大きなお口のシグマくん(4):まとめ
シグマ(Σ:総和記号)の考え方についての4回目。第1回は、シグマは要するに足し算の筆算だよ、ということ、第2回は、シグマは分身の術を使うよ、ということを書いてきた。そして第3回は、シグマが消える話。今回は、掛け算(割り算)が入ってきたらどうする? を解決して、これまでのまとめをしよう。
今日は2割引きなんだって!
おやつを買いに行ったら、「今日は特別サービス! おやつがみんな2割引き!」だった。嬉しい。合計金額は当然、安くなる。
計算の前に、「2割引き」のとき、100円のお菓子はいくらになるだろうか。確かめておきたい。こういうところで勘違いをしていて、数学嫌いになることだってある。
「2割」というのは、別の言い方をすると、「20%」あるいは「0.2」のこと。「100円の2割」と「100円の20%」と「100円×0.2」はすべて同じ意味。計算すると、$${100 \times 0.2=20}$$ である。
「2割引き」は、もともとの値段から、「2割」にあたる分を引くことになる。さっき、$${100 \times 0.2=20}$$ とわかったから、この分だけ安くなるってことだ。だから、$${100-20=80}$$
というわけで100円のお菓子は2割引きで80円。
これは、もとの値段の「8割」だ。もとの値段を「10割」と考えるので(これは決まりだから文句を言わないように)、そこから2割を引いたら8割。もとの値段を「100%」と考えるので(これも決まり)、20%を引いたら80%。もとの値段を「1」と考えるので(だから決まりだってば)、0.2を引いたら0.8。
4のことを使うと、2割引きは、$${100 \times 0.8 = 80}$$ と計算できる。こっちのほうが、計算が1回で済むので、4に書いたことは、正しく理解したほうがいい。
では、計算していこう。前回と同じように、計算の仕方は2通りある。
数学の授業では、「分配法則」ていう名前で習ったと思うが、別に今ここで思い出す必要はない。全部を×0.8してから足し算しても、足し算してから合計を×0.8しても、結局同じになることを確かめればよい。
結局同じなら、掛け算が1回ですむ、2の方法が良い。
ということで、数式ぽく書いてみよう。
これをもっと数式っぽくすると、こうなる。
$${\sum_{i=1}^5 (おやつ_i\times0.8) = 0.8 \times \sum_{i=1}^5 おやつ_i}$$
もちろんだが、等号の右側にある「0.8×」は、後ろにもっていってもいい。
以上。
あれ? 割り算は?
割り算は、分数をかける掛け算に書き直して、同じようにすればいい。
たとえば、「今日は半額!」というバーゲンセールだったら、おやつの値段を「÷2」するんだけど、これを「$${\times \frac12}$$」と書き直す。あとは上に書いたことと同じようにすればいい。
「$${\div 2}$$」と「$${\times \frac12}$$」がなぜ同じになるの? と悩んでしまう人は、そうだなあ、小学生向けの授業動画とか探して、勉強しよう。小学校5年生くらい(かな?)で、「$${2\div3=\frac23}$$」みたいな内容を教わるはずなので。
いまさら小学生の問題? とか、恥ずかしがる必要はない。わからないことは復習する。復習して身につける。そうすると、今より一歩先に進める。進歩する。何も恥ずかしくない。
そうやって、世の中から「わからない」「できない」が一つずつ消えていくことは、とても素晴らしいことだ。
数式によるまとめ
数式が苦手な人は見なくていいよ。じんましん出たら困るからね。
1.総和記号の基本(第1回)
$${\sum_{i=1}^5 x_i= x_1+x_2+x_3+x_4+x_5}$$
2.和や差の総和は、総和の和や差に分解できる(第2回)
$${\sum_{i=1}^5 (x_i + y_i) = \sum_{i=1}^5 x_i +\sum_{i=1}^5 y_i }$$
3.定数の総和は、定数のn倍に変形できる(第3回)
$${\sum_{i=1}^5 (x_i + a) = \sum_{i=1}^5 x_i + 5a}$$
4.定数倍は、総和記号の外に出せる(第4回)
$${\sum_{i=1}^5 (a x_i) = a \times \sum_{i=1}^5 x_i}$$
お疲れ様でした!