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読書備忘録:DATA is BOSS

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※ これは私個人の意見であり、会社の見解ではありません。



本の概要

変えたことはたった一つ。データドリブン経営に舵をきり、売上右肩上がりの急成長。「一休.com」では具体的に何が行われていたのか?本邦初公開!

https://amzn.to/3xbjnzq

この本を読んだ理由

以前からブログ記事(以下)などを読み、一休のデータドリブン経営について気になっていました。書籍化されたため購入です。

毎週日曜日に、会社のあらゆるファクトを洗い出したレポートを100枚ほどつくって、その夜にSlackのチャンネルにアップします。

https://r25.jp/article/1072788239610798161

本を読んだ際の関連知識

  • データアナリストとして3年ほど働いています

全体の感想

一休の実例をもとに、どのようにデータを整形・可視化しているか説明してくれています。
データアナリストとして実務に落とし込めそうな話も多く、勉強になりました。

本の備忘録

はじめに

「DATA is BOSS」とは、顧客こそがボスであるという提言であり、首尾一貫して顧客に向き合って事業を推進することこそ健全な成長を実現する道筋だ、という私たちの経験則です。

初版 P2

本書のターゲットはデータの抽出や可視化を依頼する方々で、データアナリストではないようです。

経営者をはじめ将来的に経営層を目指す方、マーケターや事業部の方などビジネスサイドの方々が、社内外のデータサイドの方々を適切に協業できるようになることを支援します。「このような仮説を確かめたい」「こうしたデータを見える化してほしい」と説明すれば、十分なレポートを確認できて、ビジネスに必要な示唆を読み解けるようになることが、本書の顧客である読者の方に提供したいゴールです。

初版 P7

序章 はじめに知ってほしい「データドリブンは、ビジネスの話」

  • データと分析環境と人材が整っていたとしても、ビジネスサイドが手綱を握ってディレクションするリーダーシップが欠如している場合は、分析をもとに業績を改善するのは難しい

  • リーダーは、「ビジネスの課題を見つける」「課題を解く」「施策に落とし込む」のすべてを「自身がディレクションする範疇」として認識する必要がある

  • 「データドリブン化する」とは、顧客行動データ、データに基づく顧客理解、そして「誰に何をするか」という事業戦略が有機的に連携すること

https://m.media-amazon.com/images/S/aplus-media-library-service-media/5c350d6d-6f4c-4f69-ab94-9f44c1839fd0.__CR0,0,300,300_PT0_SX300_V1___.png

第1章 データを制するものがビジネスを制す

  • 戦略の再定義、「誰に」「何を」を見つめ直す

    • ターゲット顧客を見る際に、細かく分けて見ることを徹底している

      • 一休の切り口の例

        • 「顧客別の利用金額の大きさ」「顧客別の利用目的」「顧客別の利用商品」「顧客別のおサイフの許容度」「顧客の年齢・性別・居住地などのデモグラフィック情報」

    • 誰に最も喜ばれているのか確認する際には、ユーザーインタビューを実施することもある

  • 「商品」で差がつかない場合は、「顧客体験」で差別化を図る

第2章 「掛け声だけ」で終わっている日本型データドリブン

定量と定性の双方を活用することが重要になると書かれています。
筆者がデータサイエンティスト出身なので、定量分析のみで課題を解決していくと(勝手に)想定していたため、少し意外でした。

関係者の多くが「人間の自然な行動としてこちらの選択肢が妥当」だと思う事象ならデータ分析は省いていいと思います。

初版 P70

その他、個人的に勉強になった点のメモ

  • 一休では、事業目標をキャンセル・返品額を除いた実販売額としている

  • 一般的には「社外への公表数値 = 社長の目標」となり、それを全社員で目指すことになる (社外にだけ都合の良い数値を公表し、社内では別の目標を設定することは難しい)

  • 定性情報と定量情報は一致する

    • 一致しない場合は、顧客を分けて確認するなどして、一致するよう試みる

  • 中立的な立場の人がデータを扱うのがベスト

    • 現場の担当者と経営層の間には知識ギャップがあるため、見抜けない場合も多い

  • 誰にデータ分析を任せるか?

    • 財務部門 または 事業部門

      • 事業部門は自分に都合よく語ることがあるので注意

第3章 データドリブン経営の本質

  • データドリブン経営には、「定量主導のほうが、定性主導よりも明らかに良い意思決定ができる」という考えがベースにある

    • 定量情報が担保している項目は、網羅性・緻密さ・客観性・再現性の4つ

    • 個別の顧客と顧客の全体像を行き来することで、サービス全体を俯瞰して軌道修正できるようになる

  • 思い込みや勘違いでない限り、定量情報と定性情報は一致する

    • 一致しない場合は、データの深掘りが足りていないケースもある

データ分析結果が、経験則や顧客の対する感覚などに照らし合わせてピンと来ない最大の原因は、データ分析の掘り下げが不十分であることが多いのです。

初版 P103

第4章 データドリブン経営の実装

  • セグメント別に可視化することの重要性を説いている

  • ビジネスサイドとデータアナリストで共通のゴールを目指すには、「何のためにデータを分析しているのか」を見失わないことが大事

第5章 データドリブン施策の具体例

一休のデータドリブン施策について

  • 顧客ごとにおすすめ商品をパーソナライズする

    • セレンディピティが少なくならないよう、全顧客に人気の宿も織り交ぜている

    • 顧客セグメントに応じて、パーソナライズする度合いを変更している

  • パーソナライズしたメールを送る

    • 一休のメールの開封率は60%

    • 著者の知る限り、10~20%の開封率でも十分に高く、一休の開封率は十分に高いと考えている

    • 企業の都合で余計なことはするな

  • 「購入額は大きいが、購入確率が低い」かつ「割引によって購入確率が大幅にアップする」場合に、クーポンを発行する

    • 行動データから購入確率と購入金額を機械学習モデルで計算する

メモ

  • おそらく、「分析」という言葉が本書の中でほとんど使われていない

    • 「分析」ではなく、「定量情報を確認する」などの言葉が使われている



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