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ババンザイとはいかない乱世で/忍ミュ第14弾感想

ミュージカル「忍たま乱太郎」第14弾 五年生!対六年生!〜お宝を探し出せ!!〜

 初忍ミュ。
 初Gロッソ。とにかく近かったです! 最前列の近さがあり得ない、想像を絶するレベルでした。
 客席と舞台が同じ高さなので目の前に立たれると気まずいくらいには完全に対面します。会場は急な傾斜がついていて端でもほぼ壁の席がなく、どこからでも観やすいいい劇場でした。ただ尻は終わります。
 カーテンコールの客降りハイタッチ、アフタートーク、写真撮影タイムもあり非常に楽しかったです。ハイタッチもう何人と誰としたかもわからない勢いでしたね。

 まず、すっごく忍者!
 アクロバットもそうですし、ちょっとした移動も何もかも身軽で目が楽しかったです。俳優さんたちめちゃくちゃ動くしかっこいい。

 内容は忍たま乱太郎ということでギャグ満載の楽しいコメディですが、ですが……たとえギャグの世界でも乱世です。忍の命の価値はそんなに高くない世界。忍びでなくても、人権なんて保障されない世界。
 子供が本物の武器を持って命懸けで戦う厳しい世界なのに、明るさとおかしな「おやくそく」で彩られた絶妙な軽快さのある作品でした。
 お約束といえば、設定がしっかりしていたのも面白さの一つだなと思いました。目上の人相手に一人称が変わるだとか、入門者の探知、幸運値、お金に目がない、豆腐狂い、投げたものは味方に当たるなど。脚本が面白くて忍たまを知らなくても楽しめる感じでした。
 小道具も凝っていてそれぞれ持ち武器があって面白かったです。こんなにいろんな武器があるんだと学びを得ました。刀に皆小さく名前が書いてあって可愛かったですね。

 今作、タイトルでは五年生vs六年生といいつつ、もう一つ、卒業生vs在学生という対比構造もありました。
 そこで忍たまたちは「プロの忍は私情を捨てて命令を果たさなければならない」「命令されればかつての仲間とも戦わなければならない」という現実を突きつけられます。
 ドクタケの手先である南蛮人の忍びが実は去年の卒業生で、特に彼らを慕っていた六年生は苦戦を強いられます。葛藤する六年生と、その背中を見つめながら必死に食らいつくしかない五年生。厳しい現実です。
 しかし、作中にあったように「やるかやらないかではない。やらなきゃならないんだ」ということが全て。
 結局なんやかんやでOB側とドクタケの同盟は破棄されて殺し合わずには済むわけですが、六年生は泣き崩れつつ誰も喜びはしない。五年生も険しい表情を崩しません。
 それはきっと誰もがわかっているから、良かったねで済むことではないと。これから先また何度も同じことが起きるだろうことに、その時はこうはいかないことにしっかり気づいている……。
 ペアでのシーンが多かったこともここに効いています。OB2人がずっと一緒にいたい、仲間でいたいと思うように、六年生にも五年生にもきっとそう思える友人がいるでしょう。友とずっと一緒にいられるわけじゃないんだと言葉にはしなくてもそう思ったはずです。
 六年生はその現実を受け入れ一歩先に踏み出し、五年生は六年生の背中に自分たちの未来を見る。
 EDとしてなんやかんやあったけどババンザーイ!みたいな歌がありますが、全然ババンザイじゃなくて情緒ぐっちゃぐちゃになりました。

 そしてその裏で、一年生の乱太郎、きり丸、しんべヱは「ずっと一緒にいられますように」と歌っています。まだまだ五年にも六年にも、プロ忍者にも遠く、彼らのような覚悟はないけど、ただ願う姿に感動します。そして私も彼らの未来に想いを馳せざるをえません。どうか3人が、上級生たちが、王子と光雲が、ずっと一緒にいられますように。

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