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懐旧の情の駆られ 「You're My Only Shinin' Star」

「You're My Only Shinin' Star」という歌があってだね。有名なヒット曲だから僕に近い世代の人は知っている人も多いと思うが、1988年に角松敏生さんの作詞作曲で、中山美穂さんが歌ってヒットした曲だ。

当時は中山美穂さんのちょっとしたファンだったのかもしれない。ファンというほどの自覚は無かったのだけれども、新聞のラテ欄を見て中山美穂さんの出ている番組があればチェックしたり、ビデオ録画をしたりはしていた。
どちらかと言うと、女優中山美穂より、歌手中山美穂が好きでね。まだ子供で小遣いもロクに持って無かったから、テレビの前でカセットテープに録音してラジカセで聴いていた記憶があるね。楽曲が素晴らしいのは聴けばわかるところだが、中山美穂さんの声と「You're My Only Shinin' Star」という曲が抜群に合っていたの。あれはマリアージュだな。この頃同級生の話題はほとんどが光GENJIでね。この曲の素晴らしさを説いても誰も共感してくれなかったから、より捻くれて中山美穂しか聴かないという若者らしからぬ狭隘な生き方をしていたな。

先日何気なくYouTubeを流し見していたら、どんなアルゴリズムに引っかかったのか知らぬが、突然この曲がサジェストされた。それも、1988年発売当時の中山美穂が歌う映像だった。彼女の年齢をこれまでに意識をしたことが無かったのだけれど、この時18歳だったらしい。
それで恐ろしくなったのが自分の年齢よ。ウチの長女はもう18歳になる。この春から大学生だよ。1988年の中山美穂と長女の年齢が揃っちまった訳だ。じゃあ俺はいくつなの?と考えてしまった。

「You're My Only Shinin' Star」を貪るように聴いていたあの頃の自分と、今の自分では何も変わっていない。こんなに意味の無い長文をSNSに書き綴ることに時間を使ってしまう程度にはチャイルディッシュな精神性を維持している。不思議なもので娘の成長は感じていながらも、自分が年老いていく様には気がついていないのだ。そういえば腐れ縁の柔道部仲間の同級生も、今年お爺ちゃんになるらしい。

俺もきっとこのまま歳を重ね、還暦間際くらいで死んでいくのだろうけど、その頃にも人間の中身は変わらんだろうね。弔辞では「落合は少年の心を忘れない男でした」と読んでもらいたいものだな。実際は成長の無い人生を送っただけだけどな。

どうせあと十数年しか無いしね、今更格好つけられる心柄も持ち合わせていないから、小賢しく大人のように振る舞いたくは無いね。死ぬ直前まで「You're My Only Shinin' Star」聴いて、録音中にコーラの栓を抜いた親父に舌打ちした、あの気持ちのままでいたいものだね。

一生聴き続けられる良い曲だと思いますよ。

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