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普通の日本の小学生が高度な4技能英語力を身に付ける為に知っておくべき大事なこと

小学生の保護者が英語教育について知っておくべき5つのことをご紹介致します。これは子供を英語だけで授業をする小学校に入れ中高と過ごした経験、そして自身で英会話スクールを経営して来た経験、学習塾を25年経営してきた経験、学校教育に関わった経験からのお話です。

英語はコミュニケーションの手段


親として本当に子供に英語力をつけさせてあげたいと思ったら、まず考えるべきことは、英語は勉強の対象ではなく、コミュニケーションの手段だと言う事です。私たちが受けてきた英語教育は、点数を取るテストの為の英語教育です。その結果どうなったかと言えば、中学3年間、高校3年間、大学4年間の計10年間、しかもかなり真剣に勉強したにもかかわらず使える英語力が身についていないという不名誉な有様です。

小学生が高度(ここでは英検準2級〜2級程度としておきますが)な英語力をしかも、有効に使えるレベルで身に付ける為には、断言します、英語はお勉強ではない事を伝えてあげるべきです。また親として勉強の様な成果をもとまないで下さい。

ここから派生する事実こそが、小学生でも使える英語力を身に付ける為に理解しておくべき大事なことになります。

英語そのものの勉強ではなく、英語を使って学ぶ


続いての大事な事は、英語を使って学ぶという事です。私が経営する児童生徒向け英会話スクールでは、英語そのものの勉強は多くの時間をかけません。つまり文法問題のパターン演習や英単語、熟語の暗記とテスト、リーディングの為の構文読解などはしないと言う事です。厳密に言えば小学生なので出来ません。ではどうするかといえば、英語を使って他の教科を学ぶのです。理科や社会などの世界の出来事をプロジェクトにして、調べて、まとめて、友達や先生と議論して発表するのです。このスタイルの第二言語習得法をContents and Languege Integurated Lesrning(以下CLIL)と言います。そこにProjecto Based Leaining(以下PBL)型の問いを設定して、例えばチータはどうして足が早いのかとか、雪はどうして冷たいのかとか、太陽はどうして東から登るのかなどの問い(プロジェクト)に対して深く追求するスタイルの学習方法です。このCLILとPBLこそが、子供が興味関心を持って主体的に学習に取り組む学習方法なのです。ですから文法や単語が載っているワークブックを解かせる式の英語教育は特に小学生にはお勧めしません。


英語と実社会をつなげてあげる


次に知っておいて欲しいこと、それは英語学習に目的を持たせると、子供達は学習に前向きになると言う事です。別な言い方をすれば、経験や体験と絡めると言う事です。これも英語を使う事とも重なります。GLIではさまざまなイベントが設定されています。フィールドトリップは、外国人がたくさんやって来る浅草や築地に行ってインタビューをし、習った事を実際に試します。自分の言葉や考えが通じた時の気持ちを想像して下さい。学ぶ意欲、高まりますよね。インターナショナルデイでは、海外の子供達とオンラインで繋いで、共同学習をします。2022年のクリスマス会はフィリピンのミンダナオ島の孤児院で暮らす子供達と幸せについて考えました。日本は経済的には豊かで、安全です。ミンダナオ島の子供達は経済的には恵まれていなくても仲間と助け合いながら楽しく生活をしています。果たして幸せってなんなのだろうと考えました。こうする事で子供達の世界感が広がります。家と学校と塾の世界観が一気に世界へと広がります。自分とは違う世界があると言うこと。そこにも同じような子供が生活していること。でもどうやら考え方や生活スタイルは違うと言うこと。それらを学ぶ事で、自分の未来や世界がイメージしやすくなるのです。そして英語が使えるからこその経験として、GLIでは小学生から海外にスタディツアーに出かけます。コロナ前はネパールに行き現地の小学生と一緒に勉強し、日本の事を伝える為にプレゼンをしました。中高生は2022年、バングラディッシュに行き、グラミン銀行のマイクロファイナンスを直に体験しました。23年の春はハワイです。ハワイは日本が排出するプラスティックゴミが沢山漂着し、野生動物を苦しめ環境破壊をしています。現地のNGO団体とゴミの回収作業をして、在ハワイ日本大使にハワイの伝統文化についてお話を聞き、ゴミ問題解決の策を考えてハワイ大学の教授にプレゼンをすると言う内容です。こうやって英語が出来ることで世界が広がると言うこと、英語はコミュニケーションの手段だと言うことを理解する事でさらに英語を学びたいという意欲から、英語を使って何を学ぶかに焦点が映るのです。そうしたら英語はおろか学習そのものの意欲も高まるのです。なぜなら学ぶとは社会と密接に繋がっているからです。その事が解ると子供達は言われなくても学び行動し始めるのです。

