読書備忘録:DATA is BOSS
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※ これは私個人の意見であり、会社の見解ではありません。
本の概要
この本を読んだ理由
以前からブログ記事(以下)などを読み、一休のデータドリブン経営について気になっていました。書籍化されたため購入です。
本を読んだ際の関連知識
データアナリストとして3年ほど働いています
全体の感想
一休の実例をもとに、どのようにデータを整形・可視化しているか説明してくれています。
データアナリストとして実務に落とし込めそうな話も多く、勉強になりました。
本の備忘録
はじめに
本書のターゲットはデータの抽出や可視化を依頼する方々で、データアナリストではないようです。
序章 はじめに知ってほしい「データドリブンは、ビジネスの話」
データと分析環境と人材が整っていたとしても、ビジネスサイドが手綱を握ってディレクションするリーダーシップが欠如している場合は、分析をもとに業績を改善するのは難しい
リーダーは、「ビジネスの課題を見つける」「課題を解く」「施策に落とし込む」のすべてを「自身がディレクションする範疇」として認識する必要がある
「データドリブン化する」とは、顧客行動データ、データに基づく顧客理解、そして「誰に何をするか」という事業戦略が有機的に連携すること
第1章 データを制するものがビジネスを制す
戦略の再定義、「誰に」「何を」を見つめ直す
ターゲット顧客を見る際に、細かく分けて見ることを徹底している
一休の切り口の例
「顧客別の利用金額の大きさ」「顧客別の利用目的」「顧客別の利用商品」「顧客別のおサイフの許容度」「顧客の年齢・性別・居住地などのデモグラフィック情報」
誰に最も喜ばれているのか確認する際には、ユーザーインタビューを実施することもある
「商品」で差がつかない場合は、「顧客体験」で差別化を図る
第2章 「掛け声だけ」で終わっている日本型データドリブン
定量と定性の双方を活用することが重要になると書かれています。
筆者がデータサイエンティスト出身なので、定量分析のみで課題を解決していくと(勝手に)想定していたため、少し意外でした。
その他、個人的に勉強になった点のメモ
一休では、事業目標をキャンセル・返品額を除いた実販売額としている
一般的には「社外への公表数値 = 社長の目標」となり、それを全社員で目指すことになる (社外にだけ都合の良い数値を公表し、社内では別の目標を設定することは難しい)
定性情報と定量情報は一致する
一致しない場合は、顧客を分けて確認するなどして、一致するよう試みる
中立的な立場の人がデータを扱うのがベスト
現場の担当者と経営層の間には知識ギャップがあるため、見抜けない場合も多い
誰にデータ分析を任せるか?
財務部門 または 事業部門
事業部門は自分に都合よく語ることがあるので注意
第3章 データドリブン経営の本質
データドリブン経営には、「定量主導のほうが、定性主導よりも明らかに良い意思決定ができる」という考えがベースにある
定量情報が担保している項目は、網羅性・緻密さ・客観性・再現性の4つ
個別の顧客と顧客の全体像を行き来することで、サービス全体を俯瞰して軌道修正できるようになる
思い込みや勘違いでない限り、定量情報と定性情報は一致する
一致しない場合は、データの深掘りが足りていないケースもある
第4章 データドリブン経営の実装
セグメント別に可視化することの重要性を説いている
ビジネスサイドとデータアナリストで共通のゴールを目指すには、「何のためにデータを分析しているのか」を見失わないことが大事
第5章 データドリブン施策の具体例
一休のデータドリブン施策について
顧客ごとにおすすめ商品をパーソナライズする
セレンディピティが少なくならないよう、全顧客に人気の宿も織り交ぜている
顧客セグメントに応じて、パーソナライズする度合いを変更している
パーソナライズしたメールを送る
一休のメールの開封率は60%
著者の知る限り、10~20%の開封率でも十分に高く、一休の開封率は十分に高いと考えている
企業の都合で余計なことはするな
「購入額は大きいが、購入確率が低い」かつ「割引によって購入確率が大幅にアップする」場合に、クーポンを発行する
行動データから購入確率と購入金額を機械学習モデルで計算する
メモ
おそらく、「分析」という言葉が本書の中でほとんど使われていない
「分析」ではなく、「定量情報を確認する」などの言葉が使われている
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