カーテンの薄明かり

朝日で微睡みがゆっくりと溶けていく
私は朝が嫌いだ。
その朝日は全てを照らした。それは夜の中に隠れた下水道のような醜い感情ですら白く、ただ白く染め上げてしまう程に。
そして私の抱えた全ての負債をなかったかのように優しく包み込む。そんな朝日が私は嫌いだった。
私の存在価値は微睡みとともに薄く伸ばされて遂には消えてしまうのだろう。
朝日が優しく雪を照らして、光が世界を白く染めあげる。
 その光景をカーテンの薄明かりの向こう側に私は感じて、どうしようもなく涙が止まらなかった。
 ああ、私はあの雪なのだ。
さも祝福されたように照らされて、何色にもなれない雪。
太陽が真上に昇る頃には溶けて消えてしまうそんな薄雪に私はよく似ていた。
微睡みは涙ともに私の顔から流れ落ちて朝日の思うがままに、私は色付く。
薄明かりを払うように勢いよくカーテンをあけ、庭の景色を見る。
そこにはケーキの上にまぶされた砂糖のような雪がキラキラと光を放っていた。

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