食の安全は脅かされているか?

❶柴崎コウ氏が問題提起した「種苗法改正」について調べているうちに、恐ろしい発言に出会いました。                     

野口種苗研究所の野口勲氏のコメントです。
「うちのタネで人参を育てたいという農家さんがいて、タネを譲ったけど、あんたのタネで育てた人参は野ねずみが食うから困るって。
F1の人参は同じ畑でもねずみが食わないから助かるって言う。
つまり、今みなさんが食べている人参というのは、ねずみが食わない人参ということです。」

知らぬ間に、「食の安全」が脅かされている?としたら由々しき問題です。ツイッターでは、こんなツイートの反応がありました。   

「繋がりますね。一般のスーパーに売られている人参は、国産でも人参本来の味がしないものが大半です。一方で化学肥料等に気を使われている農家さんで作られた人参は昔ながらの人参の味がしますし、日を置くとオレンジ色の部分から根が生えてきす。」  https://www.e-aidem.com/ch/jimocoro/entry/negishi28                             これは貴重な意見です。子育て中で、食の安全に関心の高い主婦の方々から賛同して頂いたコメントです。

❷少し飛びますが、大切な参考情報を共有します。           「2018年8月に、末期癌の校庭管理人、Dジョンソン氏が訴えた、アメリカ、カルフォルニア州の裁判で、モンサント(現バイエル)に対し約320億円の損害賠償を評決しました。
除草剤「ラウンドアップ」の発癌性の警告を怠ったとされた。今回の勝利は同社への数千件の訴訟に道を開く可能性があると見られている」     モンサントは、1940年代には農業用の化学製品を製造し、除草剤「2,4-D」はそのうちの一つで、ベトナム戦争では、別の有毒物質と合わせて枯れ葉剤が作られていました。                       1976年に、除草剤「ラウンドアップ」が発売され、モンサントの製品のなかで、世界的に最も広く知られる様になっています。

日本の関連情報として、                       「除草剤として日本でもっとも販売数の多いモンサント社製の「ラウンドアップ」に使用されている化学物質「グリホサート」に、世代を超えた毒性リスクがあることが判明したのである。」
Assessment of Glyphosate Induced Epigenetic Transgenerational Inheritance of Pathologies and Sperm Epimutations: Generational Toxicology(Scientific Reports、2019年4月23日)という記事もあります。

❸参考情報2
「医薬・農薬大手の独バイエルが動物薬事業を約8千億円で売却することで米社と合意した。種子大手、米モンサントの7兆円に上る巨額買収から1年あまり。低迷する株価を支えるための構造改革の一環だ。医療用医薬品と農業関連に集中する方針を掲げるが、旧モンサントの農薬訴訟が足を引っ張る」2019/8/日経新聞 電子版 

世界売上5位のバイエルが、1位のモンサントを買収。          モンサントの不振により寡占化が進んだことになります。 

「1863年にドイツで創業されたバイエルは、今でもアスピリンの製造で最もよく知られている。一方、不名誉な歴史としては、20世紀初頭に短期間、モルヒネに代わるせきの薬としてヘロインを販売していたことがある。第2次世界大戦中のバイエルは、ナチス・ドイツが強制収容所のガス室で使用した「ツィクロンB(Zyklon B)」という殺虫剤を製造していたイーゲー・ファルベン(IG Farben)という企業連合の傘下に入っていた。
近年のバイエルは何度も企業買収を繰り返し、化学・製薬業界の巨大企業となり、全世界で約10万人を雇用している」https://www.afpbb.com/articles/-/3186001

❹珍しく共同通信の記事を引用します。

「優良品種の海外流出は、国内法である種苗法の改正では防げない。実効的な対策としては中国や韓国などの生産地、その輸出先で「種苗登録」するしかない。                              真の狙いは知的財産権の保護強化による「種子ビジネス促進」にある。  種苗の開発費用は巨額で、膨大な投資に耐えられるのはダウ・デュポンやバイエルなど巨大なグローバル企業数社に絞られる。こうした外国企業に種苗を握られれば、農家の収益が吸い上げられるだけではなく、食料安全保障が脅かされる恐れがある。       

特に自家増殖の制限は将来に禍根を残す恐れがあり、熟議が必要ではないか。」共同通信アグリラボ所長 石井勇人 https://www.kyodo.co.jp/pol-news/2020-01-14_2478322/

❺戦後から続いた種子法が、わずか半年の議論で廃止
種子法廃止の契機は、2016年10月の規制改革推進会議農業ワーキング・グループと未来投資会議の合同会合の席上です。種子法廃止の理由は、   「民間の品種開発意欲を阻害している」だった。

2016年11月の「農業競争力強化プログラム」に引き継がれ、その結果、2017年4月「主要農作物種子法を廃止する法律案」が成立する。この間、わずか半年程度。これを受けて2018年4月、種子法は廃止となった。https://smartagri-jp.com/agriculture/156

*ここで言う民間とは、きれいに聞こえますが、実質的には「モンサント(現バイエル)」が含まれるとは、国会答弁にあります。

❻国政の「種子法廃止」に対して、
地方自治体で「種子条例」制定の動きが広がっています。     https://www.taneomamorukai.com/seed1 (参照)

地方が補完しているのか?
地方が対抗しているのか?

今治市の事例を紹介します。
「食料の安全性と安定供給体制を確立する都市宣言」
WTO体制のもとで、諸外国から農産物の市場開放要求が強まる中、生産・輸送・貯蔵で使用された                       農薬の残留、遺伝子組み換え作物、家畜伝染病など           食料の安全性への不安など「食」に対する不信が高まっている。

*地方自治体がここまで、宣言したは、注目です。

今治市種子条例
(遺伝子組換え作物の栽培許可)
第10条 「遺伝子組換え作物と一般の農産物の混入、交雑等を防止するために、市内において遺伝子組換え作物を栽培しようとする者は、
市長に栽培の申請し、許可を得なければならない。」

✴︎中央と、地方自治体との間で、いわゆる「善政競争」が動いています。日本では珍しいことで、注目すべきことです。              地方への権限移譲の推進に於いて、解り易い事例となります。
                                 ・

❼論点が輻輳しているので今わかる範囲で整理すると、

・食の安全 ・食の自給(安全保障観点) ・海外流出防止 ・規制改革/自由化 ・通商交渉/日本市場開放

  など、相反することがあります。

但し、「市場開放」が、                      「食の安全」が同次元どころか、優先されているとしたら、看過出来きません。更に、今回のコロナで、国民の生命に直結する

「 食 の 安全保障 」

の観点が弱かった事が明らかになりました。


***まだまだ、問題は複雑なようです。積極的な議論継続が必要です。

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