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【サバイバルファミリー】家族の崩壊と再生の物語

映画「サバイバルファミリー」は、2017年2月11日公開の日本の映画作品。ある日突然訪れた原因不明の電気消滅により廃墟寸前となった東京を脱出した一家のサバイバルコメディ。

ちなみに、単純にインフラとして電気の供給が無くなっただけではなく、自動車やパソコン、携帯電話や時計といった生活必需品までも使用不可能となり、あらゆる情報網が遮断され、人々は自給自足の生活を強いられる、と言う内容だ。

一見円満そうで、実は崩壊している家庭

主人公たちの家庭は、一見すると円満な家庭に見えるが、実は崩壊寸前であった。父は仕事一筋の人間であり、子供たちに関心を示さず妻に任せきり。子供たちも、そんな父親の姿勢をしっかり見ており、父親に対するリスペクトが全くない状態。つまり、既に家族はバラバラの状態に陥っていた。そんな家族に今回の「災害」が襲う訳だ。

ATMから引き出せないお金

みんなが最初に取った行動が、銀行からお金を引き出そうとする行為。しかし、電子機器は使えないためお金を引き出す事が出来ず銀行の窓口に人が殺到する。しかも、物流も止まり始めているため、物資不足が深刻化していく。モノを買う際も、お金で買うのではなく、使えそうなモノと「物々交換」する事になっていくのが面白い。

『お金』の本当の価値が垣間見える

誰しも「お金」が好きだろう。「お金」さえあれば大概のモノは買える。しかし、この映画のように「お金でモノが買えない」状況に陥った時、「お金」の本質が見えた気がして面白かった。無人島で大量のお金を所持していても意味が無いように(何も買えないですからね)、お金というものは、モノやサービスが安定供給しているからこそ、安心して使える(所持できる)もの。そうでなくなった時、本当に大切なのはお金ではなく、お金で買えるモノやサービスである、という事をこの映画からは学ぶことができる。

もっと言うと、モノやサービスを安定供給するための、設備・技術・ノウハウの方が、お金そのものよりもずっと大切なものだと言える。それらが毀損し始めたのが、この映画という訳だ。

映画自体はコメディが主体

映画では、東京が少しずつ崩壊していく様を描きつつも、映画そのものは比較的コメディ要素が強く、重苦しい雰囲気や殺伐とした雰囲気もさほどない。某国なら大変な混乱になりそうなものだが・・・。治安の良い日本だからこその描き方なのだろうか。こんなひっ迫した状況のはずなのに、面白おかしく描かれているのは、重すぎず観やすくて良いかもしれない。

九州までの大移動

家族は、妻の父親が住む鹿児島まで向かう事を決意する。もちろん車や電車、飛行機などの乗り物などは無いから、高速道路の上を自転車に乗って家族は移動していく。

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頼りない父親の姿が痛々しい

この旅の中でも、子供たちの父親に対する当たりは強い。一度失った信頼を取り戻すのは簡単ではない。そして父の義之も、家族全員から全く信頼されていないことに気付き愕然とする。いや、気付くの遅いから(笑)

しかし、家族のために次第に一生懸命になる父親の姿に、他の家族たちにも少しづつ変化が生じていく。ネタバレは避けたいため詳しくは話せないが、そのあたりは物語のキモなので、実際に観て確かめて欲しい部分だ。

「災害」で家族が得たもの

災害に遭い、多くのモノを失った家族ではあったが、逆に災害に遭わなければ気付けなかった多くの事にも気付くようになる。あまりにモノが溢れている中で生活をしていると、もっと大事なモノを失ってしまうよ、というメッセージが本作には込められているのかも知れない。

兎にも角にも、家族達はこの災害に遭う事で、普通に生活していれば決して手に入れられなかった可能性の高い『大切なモノ』を手に入れていく。それが「何か」は、人それぞれ感じるものがあると思うので、あえて触れない。皆さんが実際に観て何かを感じて欲しい。

【まとめ】

本作は、災害ものではあるものの、家族で観るのも良いし、子供が観てもよいし、万人が観られる非常に楽しい娯楽映画に仕上がっている。未見の方は、ぜひご自身で観て何かを感じて欲しい。爽やかな感動が、そこにはきっと広がる事だろう。

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