枘組の強度の出し方

枘(ほぞ)と枘穴を作り家具を組み立てる際の強度の出し方を紹介します。

まず、枘組の基本的な原理を下の図に示しました。部材に対する枘のサイズですが 、厚みは一枚枘では部材の3分の1、二枚枘では部材の5分の1になります。実際にはそれぞれの数字に近いのみや角のみを使って開けることになりますが、部材の厚さがあまりない所では5等分してしまうと枘がとても薄くなってしまうので一枚枘で作ります。だいたい25mmから30mm位までが二枚枘を作れる限界だと思います。
次に下の写真のように枘穴が部材の端にくる場合、少しでも部材の端から枘穴までの距離をとるために三方胴付きにします。私はだいたい20mm以上は残すようにしています。その他の場合は基本的に四方胴付きの枘で作っています。

IMG_枘の基本

画像2

次に枘を作る手順ですが、のみや角のみのサイズより枘穴の幅はどうしても大きくなってしまうので、まず枘穴を先に開けてそれに合わせて枘を作ります。
枘の厚みですが枘穴の幅に対して、差し込んだ時にすっと入って持ち上げると下の部材もついてくる位の厚みで作ります。(2枚目の写真)だいたい0.1mm位枘穴の幅に対して薄くなります。かなりシビアな加工になりますが、ここが緩い接着面が浮くとこになり強度が出ません。また反対に厚すぎると枘穴の方の部材が割れます。
次に枘穴の長さに対して枘の幅は広葉樹で0.5mmほど、針葉樹で1mmほど大きく作ります。つまり無理に叩き込まないと入らないサイズで作ることになります。これを締まり代と呼びます。この時枘の先がすんなり入っていくように、1枚目の写真の様に面取りしておくことも重要です。私は写真の様に部材の端に枘穴がくる場合、枘穴の先がとばないように締まり代を半分くらいにしています。ただ、締まり代をきっちり取り枘穴の部材を最終的な寸法より長く残して、組み立てた後に切り落とせばより強度が出ます。
また、枘の長さは枘穴の深さに対して2mm位短くなるように作ります。

画像3

このようにして作った枘組は、当て木を当て玄能で叩き込んで組み立てます。このとき、特に二枚枘ではスコヤで直角に入っていっているか確認しながら叩き込むことが重要です。枘穴の長さ方向だけでなく、厚みの方向でも確認してください。二枚枘をねじれて組み立ててしまうと、あとで修正するのは難しく使われるところによっては作り直しになります。叩き込んだだけでは、きっちりと胴付が付かないので最終的に3枚目の写真の様にはたがねなどで締めておきます。このとき、部材がきちんと直角に組み立てられているか、ねじれていないかを確認します。

画像4

いかがでしたでしょうか?
家具もダボやビスケットジョイント、ビスなどで組み立てられる事が多くなり、なかなか枘組まで行う事も少ないかも知れませんが、どうせするのであれば強度を出したいですよね。かなりシビアな加工にはなりますが、枘組で組み立てることがあればぜひ参考にしていただければと思います。

参考文献
増補版 たくみ塾の木工の基本 基礎から学ぶ木工作 婦人生活社 (絶版です。最初の図はこの本から引用しました。)

©2020 みくまり木工芸. All Rights Reserved.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?