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トシちゃんはビッグですが、何か?

とにかく、80年代はトシちゃんなんです。私、ファンでもなんでもないんですが、だからこそ言えます。あの時代のキラキラ感はトシちゃんこそが体現していたと。マッチの方がどーのこーのという見方もあるでしょうが、やはり「80年代」という切り口ならトシちゃん。田原俊彦、というより、トシちゃん。

トシごきげん Heibon Sep. 1984 - コピー
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やはり衝撃的だったのは、87年の紅白落選…ですね。NHKのアナウンサーが出場歌手を発表するとき、「田原俊彦さんの名前はありません」と言ったのを覚えています。確かに、もう80年代前半のように出す曲出す曲ベストテン1位というわけではなく、かすかに下降気味だったけど、それでも十分実績あったのに。私にはなんとなく「あ、NHKが紅白を改革していこうとする見せしめにトシちゃんを落としたんだな」と感じるところがありました。トシちゃんも落とされたことによって世間に「下り坂に入ったのね」と印象づけられることになってしまったと思います。

しかし! ご存じのように翌年『抱きしめてTONIGHT』が見事に大ヒット! 男の意地を見せます。当然紅白に選ばれますが、辞退。この辺の心境はよーく理解できます。やはり二度も天下を取ったスターのプライドでしょう。ただ、きっとこのころから…尖り始めてきたんじゃないかなあと。そりゃ疑い深くなるよね。バリア張っちゃうよね。そうなってしまうのは当然だけど、それまで明るい王子様だったから余計にとんがり感が目立ってしまって。

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で、例の「ビッグ発言」。あのころは大衆もマスコミの情報に右ならえだったんだろうけど、あの会見見て普通の視聴者はそんなに不快感を持ったんだろうか? その時の世間の反応、あまり思い出せない。どちらかと言えばビッグ発言よりも、「僕は君たち(マスコミ)が嫌いなんだから!」と言い放った時の方が、「え、大丈夫?」と気になりましたが。

この時代はまだ、公の場で自信満々にふるまうことが世間に受け入れられ難い空気にあったんでしょうね。この2年前の1992年、バルセロナオリンピックの女子マラソン選考で、松野明美選手が選考前の会見で「私がオリンピックに出たら確実にメダルが獲れると思いますので、私を選んで下さい!」と言ったとき、その必死のアピールに好感を持つと同時に「こんなに自信満々に言い切っちゃって、反感買わないかな?」と心配になったものでした。結局選ばれなくて悲劇のヒロインになってしまったのだけど、選ばれた有森裕子選手がメダルを取ったから、最終的には「押しの強い女」っていう印象だけが残ってしまって。

話はトシちゃんに戻り、その後不遇の時代があったようですが、干されたというより本人に家庭ができて、ファンも結婚するような年齢になってきて、人気や活動が低空飛行になってしまうのはタイミング的にも仕方なかったのかもしれないと思っていて。あの会見がそういう状況を確定しまうダメ押しになってしまったわけだけど。でも、あの会見だけで見限ったファンっていたのかしら。だって、ビッグだもん、トシちゃん。間違いなく。彼の実績や貢献は、平成のSMAPとかと質が違うから。

何年か前にビッグ発言の誤解も解けたようだし、昨年はデビュー40周年コンサートも盛況みたいだったし、今も歌って踊るまごうことなき大スター! 誰も異論は唱えません。トシちゃんはビッグです。だからそろそろまた紅白に出てみたらいいのに。そしたら見なくなった紅白も絶対見る!

☆彡

【追記】上記のようにお花畑的に思っておりましたが、後に、芸能界の不可解な実態がトシちゃんから語られました。現状が改善されることを願うばかりです。