笑顔なき表彰式

5月28日(土) 3年生が今年の最大の目標に掲げてきたヤングリーグ選手権大会の予選、今日の試合で2連勝すれば優勝(選手権出場)が決まる運命の一日です。
タイトルでほぼ結果は想像がついてしまうかもしれませんが、一日の様子をリポートします。

試合会場はホームグランドから約30分、身体を少し動かしてからの出発です。保護者の皆さんも練習を遠巻きに見守っています。選手達がこの時間(時間帯は影の長さでご想像ください)から練習するために、家を出るまでにお弁当を作り、諸々の準備を整えるためにいったい何時に起きているのでしょうか?本当に頭が下がります。

午前9時試合開始
先発は辻脇。最近は球威で押せる力もつけてきており、四死球での自滅さえなければ大崩れすることはなくなってきました。好投手との対戦となるため、ロースコアの試合展開に持ち込み、少ないチャンスを何とかものにしていきたいところです。

試合は予想通りの投手戦。お互いにランナーは出すもの決定打を欠いたまま試合は中盤に差し掛かります。

先にマウンドを降りることになったのは辻脇。
4回終了時点で、投球数制限の80球を使い果たしマウンドを次に託します。(投球数が多いのは大きな課題)
2番手に指名されたのは中本。現状ホークスの投手陣は辻脇、中本が2本の柱であり、展開次第では2試合目の先発にと考えていたと思いますが(仮説)1点もやれない試合展開で監督も勝負をかけてきました。

中本も起用に応える好投。5回・6回を無失点で切り抜け、0対0のまま最終回へ。
7回の表の攻撃、相手の守備のみだれから2アウトランナー二塁の場面で、代打は2年生の山本。
痺れる場面で、ワンボールからのファーストストライクをきっちり捉えて、均衡を破るタイムリーツーベースを放ち、塁上でガッツポーズ。

勢いに乗じてこの回に一挙4点。最後の守りも中本がきっちり抑え、4対0で勝利をつかんだ。

午後からいよいよ全国切符をかけた一戦。
投球数制限の中での2試合目となり、投手起用が勝負の鍵を握る。
運命のマウンドを託されたのはキャプテン美濃。初回を3人できっちり抑え、その裏の攻撃で相手エースを捉えて4点奪う最高の滑り出しを見せる。

一試合目の勢いそのままに流れを引き込んでいきたいところだったが、2回に美濃がつかまり6点を奪われる。大荒れの試合展開の予感。
3回に3点を奪い、すぐさま試合をひっくり返すが、2番手上田も相手打線を止められない。中盤はお互いに流れを掴みきれないまま、取っては取られを繰り返し、5回終了時点で11対10。1点のリードで残り2イニングの攻防に入っていく。

なかなかスコアボードに「0」が入らない苦しい展開の中、一試合目に続き途中からマウンドに上がっていた中本が6回を3人でしめる。
お互いに掴みきれなかった流れを一気に引き込みたいところだったが、裏の攻撃で三者凡退。
1点リードのまま、0で抑えれば全国出場が決まる7回の守りへつく。
この時点で中本も投球数制限いっぱい。最後のマウンドは常にチームを鼓舞し続けてきた精神的支柱、キャプテンの美濃。序盤につかまりながらこの局面でマウンドに上げるのは過酷な起用かもしれませんが、誰よりも全国への思いが強い男に託します。

しかし、ここにきて守備に乱れ。
1点のリードを守りきれない。
苦しい状況だが、何とかこのイニングを凌いで裏の攻撃につなげようと全員で声を掛け合い、最後のアウトを取りに行きます。

何とか3点で踏みとどまったものの、裏の攻撃で2点をはね返す力はもはや残っておらず、ここで全国大会出場という目標はついえました。

試合終了の挨拶後、手際良く表彰式の準備が進められます。
気持ちの整理もつかぬまま、相手チームが喜びを爆発させ表彰されている姿を見届けなくてはならないのは、何とも残酷なものです。

しかし、この悔しさはこの舞台まで上がってきたチームだけが味わえる特権です。
自分達の心を、見ている人たちの心をこれだけ揺さぶることが出来たのは、今まで頑張ってきた証でしょう。
最大の目標としてきた全国一勝には届きませんでしたが、負けたらそこで終わりではなく、幸か不幸かこのチームでもうしばらく戦っていくことになります。
人生、そうそう上手くいくことばかりではありません。こんな時にどう振る舞うか、どういう行動に出るかが、野球選手として、人としての価値が問われます。
今のチームを、自分自身をこの経験をもとに必ず成長させてください。
そして、この景気の悪い仏頂面が揃った集合写真を、いつか必ず笑顔が爆発した写真に変えましょう。


5月29日(日)
次の目標に向かって動き始めています。

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