カワイイのはクチでした #2 猫のクチ
ご多分に洩れずこの私もたいへんな猫好きでして、街で野良猫を見つけると、ついフラフラと吸い寄せられ、仲良くなろうと声をかけたりしているうちに時間を忘れてしまうこともしばしば。
猫といえばみなさんご承知のように、目も耳も肉球もシッポも、どこをとってもカワイイところしかないという、いやはやなんとも恐ろしい動物ですが、もちろんωすなわち「クチとその周辺」がいちばん良い部分である、というのが相も変わらぬ私の主義主張であります。今回もどうぞおつきあいください。
この写真は私の友人が飼っておられるウカさまという猫さま。美人でステキなので「ぜひ写真を撮らせてください」と家まで押しかけて撮らせていただきました。もちろんクチとその周辺を特に念入りに撮影したわけですが、猫のクチまわりをうまく写すには、ローアングルから狙うのがベスト。というわけでフローリングに腹這いとなり、決死の形相でカメラを構え、猫を追いかけて縦横無尽に動き回り、しまいにはテーブルの下にまでもぐりこむ始末。まるで床掃除のモップみたいなものですね。
さて、このウマさまのクチ回りはどうでしょう。透き通るようなピンクの鼻、そこからスゥッと伸びた中心線もまたピンクで、うっすらと開いた下唇までピンクです。繊細で完璧なシンメトリー構造が、見るもの(というか主に私)の心を震わせます。中心線に向かってふっくらと盛りあがり、かつ下顎にもたれかかるかのような上唇の豊かな造形が素晴らしく、指でそっと触りたくなる気持ちを抑えられません。なんとも。ああ。
このnoteは、2013年に新聞で配信したコラム(全12回)です。