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「オウチで温泉」寒の地獄温泉でじんじん血行促進

執筆/石井宏子(温泉ビューティ研究家・旅行作家)

旅にも行けない、外へも出られない。リモートワークで疲れもストレスも溜まってきて体も心もパンパンです。ああ。家に温泉があったらなあ。そうだ!いいことがある。というわけで、2つめの「オウチで温泉」=自宅にお取り寄せできる温泉をご紹介します。

今回は、ぐるぐると血の巡りをサポートしてくれる、硫黄を含むエメラルドグリーンの温泉です。大分県・寒の地獄温泉は、江戸時代に開湯した温泉です。なぜ寒の地獄かというと、唯一無二の冷たくも美しい硫黄の泉が湧いているからなのです。源泉温度は14度、毎分2トンもの膨大な湯量で湯船の底から滔々と自然湧出しています。ここへの全身入浴は7~9月の期間限定で、水着を着て入ります。足を入れるだけでもしびれる冷たさ。どうしよう、入れるかなとビビるのですが、大丈夫。コツがあります。自分を抱えるように両腕を胸の前で交差して、脇の下に両手をはさんで「えい!」と気合で一気に入ります。これはスピードが勝負。躊躇している余裕はありません。「えい!」できた。入れた。最初の3分は地獄。でも、それを乗り越えたら霊泉と呼ばれる理由が解ると聞き、じっとねばります。肌の上に、ふわふわの白い小さな湯の花がびっしりと生まれています。生きている、まさに、温泉は生きている水・・・。地獄が極楽に変わる感動の瞬間です。

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冷泉に入って15分、今度は、熱々のストーブの部屋に駆け込みます。真っ赤に炊かれたドラム缶ストーブのまわりで暖まる「あぶりこみ暖」、つまり、サウナーの方が楽しむ「整いました」を逆回転で行うというイメージ。霊泉は拭き取らずに、ストーブで体をあぶって肌へ馴染ませていくのが達人流。

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もちろん、ご安心ください。この宿には癒される「あったか~い温泉」もあります。源泉を薪による熱交換で加温した100%のかけ流しです。男女別の大浴場「互久楽湯」は、ほっかほかに加温した、「温かな温泉」と、ほどよい温度の「ちょっとぬるめの冷泉」の湯船があって、温冷交互浴が楽しめます。自律神経のバランスを整えて疲れを癒して、夜はぐっすり熟睡。泉質は単純硫黄冷鉱泉で、にごり湯にはならないタイプの硫黄泉、硫黄の働きで血行促進して、じんじんじわじわと温まり、肌代謝もサポートされて、ツヤツヤ肌っぷりにうれしくなります。

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宿の中庭には湯の花びっしりの硫黄泉の川。宿泊者は何度でも無料で入れる貸切温泉が3つもあって贅沢な時間が過ごせます。

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秘湯の夕暮れはドラマティック。旅っていいなあ。と、しみじみ感じるひと時です。

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囲炉裏で味わう会席料理がすごいのです。丁寧に料理された山の幸がずらり。宿のご主人が厳選した全国の美酒も揃っています。

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豊後牛と九重夢ポークの食べ比べがたまらない溶岩焼き。厚切りの豊後牛をほおばると、じゅわーっと肉汁の旨みがあふれ出します。しめは、九重町で自家栽培するこしひかり米のごはんです。

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湧きたて、生まれたてに現地で入るのが一番ですが、今すぐにでも、オウチで温泉を楽しみたい。はい。ありがたき寒の地獄霊泉を宅配でお取り寄せができます。

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10リットルと、20リットルがあり、写真は20リットルサイズです。段ボールの中はポリ袋タンクになっているので、注ぎ口にバルブを取り付けて好きな量を出すことができます。20リットルだと重いので、わたしは、空のペットボトルを活用して、蛇口からくみ、必要な分だけお風呂場へ持ち込みます。注ぎたては硫黄の香りがぷんぷん。「あ~温泉だ~」と、ほっこりします。湯船にお湯をためる時に、ペットボトルごとぷかぷかと浮かべると、たまる頃には、ほどよく‟お燗“されてほかほかの温泉に。洗面器に入れて洗顔したり、湯船の中で体に源泉をかけながら注ぎ入れます。最終的には加水の状態になりますが、100リットルのお湯に対して2リットルくらい、家庭の浴槽に2リットルのペットボトル2~3本くらい入れると、ふんわり硫黄気分も楽しめて体のめぐりをサポートします。

Data
大分県・寒の地獄温泉
http://kannojigoku.jp/onsen/
寒の地獄温泉お取り寄せ
http://kannojigoku.jp/ecommerce/

石井宏子(温泉ビューティ研究家・旅行作家)
温泉ビューティ®研究家・旅行作家。年間200日を国内外の旅で費やす。雑誌や新聞などに旅コラムを書き、テレビ・ラジオにも出演。温泉や食、自然環境を通じて美しくなるビューティツーリズムを研究。温泉ウエルネスの企画や研修も行う。著書「全国ごほうびひとり旅温泉手帖」(世界文化社)「感動の温泉宿100」(文藝春秋)など。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、温泉入浴指導員、日本旅のペンクラブ理事。
公式HP: http://www.onsenbeauty.com

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