端的に言うと、私はGIDだ。

端的に言うと、私はGIDだ。
GIDは、Gender Identity Disorder の略称だ。日本語では、性同一性障害や、性別違和、などという。
私の身体は女性だが、私は私自身の身体を男性であると感じ、考えている。

そも性別とは何か。
性同一性障害の概要 http://idm.s9.xrea.com/gid/gid1.html 
こちらを読んでほしい。少し古いサイトだが、私の言いたいことがあらかた書かれている。
そして性同一性とは何か。
脳のなかの天使 http://www.amazon.co.jp/dp/4041101042 
この本を読んでほしい。第9章に性同一性障害の原理が書かれている。この説明が最も分かりやすいものだと、またこの説明が最も的確なものだと、私は思う。少なくとも、「私の」GIDはこの説明で納得がいく。
シスジェンダー(非トランスジェンダー)特権チェックリスト http://d.hatena.ne.jp/Ry0TA/20080820/1219226841 
それからこの辺りも読んでみるといいかもしれない。

(2017/11/29追記)
月刊 精神科治療学 第31巻08号 LGBTを正しく理解し,適切に対応するために
http://www.seiwa-pb.co.jp/search/bo01/bo0102/bn/31/08index.html 
これもおすすめする。

ちなみに、私自身の言葉で、なぜ「私の身体は女性だが、私は私自身の身体を男であると感じ、考えている」のか、は説明しない。なぜ、と訊かれても困るからだ。それは私にとってあまりに当たり前のことだから。
そして、なぜ、と聞かれた時点で、私とあなたはこの感覚を本質的に共有できないという答えが出ているからだ。

高い声が、狭い肩が、膨らんだ胸が、絞られたウエストが、広い腰が、毎月来る月経が、女性的な骨格が、筋肉と脂肪の分布が。それらが自分の身体であることが、理解できないのだ。自分の身体であることは間違いないのに、居心地が、収まりが悪いのだ。この上なく。悪すぎて家の外に出たくなくなる程度には。生きているのが楽しくない程度には。誤解を招かぬよう書き添えるが、生活の質の話だ。たしかに死んだほうが楽なのではと思うほど低いがその予定はない。
この感覚をもう少し分かりやすく表現するならば、「身体に意識を留めておくのが苦痛である」になるだろうか。例えるならそう、インフルエンザ2日目の眠れない夜が永遠に続くようなものだ。

将来的に、この身体の性別を投薬や手術で変えるつもりで、ちまちまと性同一性障害を扱う心療内科に通っている。
だが私はこの身体を綺麗だと思う。自分の身体であるという点を除けばとても好きだ。あいにく私の性指向は男性なので、性的に好きにはならないが。現代の拙い技術で手を加えてしまうのはもったいない、と思う。早く義体化技術とか完成しないだろうか。まあ完成しないだろうし、自分の身体に遠慮するのも妙な話なので、割り切ることにしている。

さて。で、私はこうカミングアウトしてどうしたいのかというと、別にどうしてほしいわけでもない。どうせ言うなら早いほうがいいという類の、単なるお知らせだ。
「私は男なんです!だからこれからは男として扱ってほしいんです!」と言うためにこれを書いたのではない。男扱いされてもこの身体の女性要素は1bitたりとも減らない。
ゆくゆくは生活の性も戸籍も変えたいが、変えたいと思ったから変わるものではない。それから、身体的性別の移行に伴う結果、として変えたいのであって、変えること自体が目的なのではない。
というか、私自身、他人の性別をあまり考えないので、他人が性別をどう考えているかがいまいち分からない。
あなたが私をどう思うか、はあなたに依存するものであって、私に依存しない。性別に限らず。

が、こういう主張の薄さがだめなんだろうなあ。社会はおろか自室からろくに出ないヒキニートだからこんなに悠長なことを言っていられるのだろう。
社会に出ているGIDの人達は、生活の性や、他者から見た性に大変な思いをしている。私は自分の身体の性のみを気に掛けている。それしか目に入らないせいで、それ以外の問題が頭に上がっていない、のかもしれない。それとも実際、自分の身体の性との違和以外のことはどうでもいいのかもしれない。
だが、もう少ししたらバイトを始める予定だ。そうしたらまた変わるかもしれない。

そう、ヒキニートをやめないといけない。というのも、今通っている心療内科の先生に、「ニートに施す身体的治療は無え!(超訳)」と言われているからだ。
日本には、日本精神神経学会が発表した「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」なるものが存在し、それの1項目に「身体的治療に移行するための条件」がある。そこには、「身体的変化に伴う心理的,家庭的,社会的困難に対応できるだけの準備が整っていること」と書かれている。
私はこの1文を、「そもそも引きこもっていたら社会的困難は発生せず、よって対応する必要はなく、準備が整っている必要もない」と解釈した。でもまあ、先生は「一生涯引きこもるつもりか」と言いたいのだろう。うん。
ちなみにこの1文以外もいろいろと、ヒキニートがまるきり眼中にないことがつらつらと書かれている。性別違和を理由に引きこもる軟弱者は帰れと言わんばかりだ。辛い。

なのでバイトを始める。

さきほどさらっと流してしまったが、私の性指向は男性だ。性自認と合わせて、つまり私は同性愛者だ。これもカミングアウトになる。

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