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太田翔洋の理念について

三年生の試合が終わりました。この瞬間に毎年思います。今年はキチンと成長させて挙げられただろうか?と。太田翔洋の象徴である、仲間と共にバカになって野球を心の底から楽しむ事が出来ただろうか?と。保護者はそんな我が子の活躍をみて、感動する事が出来ただろうか?と。

太田翔洋の設立理念は主に3つです。

①選手が純粋に野球を楽しめる事②文武是即ち両道③野球にまつわる悪しき習慣の排除です。

選手が純粋に野球を楽しめる環境。これが日本から消えつつあります。個人的には中学校の部活でいいと思っています。昔は十分でした。しかし現在は人数が少なく試合が出来なかったり、野球経験のある先生がいなかったり、最近では野球部内のいじめで辞めざるを得なかったり、部活動を通して心身を鍛えると言う環境が少なくなってしまいました。一方、クラブチームはどうかと言えば、その当時は相変わらずの昔の野球で、指導者が全てで絶対に逆らえず、圧迫指導、時には未だに暴力も出る始末。これでは選手は実力を発揮出来ないどころか、野球すら辞めてしまう。だから部活以上クラブチーム未満で、選手が主体で本当にスポーツとしての野球を思い切り楽しめる環境を作ってあげたい。これが元々の設立の趣旨です。

2番目の目的は野球だけでは無く、勉強も社会活動も行って、人としての土台を作る事。太田翔洋最初のイベントは東北大震災のボランティア活動でした。ハイエースで6時間かけて石巻まで行き、宿泊先は一泊2000円の素泊まり。2012年ではホテルも旅館もまだまだ再開されていませんでした。内容は、津波で流された写真を地区毎に仕分けして泥などの汚れを綺麗にし被災者が見つけられる様に掲示するボランティアでした。新潟の55ナイトウォークは長岡から一昼夜かけて55キロ先の新潟市まで歩くイベントです。40キロ過ぎからの苦闘は仲間がいなければ乗り切れないほどキツイですが、みんなで支え合ってゴールした瞬間の達成感と感動は絶対に一生忘れられない思い出だと思います。保護者も子供と一緒にこの様な感動が味わえる事はそんなに無いと思います。

日米親善野球はポニー選手だけが出来る最高の経験だと思います。旅行でアメリカに行く事はあっても野球で行けることはほぼ無いでしょう。アメリカの子供を家に読んでホームステイをさせる経験も。APで海外の選手と試合をする事も、日の丸をつけてアメリカに行く事もお金が買いたくても出来ない経験です。

技術は心があって活きるものです。中学生と言う多感な時期は野球や勉強だけではどんなに技術習得をしてもそのスキルを活か仕切ることは出来ません。また人生の先々の事を考えても野球や勉強だけでは人としての重みが違って来ます。スキルを活かすも殺すも物事の考え方次第!考え方の深さ、正しさがあって初めてスキルは活きて来ます。その考え方の深さと正しさとを身に付けるには様々な経験が必要です。勉強会での勉強はもっぱら物事の考え方が中心です。経験した事を頭で考える。そうやって子供から大人に成長する不安定な中学生が段々と自分の事は自分で考え判断し誰かにやらされる行動では無い自分の行動が取れる様になって行くのです。とかく大人は目先の知識や技術に走りがちですが、人間ってそんなもんじゃありません。技術だけで甲子園に行けるなら、強豪私立はみんな甲子園にいけちゃいます。偏差値だけで良い仕事が出来るなら、東大生はみんな人生の成功者です。逆にどんなに貧しくても、毎日楽しく過ごしている人が大勢います。だとしたらあなたの野球は何故苦しいのか?その答えを出すには、沢山の経験と思考が必要なのです。

3番目は野球チームの悪しき習慣を廃する事です。中3が一番初めで、中1が最後など保護者にまで序列を設ける事や、お茶当番などよくよく考えると不要なもの、効率の悪いものなどを排除して、関わる人の負担を減らす事。そんもそも親としてチームに来るのが嫌な環境では、子供にもそれが伝わります。保護者同士が、または保護者がスタッフの、スタッフが保護者の悪口を言っているチームが果たして強くなれるでしょうか?大人同士のその様な関係を見ていて、選手が心から野球に勉強に頑張れるでしょうか?太田翔洋は元来チーム全員が仲のいいチームです。SC会長を中心にみんなで助け合って仕事をやりくりしてきました。卒団式や飲み会では保護者スタッフ関係なく酒を交わしました。そして本当にいいチームでした!と言って貰って親子共々卒団して行ってくれました。その瞬間は本当にチームを運営していて良かったと思える瞬間です。そんな関係を失わせる悪しき習慣はいらないことにどうして多くのスポーツ関係者が気づかないのか?不思議でなりません。

悪しき習慣の中でも会計は主要な理念の1つです。細目が大きすぎて実際に何に使ったか解らない明細。かつてのクラブチームでは関係者が飲んだ飲み代まで部費から出すなどと言う巷の話も聞きました。決して安くは無い部費を頂いて活動しているのだから、何にいくら使っているかははっきり保護者に開示しよう。この考え方も設立の大事な理念です。ましてや翔洋のスタッフは手弁当で関わってくれています。イベントや合宿も自費で参加してくれています。そうした人達の善意を考えると、決して適当な管理は出来るはずがありません。

太田翔洋は単なる野球チームではありません。誰もが純粋に野球を楽しめる場所、野球だけでなく人格形成できる場所、その為に必要な事以外は排除し、チームとして選手の活躍と成長を共に見守り楽しめる環境。それが太田翔洋です。

忘れもしない、3年前!ルイトがキャプテンの時代。何点取られても見ている方はワクワクしていました。さあ、どこから反撃が始まるのか?その前年の池澤さんの時代からようやく描いたチームの雰囲気が出て来た様に思います。大人同士仲良く一丸となって子供達を見守る。だからこそ選手達も心置きなく活動に打ち込める。本当に連盟審判など外にもファンが多かったし、その頃から太田翔洋のチーム全体の雰囲気を気に入ってくれる人が多くなった(実際FBにも良く返信を貰いました)。果たして今年もそんなチームが作れたのか?3年生の最後の大会が終わる度に思います。

組織は理念に始まり、理念に終わります。こう言う組織を作りたい!と言う理念があってそこに賛同してくれた仲間が集まります。そして全員でその理念の実現の為に関わって行く。これが組織の在り方です。

私は経営者です。25年間その様に学習塾の経営をして来ました。理念がおろそかになった時、組織はおかしくなり、衰退の道を歩み始めます。ですので、保護者の皆さまには、太田翔洋の理念がおかしくなっていないかどうか常にチェックをお願いしたいと思います。おかしくなって、修正不能となったなら、私はいつでもチームを閉じる覚悟でいます(会社も同様です)。何故なら単なる野球チームは他に五万とあり、理念なき活動は何も生み出さないどころか、時として関わる人を不幸にするからです。

野球は好きだけど、様々な環境が許さない。保護者は誰も自分の子供が怒られるところを見たい人はいない。むしろ仲間と楽しく夢中になっている姿を見たい。指導者は選手を尊重しやりがいを引き出す。そして勝ったら大喜びをして、負けたら反省し次を向く。子供の活躍を肴に酒を飲む。地域の野球チームの活動はこれ以上でもこれ以下でもない。新たな代替わりを機に、再度心に収めたいともいます。