英語を使って活動する〜社会と関わる意欲こそがこれからの学習評価


次は将来もし海外留学する場合に知っておいて欲しい受験の事実です。日本の総合型選抜でもトビタテ留学ジャパンの様な奨学金制度の基準でも求められる資質能力です。
海外の大学入試は日本の様にテストの点数だけで合否が決まるものではありません。海外の受験では学校の成績(評定平均)と志望理由書が重要になります。志望理由書とは何かと言えば、一言で言えば社会と関わる意欲と行動力です。勉強以外にどんな活動に参加してどんな経験をし成長をしたのかを選考者に伝わる様に説明しなければなりません。つまり、日本の教育=受験勉強では、学校と家と塾のトライアングルゾーンでしか生活していなくとも、社会と関わる機会など全くなくても大学へは行けてしまいますが、海外ではそうは行きません。この社会と関わる中で発見した”学ぶ動機”は、そう簡単には身に付かない事を保護者の方には理解しておいて欲しいです。受験勉強は1〜2年あれば何とかなります。しかし意欲や目的意識はそう簡単には身に付かず、小さい頃にその芽を摘んでしまうと、再生するのは難しいのです。

英語学習を従来のテスト型にしない


最後に本当に使える英語力を身に付けて欲しいと思ったら、絶対にやってはいけない事をお話しします。それは、勉強の様に学ぶ事を強いて、テストの様に結果を求める事です。私たちの世代は勉強はテストの為にするものであり、良い点数や合格が目的でした。単元と言う定められた学習内容を暗記するかパターンを覚え切るまで学習させられ、それが出来て良い点数が取れる子は良い子で、取れない子はダメな子と評されました。しかし、考えてみて下さい。日本語を覚える時幼稚園から文法を習いました?決して習っていませんよね。学年を越える言葉や漢字を覚えさせられましたか?これは少しありそうですが、決して学校のテストでは小学1年生で中学1年生の漢字を答えさせられる事はありませんでした。そうです、語学は繰り返しで習得できるものであり、だとするならば繰り返した、使いたい、覚えたいと思わせる事が大事なのです。繰り返しますが、語学は繰り返せば繰り返すほど覚えます。だとしたら何回も使いたいと思ってもらう環境を設定する事が大事だだと思いませんか?本当にあるあるですが、出来たの?覚えたの?と問い詰めてしまって、果ては英検合格だけに突っ走ってしまう保護者がいますが、果たしてそれで良いのでしょうか?英検2級は合格自体はできますが、その事自体は英語が使える事を意味しません。それは私達が証明しているはずです。学び方次第では英検3級でも使える英語力は身に付きます。英語を学ぶ目的は、日本語だけでより、もっと多くの人に自分の思いや考えを伝えられる様になる事です。その事によって自分の世界が広がる事です。だとするならば英語のテストや資格に躍起になるのではなく、英語を使って自分の思い、すなわち興味あること関心ある事を発見し思いを深め、それらを伝える事の方が大事だと思うのですが、皆さんはいかがお考えでしょうか?

英語ができると世界が広がる


大人にとっては単なる英語学習ですが、子供にてっては将来進む世界が左右される大事な大事な手段を獲得できるかどうかなの分かれ道なのです。もちろん大きくなってからでも英語力を身につける事は出来ますが、英語を使って小さい頃から見聞きした経験は大きくなってからでは得られません。子供の頃の感性で触れる世界は大人では再現し得ない宝です。だから小学生の時の英語学習は単なる資格検定の取得云々の話でもなければ、単なる英語力の獲得云々の話でもなく、英語と言う望遠鏡を使った広く深い壮大な世界を心に刻み込む事ができるかどうかの重大な問題なのです。保護者の方には単なる点数と考えてその道を奪わないで欲しいです。大事に大事に関わって、子供の未来を世界へと広げてあげて欲しいです。どうか。