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エアコンの使い方を(詳しく)説明します

どうも、沖やんです。
今年も暑い暑い季節がやってきましたね。今年は猛暑予想が出ていて、特に埼玉県民・群馬県民は厳しい戦いになりそうです。今年も暑いぞ熊谷!

ところで家のエアコンってスイッチを入れてヨシ!と思ってません?
実はやるべきことがある繊細な機器なのです。少しの工夫で電気代の節約になったり、壊れにくくなったりするので、この記事を読んで夏を乗り切って欲しいところです。
(ちなみにうちは建築設備設計の仕事をしているので、その面から見た説明になります。初めて設備設計についての知識を書くんですけど)

エアコン付けて快適だぁ!(何も考えてない顔)

まあ記事がめっっっっっっっっちゃ長いけどよろしく()

1、エアコンの仕組み

スイッチを入れると部屋が涼しくなったり暖かくなったりするエアコンだけど、そもそもどうしてそんなことができるの??ということですが、エアコンの仕組みを簡単に言うと「部屋と屋外の熱を移動させてる」からなんですね。
ちょっとよくわからない?じゃあ詳しく言うね。
冷房の時は、お部屋の空気に含まれる熱を、エアコンに入ってる冷媒を介して外に出してるからお部屋が冷えるのです。
その時のエアコンの動きは
室外機の圧縮機で冷媒を圧縮させる
室外機の熱交換器で冷媒を凝縮させて熱を大気に放出する
室内機の膨張弁で冷媒を膨張させる
室内機の熱交換器で冷媒を蒸発させて室内の熱を奪う
圧縮機に戻る(①へ)
このサイクルをヒートポンプサイクルと言います。
暖房の時は、大気中の熱を室内に取り込む動きになります(「室外」と「室内」を入れ替えて読む)。

※ダイキン工業HP「空気の学校」より引用
https://www.daikin.co.jp/school

2、エアコンを構成する要素

エアコンはさまざまな部品で構成されています。その中でも特に重要なものを紹介します。

室外機にはいろんな部品が入ってるぞ

①圧縮機(コンプレッサー)

エアコンの最も重要な部品で、人間で言うと心臓にあたるものです。これが無いと熱を伝える冷媒が動かないのですが、電動機(モーター)が入っていて、最も電気を使うところでもあります。特にスイッチオンの直後は圧縮機がめっちゃハッスルします。
圧縮機の効率を上げることで省エネに繋がるので、エアコンの各メーカーは圧縮機の効率アップのために日々開発しているわけです。

②熱交換器

室外機にも室内機にも付いているこの部品は、冷媒が凝縮や蒸発をすることによって冷媒の熱を空気に伝える役割を持ちます。熱を効率良く伝えるために、熱伝導率が高い銅(銅管)アルミ(アルミフィン)が使われます。
熱交換器が冷える時、周りの空気が冷やされることで水が出てきます(結露現象)。冷房時は室内機で結露が起こることで室内の空気が除湿されます。
逆に暖房時は室外機側の熱交換器が冷えるので外で結露が起こります。それも熱交換器周辺の空気が0℃以下になると結露が凍って霜になります。霜が付くと熱交換器の効率が下がるので、ときどき溶かしてあげないといけません。
熱交換器を熱して霜を溶かすのがデフロスト(除霜)です。エアコン暖房ではこのデフロストが必要ですが、デフロストしてる間は室内の暖房ができないのでその間に室温が下がるのがエアコンの弱点です。

③送風機(ファン)

送風機は空気を動かす役割を持ち、エアコンでは熱交換器とセットで扱います。
エアコンの送風機は周辺の空気を循環することが目的ですが、屋内と屋外の空気を入れ替えることはできません。
圧縮機ほどではないですが電気を使うところなので、エアコンメーカーはこの部品も効率アップ(省エネ)のために日々精進してるのです。

