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和歌山ホークス 第34期生卒団式

▼2023年1月9日
 第34期生6名の卒団式が執り行われました。一般的な卒団式がどのようなものか知りませんが、ホークスの卒団式は「感動と笑い」がテーマです。いつからそうなったかは覚えていませんが、卒団生は3年間の思いを語り、在団生は場を盛り上げることに全力を尽くします。役割はそれぞれですが、「しょうもないことも全力で」をモットーにするホークスらしさが全開の卒団式です。

▼どんな言葉がかけられたか
 一人ずつ名前が呼ばれ、拍手で迎え入れられます。セレモニーに慣れていない選手達はどう立ち振る舞えば良いか分からず、一様にこわばった表情で入ってきます。緊張感の残る中で寺岡代表、古井監督から卒団生6名に、そして一人ひとりにメッセージが送られます。選手達をいつも見守っている寺岡代表からは涙ながらに温かいメッセージが(涙もろい)、そしてグランドでは厳しい言葉が多めの古井監督からは、普段はあまり語られない頑張りへの評価と次のステージに向けての激励のメッセージが送られました。二人から語られた言葉は、卒団する6名がホークスでの生き方を象徴するものです。嘘偽りのない代表・監督からの言葉を胸に、ホークスでの日々に自信と誇りを持ってこれからも頑張って欲しいものです。

▼一人ひとりから語られる思い
 各々が支えてくれた両親に、指導を受けた指導者に、共に戦ったチームメイトに、サポートしてくれた関係者の方々に思いをぶちまけます。お世辞にも上手に話しているとは言えませんが、一生懸命に考えてきたことが伝わる内容を、あふれんばかりの感情で涙ながらに語る姿は胸を打ちます。
 この時にいつも思い知らされるのは、順風満帆に3年間やってきた選手は一人もいないということです。楽しかった思い出よりも、苦しかったこと、辞めようと考えたことをどう乗り越えたかが語られます。そして、そんなときに支えとなったのはやはり家族の存在であること。親が子に向ける愛情の偉大さにはいつも頭が下がります。クラブチームで野球をするにあたって家族の支えは本当に大きく、保護者の方々にはたくさんの尽力をいただくのですが、この場で語られる子ども達からの「ありがとう」によってきっと苦労が報われるんでしょうね。クラブチームは保護者の苦労も少なくないですが、子どもが野球に向き合うためにかけられたこの時間の重さは、きっと一生忘れないと思います。

▼先輩から後輩へ
 34期生は全国大会での1勝を目標にやってきました。実はホークスは全国大会への出場経験はあるものの、まだ全国大会(Re)で1勝もできていないんです。彼らなりにホークスの新たな歴史を作ろうと、本気でそこを目指していたんだと思います。春は全国大会の1回戦で好投手に完全に抑えられ、夏は最後の最後で全国大会出場を逃した場面が思い出されます。
 この目標は当然降って沸いたのものではなく、歴代の先輩たちが作った道の上にあるものです。6名全員の口から「僕たちが出来なかった全国1勝を果たして欲しい」という言葉が後輩に託されました。リップサービスなんかではなく「きっとお前たちならやれる」と心から信じていると思います。
 思いを受け取る後輩達は、負担に感じるのではなく、歴代の先輩達が成しえなかったことを自分達がやれることにワクワクしながら目標に向かって欲しいものです。(その時は大いにドヤりましょう)

▼宴
 後半はホークスの真骨頂、在団生による卒団生に送る全力パフォーマンス。いつから始まったのか、いるのかいらないのか分かりませんが、もはや誰にも止められません。グランドよりもイキイキしている選手もいれば、戸惑いを隠せない選手もいますが、やるしかないという謎の空気に支配されます。(パワハラ?)
 今年の優勝はオタ芸を披露したDチーム。代表して表彰台に上がった堂本は1年前は声を聴くのも珍しいくらい大人しい選手でしたが「一緒にがんばった仲間に喜びを伝えたい」という謎のコメントができるまでに成長しました。そういえば、土岐(卒団生)がスピーチの時に「ホークスに来て性格も変わった(多分良い方向に)」と言っていました。「野球が上達した」よりも100倍嬉しい言葉ですね。良くも悪くもホークスの選手は中学生の割に幼さが残っている所があって、じゃんけん一つでめっちゃ盛り上がれるという選手達です。ほんまにしょうもないことで盛り上がれる空気があるって、実は多感な時期の中学生には結構大切なのかもしれないと思い始めました。そう考えるとこのパフォーマンスは実は奥が深いかも?「何でこんなことしなアカンねん…」と思っている選手絶対いそうですけどね。(意義のあるパワハラ)

▼3年間を振り返る時間
 卒団式の締めくくりは監督が作成してくれるスライドショーです。それまでの賑わいとは打って変わって、3年間の思い出と向き合う時間となります。いろんな場面が映し出され、一人ひとりがそれぞれの場面にそれぞれの思いをフラッシュバックしていることでしょう。笑いを誘うスライドもありますが、誰も言葉を発することなく、ただ静かに卒団する皆さんとの思い出にひたります。
 シンプルにプレイしている姿がメチャクチャかっこよくて、3年間の成長が感じられて、チームであったことを強く認識させられて、いつまでも続いて欲しいと思う何とも心地よい時間です。

▼選択した道を正解に
 卒団する6人にとって、3年間(1年前)に下した「ホークスで野球をする」という選択は正解だったでしょうか?
 もし、「ホークスに入って良かった」と感じているのであれば、それは自分自身の力で正解にしたということだと思います。高校へ行くとそれぞれに異なる環境で頑張ることになりますが、選択した段階で正解か不正解かは分かりません。ただ、選択を正解にする努力は全員にできることです。
 まだ、しばらく野球中心の生活は続くでしょうか?いずれ訪れる野球人生の終わりに、歩んできた道が間違ってなかったと胸を張って言えるようこれからも精進してください。
 ホークスはまだまだ伸びしろだらけのチームですが、その中で学んだことが今後も君たちを前に進める原動力になることを願っております。

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