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カワイイのはクチでした #1 犬のクチ

 この写真はポメラニアンの黒丸君、我が家の愛犬です。ぱっと見ると、ただ犬を写しただけの写真に見えるかもしれませんが、いやいや、そうじゃありません。じつはこれ「クチとその周辺」を狙った写真なのです。何を隠そう私は、動物の「クチとその周辺」が好きで好きで、ついにはその写真集まで出してしまった男なのです。
 子供のころから動物が大好きだった私は、長じて犬を飼うようになりました。そして愛犬の顔を眺めていたある日、いったい私は、動物の「どこ」がいちばん好きなのだろうか、と自問しました。肉球…じゃない。顔…じゃ大雑把すぎるしなぁ…と、沈思黙考の末に出た結論、それが「クチとその周辺」だったのです。そうか、動物のカワイサの源泉はそこにあったのか、と合点した私は「クチとその周辺」をω(オメガ)と命名し、全国の動物園・水族館を訪れて様々な動物のω写真を撮影して回り、ついには図鑑として出版するに至ったのであります。
 それではここで、犬のクチまわりの素晴らしさを見てみましょう。まず第一に、鼻がかわいらしい。濡れた鼻も乾いた鼻も幼い鼻も年老いた鼻も、皆それぞれが独特の表情で私を魅了します。鼻の真ん中から上唇にかけてスパッと入った垂直線の凛々しさたるや。そして犬歯を覆ってこんもりと盛り上がった上唇など、指先でつまんでムニムニしたくてたまりません。みなさんもご自宅のお犬のクチまわりを眺めて楽しんでくださいね。
 本連載では、さまざまな動物たちの素晴らしくかわいらしいωを紹介します。乞うご期待!

このnoteは、2013年に新聞で配信したコラム(全12回)です。