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200304_sumikaレビュー

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“やりたい!”の衝動と直感は、10代の頃にだけ持つ特別な武器だったように思う。それが弾けだすような無垢なハーモニーから始まる<センス・オブ・ワンダー>は、『進研ゼミ2020』のCMソング。目の前に現れたキラキラした何かが、より輝くかどうかは自分次第。その一歩を踏み出す瞬間をサポートするかのような言葉や音たちは、人生の先輩であるsumikaのメンバーたちから自然にあふれ出たものなんだろう。様々な選択肢を編み込んで紡がれる未来。網目から希望がすり抜けぬよう、自分を形作るのはとても難しい。しかし、少しの不安も軽快なカントリー調に乗せてピョンッ!と飛び越えられるような勇気を、きっと与えてくれるはずだ。一転して毒気の増す<ライラ>は、その先の20代~30代で抱えていくものを想起させる。片岡さん(Vo)と小川さん(Key/Vo)の熾烈な掛け合いは、ライブでも聞きどころになりそうだ。続く<No.5>もこれまたアクが強い。そんな2曲が続き、深くなった猜疑心を鎮めてくれる<エンドロール>の存在は、この1枚に詰まったストーリーたちの終演としてとても温かく、ニクイ演出だ。


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