん身につけて、理想像としての医者はゆっくり求めればいいじゃないという説もあるし、心の柔軟性が保たれている間に理想像の環境暴露を受けておくべきという説もあると思います。どっちでもいいと思うけど、どっちを選んでいるのかは意識しておくのは大切だと思いました。

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