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カワイイのはクチでした #4 カワウソのクチ

 動物園愛好家(趣味で各地の動物園を巡る人々)の中で根強い人気を持っているのが、カワウソです。かくいう私も動物園巡りをするようになってから、カワウソの、というよりもカワウソのクチまわりのかわいさにやられっぱなし。カワウソ展示場の前で数時間を過ごしてしまうこともよくあります。
 カワウソには、一番体の小さいコツメカワウソ(50cmくらい)から世界最大のオオカワウソ(1.5mくらい)まで、十数種類の仲間がいます。ちなみに海にいるラッコも、カワウソの仲間なんですよ。日本にもかつてニホンカワウソが住んでいましたが、残念なことに今では絶滅したと考えられております。
 さて、日本の動物園や水族館で最も多く飼育されているのが、写真のコツメカワウソです。これは多摩動物公園で暮らすコツメの一家が、全員打ち揃って昼寝をしているところです。
 コツメの一家はとっても仲良しで、いつも全員で寝たり起きたり遊んだりしています。起きている間はたいへん活発で、走り、泳ぎ、そして身の回りにある枯れ葉や小石などの小道具を使ってよく遊びます。寝る時には写真のように団子になって上になり下になり、お互いの顔や体や押し付けあって、とても幸せそうに眠ります。
 コツメのωは、まさにωの形に上唇全体がふっくらと盛り上がっており、いつも機嫌が良さそうに見えます。そしてプニプニと柔らかそうなその部分を見ると、どうしてもつつきたい、つまみたいというイケナイ欲望がわき起こり、時を忘れて見入ってしまう私なのであります。

このnoteは、2013年に新聞で配信したコラム(全12回)です。