④冷媒

室外(大気)と室内の熱を移動させる役割を持つ、人間でいうと血液にあたるものです。
家庭用エアコンはフロンガスが使われます。これは大気圧では気体の状態ですが、圧縮することですぐに液体になります。
フロンガスは、以前はオゾン層の破壊の原因とされてきましたが、現在では(さまざまな規制によって)オゾンを破壊することがないものに置き換えられました。
ちなみにエアコンのうち、冷媒だけが化学製品なのでほとんどの空調機メーカーは冷媒を生産できません。(空調機メーカーとしては)ダイキンだけは自社で冷媒生産プラントがあるので新製品開発や材料調達などで有利に働きます。

⑤インバータ

日本のエアコンには定格能力が記載されてますが、常にその能力が出るのではなく、ある程度の幅を持っています。その能力を制御するのがインバータです。インバータは電子部品で、電子基板に組み込まれてます。
インバータが圧縮機の回転数を制御することで、過剰な冷房・暖房を防ぎ、省エネに繋がります。
ちなみに日本のエアコンはインバータが無いと販売できません(正確には、日本の省エネ基準をクリアしたエアコンしか販売できないのですが、それをクリアするにはインバータが必須)。

3、エアコンのいろんな機能紹介!(ちょっとだけ)

エアコンはかつてはクーラーと呼ばれていて、部屋を冷やすだけの機械でした。それが技術の進歩とともに暖房機能を始め、どんどん機能が増えていきました。現在ではたくさんの機能を備えたエアコンが販売されてます。その一部を紹介します。

①フィルター掃除

エアコンには熱交換器の目づまりを防ぐためのフィルターが付いてます。ですがそこは室内空気の通り道であり、フィルターにホコリなどが溜まって目づまりすると、空気の流れが悪くなって冷暖房の効率が下がります。
それを防ぐために自動でフィルターの掃除をしてくれる機能を備えたエアコンが各メーカーから販売されています。
エアコンの運転終了時にフィルターを自動で掃除をして、ホコリなどはダストボックスに溜めておきます。
ダストボックスに溜まったホコリは数ヶ月に1回〜数年に1回のスパンで取り除くことになりますが、常にきれいなフィルターで運転することでフィルター掃除の手間が減る、送風機の負担が減って省エネにつながるなどの効果があります。

②熱交換器洗浄

熱交換器は空気に熱を伝える役目がありますが、アルミフィンが細かく並んでいるのが特徴です。その隙間は1〜2mm程度であり、使っていくうちにホコリなどがだんだん詰まってきます。
目づまりを起こすと熱が空気に伝わりにくくなって効率が下がります。またホコリと結露水が溜まることで細菌などの温床にもなりやすいのです。
その溜まったホコリなどを自動で洗い流す機能が熱交換器洗浄です。
原理としては、冷房のサイクルで室内機の熱交換器を冷やして結露を発生させて、その結露水で熱交換器を洗い流します。
各メーカーが熱交換器洗浄にいろんな機能を付加して売り込んでいます。
外気の水蒸気を取り込んで洗浄する「加湿水洗浄」(ダイキン)
結露水を凍結させて洗浄する「凍結洗浄」(日立)
熱交換器を(暖房サイクルで)熱して殺菌する「加熱殺菌」(富士通ゼネラル)
などなど、さまざまな機能で熱交換器を清潔に保つ工夫もなされています。

