見出し画像

『ウルトラセブン』最終回、アンヌの台詞

 アンヌ「……ダン」
 ダ ン「アンヌ。ぼくは、ぼくはね、人間じゃないんだよ。
     M78星雲から来た、ウルトラセブンなんだ!

 さて、『ウルトラセブン』最終回の名シーンで、このあとに続く台詞はなんでしょう?

 『ウルトラセブン』最終回『史上最大の侵略 後編』では、ダンの「ウルトラセブンなんだ!」の直後、上写真の画面にシューマンの「ピアノ協奏曲イ短調作品54番」が高らかに鳴り響きます。
 しかし、この名場面が回想シーンとして登場する『ウルトラマンレオ』第29話『運命の再会!ダンとアンヌ』では、その部分の台詞(Dialog)トラックはそのままに、音楽(Music)トラックだけを『セブン』M-8A(冬木透コンサートでひし美さんが好きだと言っていた曲ですね)に差し替えて使用しています。くそー、このころまでは『セブン』のMEシネテープ(効果音、Effectトラック)だけじゃなくてDialogオンリーのシネテープもきちんと残ってたんだろーなー。

 そのため、『史上最大の侵略』の実際の場面では音楽に埋もれてほとんど聞こえなくなっている、ダンの「ウルトラセブンなんだ!」の直後、アンヌの「……えっ」という台詞が『運命の再会!ダンとアンヌ』では明確に聞こえています。
 しかもDVDではこの回がちゃんとシネテープ収録になっていてなおありがたや。……おお、たしかこのDVD特典音声ってMEシネテープとDシネテープをMixして新たに作ったはずだから、あの部分だけは『セブン』からコピーしたDシネがあるんだな!

 そしてそのあとであらためてもう一度『史上最大の侵略』を観てみると、少なくともシルエットになったアンヌの口は間違いなく「……えっ」と言っているのがわかります。さらによーく聴くと、かすかに声も聞こえるような気が(思ったより遅いタイミングです)。

 ということで、あの名場面の台詞は正確には以下のとおりになるわけですね。

 アンヌ「……ダン」
 ダ ン「アンヌ。ぼくは、ぼくはね、人間じゃないんだよ。M78星雲から来た、ウルトラセブンなんだ!」
 アンヌ「……えっ」
 ダ ン「びっくりしただろう?」
 (以下略)

 『史上最大の侵略』のこのシーンを採録しているHPは数多くありますが、この「……えっ」という台詞をきちんと入れているページはほとんど見受けられません。……ひとつだけちゃんとアンヌの「えっ」が書いてあるページがあって「おっ」と思いましたが、そこは『レオ』第29話の採録解説ページでした(笑)

 ちなみにこのシーンに流れるピアノ協奏曲は、『史上最大の侵略』のダビングに使用された音源(演奏)が研究家有志の探索努力によって特定されており、現在CDで容易に入手することができます。それがこのリパッティ演奏、カラヤン指揮の「グリーグ&シューマン:ピアノ協奏曲」EMI盤。そうか、もう“東芝EMI”って言わないんだな。
<追記>
 現在容易に入手できる盤としては「ウルトラセブン・クラシック」がありますが、これは第1楽章しか入っていないのでどうかと。リパッティとハスキルとを聞き比べられるのはおもしろいけど。  オーパス蔵の復刻もほんとうはほしいんだけどまだ買ってないや。
<追記終わり>
<追記>
 オーパス蔵の復刻盤も買いました。
  また最近だと第1楽章だけなら「円谷特撮 シークレット・サウンドトラック」あたりを買うのがいいのかな?
<追記終わり>

 しかし、あの正体告白場面から流れ続けるピアノ協奏曲が地底を突き進むマグマライザーの画まででいったん切れて、次のショットが「涙を流しながら振り向くアンヌ」、というのがホントにカッチョイイよなあ満田演出。そしてこの画にBGMがM-75の、しかも途中(ラッパの「♪ウルトラ~セブン」のメロディところ)から曲がカットインする、という音楽演出もまた見事の一言に尽きます。
 「いま話したとおり……」という台詞も含めて、そこまでの間に(どんな内容かはわからないけど)“アンヌがボロ泣きするようなやりとり”があったんだな、ということをきちんと想像させてくれるんですよ。シビレます。
 この「想像させる」というのが大事なんだよなぁ。なんでもかんでも直接描写すればいいってもんじゃないんだよ。

 特に金城シナリオでは存在する変身後のセブンとアンヌの会話(「それが、私だ」みたいにセブンになると口調もエラそうになるw)をバッサリ切ってしまい、あくまでダンの状態でのみ台詞を語ることによって、「変身=別離」をより強く印象づけることになった演出がやっぱりおみごとすぎる。

 べつにダンとアンヌが『ウルトラセブン』劇中でデキてたわけでもなんでもないんだけどねえ。あんな程度でカップル成立なら世の中は職場結婚だらけでたいへんなことにw 『遊星より愛をこめて』だってあれは“偽装デートによる追跡”だし。

 まぁ、最終回のこの場面のイメージがいかに鮮烈すぎたか、ということですかね。
 あのシーンだって冷静にセリフだけ追ってみれば、べつに惚レた腫レたなんてまったく関係ないんだしねぇ。まぁそりゃ“含み”はもたせてあるにしてもだ。“粋な心”を持ってるヒトは“露骨な表現”は避けるもんですよ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?