寒い今こそ食べたい!ほっこり揚げ出し大根

 こんばんは!首都圏では数年ぶりに雪が積もったりと、とても寒い日が続いていますね。私は久々の雪に思わずはしゃいでしまい、素手で雪だるまを作った結果、右手の小指がしもやけになってしまいました。

 さて個人的な話はここまでにして、江戸時代の料理紹介第二弾となる今回は、寒い今の季節にぴったりな一品、"揚げ出し大根"をご紹介します!

日本人に愛されし野菜"大根"

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  揚げ出し大根とはその名の通り、半分に切った大根を揚げただけのシンプルな料理です。現代ではこのようにただ揚げるだけの調理法は"素揚げ"と言いますが、江戸時代は"揚げ出し"と言っていたそうです。

 この料理の主役大根ですが、今も昔も日本人に愛されてきた野菜で、なんと日本の野菜の中で消費量はトップなんだとか。江戸時代においても大根はとても人気があり、その人気ぶりは『大根一式料理秘密箱』と『諸国名産大根料理秘伝抄』といった大根に特化した料理本が2冊出版されるほどでした。大根は、生、煮る、焼く、炒める、揚げる、干す、漬ける、すりおろすなど、様々に調理され一年中食されていました。揚げ出し大根も、そんな大根料理の一つです。

大根だけじゃない?1つの食材から100通りの調理法

 様々に調理され食されていた大根ですが、実はこのように様々な調理法を通して食されていたのは、大根だけではないのです。江戸時代の人々はこの他にも、豆腐や卵や蒟蒻など身近にある食材から数多くの料理を生み出しました。その代表例が、天明二年(1782)に出版された『豆腐百珍』です。この料理本では、豆腐を使った100通りの調理法が紹介されています。『豆腐百珍』の人気が、1種類の素材で100通りの調理法を紹介する料理本ブームの火付け役となり、その後も『蒟蒻百珍』『万宝料理秘密箱前編(玉子百珍)』など、多くの"百珍物"が生まれました。100通りもの調理法、一体どんなものがあったのでしょうか。百珍物については、展示内でより詳しく紹介する予定です。お楽しみに!

温かさしみる揚げ出し大根

 さて私が実際に揚げ出し大根を作ってみた感想ですが、一言で表すと、ほくほく感がたまらない!です。キツネ色になるまで揚げた大根。お箸で割ると現れる白い断面と立ち昇る湯気。一口食べると口いっぱいに温かさが広がります。

 これまで大根を揚げたことなんてなかったので、最初は「果たして大根を素揚げしただけの料理がおいしいのだろうか・・・」と半信半疑でしたが、いざ完成したものを食べてみると、そんな思いはどこへやら。美味しかったです。新鮮な大根を使うと、揚がるまでに時間はかかりますが、大根の甘みを感じることができるのでおススメです。また少し味が薄いので、味付けにに大根おろしと醤油の代わりにあんけかけをかけてみるのもアリかもしれません。

 温かさしみる揚げ出し大根、寒い季節にぜひご賞味あれ!

参考:伊尾木将之「江戸時代から大人気⁉︎「揚げ出し大根」がほっこり美味」

https://news.cookpad.com/articles/44339

村岡祥次「料理本と江戸の味再現料理(1)」

http://www.eonet.ne.jp/~shoyu/mametisiki/reference-17b.html

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