③換気・加湿

エアコンは空調機器ですが、実は熱を移動させてるだけなので、室内機から風が出ていても、残念ながら室外の空気を取り入れる「換気」をすることはできません。
またエアコンの運転サイクルに水が入ってこないので加湿することもできません。
しかし「換気のできるエアコン」の場合、屋外の空気を室外機の空気取り入れ口から室内に取り入れる「換気」ができます。さらに屋外の水蒸気を取り入れる「加湿」機能も備えたエアコンも存在します。
この機能はダイキンが、空調の要素の一つ「湿度」に着目して、エアコンで加湿するにはどうすれば良いかを突き詰めて開発した機能です。水分を気体(水蒸気)の状態で取り込むので、ついでに換気もできるようになりました。ちなみに初搭載は1999年で、昨今の情勢から換気の重要性に注目するずっとずっと前の話です。21世紀のエアコンの機能って言われそうですけどギリギリ20世紀の話です
まあやっとパナソニックが加湿・換気機能搭載のエアコンを発売したのでダイキンだけの機能じゃ無くなったわけですが…

④AIを活用したパーソナル空調

リモコンで設定温度を変更するのがエアコンの(通常の)使い方ですが、最新の機種の場合、室内温度・床温度を測って自動で最適な温度に調整したり、暑がり・寒がりをAIが判断して最適な空調を提供したり…など、各メーカーがセンサーとAIを活用して、人それぞれ違う温度感に合わせたパーソナル空調を実現してます。
ちなみに三菱電機はAIをより高度に利用していると言えるでしょう。

⑤スマホ連携

リモコンが必要な家電の2トップはテレビとエアコン、それくらいエアコンにとってリモコンは必要なものであり、必ずと言っていいくらい付いてきます。
しかし最近のエアコンにはスマホ連携機能が付いていて、スマホアプリを入れてエアコンに接続すると、スマホでエアコンを操作できるようになります(所定の通信環境は必要)。
一部のメーカーでは、外出中でもエアコン操作が可能になるので、電源切り忘れを防げたり、帰宅前に電源オンで予めちょうど良い温度にしたりできます。
スマホを連携することで、従来のリモコン以上のことができるので、将来はリモコンも消えてなくなるかもしれません。

4、エアコンを省エネに使う方法、より長く使う方法

多分この部分を一番見たかったのだと思います。
しっかり読んでくれた方ありがとうございます。
見出しリンクから飛んできた方も前章までちゃんと読んでくれると、この章をより理解できると思うから後で読んで欲しいです。長いけど
ということでエアコンを省エネに使う方法、長く使う方法を紹介します。

①フィルター、熱交換器の掃除

フィルター掃除はしましょうね

これは前章の「フィルター掃除」「熱交換器洗浄」で書いた通り、フィルターや熱交換器にホコリや汚れが入って目づまりを起こすと、空気の熱交換効率が下がってエアコンの効率が下がります。
なのでフィルター掃除熱交換器洗浄を行うことを総務省や各メーカーはオススメしてます。
フィルターに関しては掃除頻度を高めるのが良いですが、手間などを考えると2週間に1回くらいが良いと思います。
熱交換器に関しては、市販の洗浄スプレーもありますが、清掃業者に依頼する方がよりキレイになって運転効率も良くなります。
まあ暑い時期は清掃業者も引っ張りだこでなかなか予約が取りづらいのですが。

熱交換器は専門業者に頼むのがおすすめ

②扇風機(サーキュレーター)の活用

空気というのは、暖かい空気は上に行き、冷たい空気は下に行くものです。
エアコン側でも室温が均等になるように工夫はしてますが、エアコン空調だけですと、室内の上下で温度差ができてしまいます。
室内機は高いところに付くことが多いので、冷房時は冷たい空気が下に溜まることで、足元は冷えるのに室内機のセンサーがいつまで経っても設定温度にならず、延々と冷風を出し続けて無駄な運転になりがちです。
逆に暖房時は暖かい空気が上にいくことで、エアコンのセンサーがすぐに設定温度に達したと認識することで、足元が冷たいまま頭だけ暖かいという状況になります(作業時の集中力低下の要因)。
そこで扇風機(サーキュレーター)で室内空気を循環させることで室内温度を均一にさせて、快適さを向上させつつ省エネにすることができます。
設置におすすめの場所は、室内機の反対側の壁際です。扇風機を上向きにセットして運転すると、室内機からの気流が扇風機で拡散されやすく、室内空気が循環しやすくなるからです。

