辛いもの食べすぎて馬鹿になった話

小さい頃、炭酸のジュースは骨が溶けるとか、辛いものを食べ過ぎると馬鹿になるとか、そういった脅し文句をたびたび聞いた。
そんなことはありえないだろうと子どもの頃は思っていたのだが、これがあながち根拠のない話ではないと知ったのは大人になってからだ。

さて、私は何にでもチリペッパーや一味唐辛子をかけるほどの辛いもの好きなのだが、学生の頃に中本の北極ラーメンを食べて体調を崩したことがある。
それ以来、中本に足を運ぶことはあれど北極ラーメンは絶対に食べないようにしていた。
ところが、日々辛いものを喜んで摂取しているうちに、ちょっとやそっとの辛さでは満足できなくなり、昨年のある日のこと、「今なら北極ラーメンもいけるのでは?」と思い、意を決して数年ぶりに北極ラーメンを注文した。
結果、なんともなかった。克服した…というか身体が辛みに慣れすぎて、その程度の辛さで拒絶反応を示さなくなったのだ。

「辛い」というのは「苦い」とか「甘い」とかと違って、味覚ではなく痛覚だそうだ。
つまり私は痛覚が馬鹿になったというわけだ。子どもの頃に聞いた「辛いものを食べ過ぎると馬鹿になる」というあの脅しはある意味正しかったと言える。
人はどこまで馬鹿になれるのだろう。そんなことを考えながら、職場のデスクに一味唐辛子を忍ばせるのであった。


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