扇風機との組み合わせでさらに省エネに

③設定温度の見直し

エアコンは「室内と屋外の熱を移動させる」ことが運転の原理ですが、井戸から水を汲み上げるのに深い井戸ほど汲み上げるのが大変であるのと同じで、室内と屋外の温度差が大きいほど空調に大きなエネルギーが要ります。それはすなわち電気を多く使うことになります。
なので設定温度を「控えめ」にして、室内と屋外の温度差を少しでも小さくすることで運転効率も良くなって省エネになります。
夏の冷房時は「28℃が目安」と言われますが、設定温度を28℃にしたところで(高断熱住宅でもない限り)実際の室温は30℃になることが多いので、設定温度は2627℃にしましょう。
冬の暖房も室温20℃を目安に考えますが、より寒い夜間は2223℃程度」が良いでしょう。

設定温度は控えめに

④室外機の環境改善

これがめっっちゃ頑張ってくれるから快適なのだ

エアコンというのは室外機が暑い中(寒い中)頑張ってくれるから室内が快適になります。
少しでもより快適に、省エネにしたいのであれば、室外機を労わる…ように環境を整えてあげるのが良いです。
具体的には…

直射日光に当てない
室外機を直射日光に当てると、室外機本体の温度が上がってしまうので、より電気を使うようになり、対応温度を超えると止まってしまいます。
ちなみにエアコンには対応温度がありますが、(屋外の気温ではなく)室外機本体の温度が表記の温度まで使えるという意味です。
直射日光が当たるところに室外機を設置している場合には、ひさしを室外機の上に設置して日陰を作りましょう。

空気の通り道は確保する
室外機は屋外の空気をたくさん使うので、空気の通り道を確保しないと、排出した空気が室外機周辺にこもってまた室外機に吸い込まれることで、冷房時はどんどん熱くなっていきます。これを「ショートサーキット」と言いますが、この状態ですとどんどん運転効率が悪くなって最悪の場合は止まってしまいます。
ショートサーキットを防止するには、メーカー推奨の空きスペース(サービススペース)を確保したり、周りに植栽など物を置かないようにしたりしましょう。
暖房時も同様で、ショートサーキット対策をしないとデフロストが頻繁に行うようになるので、暖房が全然効かなくなります。

ときどき掃除する
室内機の熱交換器の手入れは前述の通りですが、より厳しい環境下にある、室外機の熱交換器も掃除すると良いです。室内機の方以上にホコリなどを吸い込むので、汚れが溜まると運転効率は悪くなります。さらに虫が入り込んでることもあります。なので年に2回程度で良いので室外機も掃除してあげましょう。また、吹き出し側(前側)の網目も詰まってたら取り除きましょう。ただしくれぐれも電源プラグを抜いてから掃除してね。

水をかける
特に暑い日(猛暑日)には屋外機本体やその周囲に水をかけると冷房の効率が良くなります。室外機本体の温度を下げるだけでなく、吸い込む空気を水の気化熱で冷やすことでより冷房の効きが良くなります。
最も効果があるのは背面の熱交換器(アルミフィン)ですが、設置した場所によってはかけづらいこともあります。室外機の天板に適量かけても効果はありますので、特に暑くてたまらないときに試してみるのもいいかもしれません。室外機は雨にかかっても良いようにできてますが、ホースで水圧をかけて内部に水を入れると電気基盤(インバータなど)に水がかかって故障することがあるので注意しましょう。

以上を踏まえて、今年の夏も乗り越えましょうね!!!!!
気温が43℃を超えてエアコンが止まっちゃった場合は諦めて避難しましょうね

エアコン止まるとこうなっちゃう

ここまで読んでくれてありがとうございました。コメントや(Twitterの)リプライをくれるとめっっっちゃ励みになるし、次の記事へのやる気になります。

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