ライナスの毛布のはなし

娘は茶色い毛布が好き。

寝る時はもちろんのこと、日常的にズルズルと引きずって持ち歩いている。おかげで、掃除をしていない時は毛布にたくさんゴミがついてしまうので掃除が欠かせない。

それはわたしがかつて職場で使っていた毛布だ。夜勤がある職場のため、夜肌寒い時に使っていた。膝掛けだとちょっと足りない、でも寝具の毛布だと大きすぎる、ということでたどり着いたのが茶色のハーフケットであった。ハーフケットだから自分の体を覆うのに丁度よく、半分にすれば膝掛けとほぼ同じ大きさになるので重宝していた。

産休に入った時に自宅にその毛布を持ち帰り、自宅でお昼寝用として使っていた。

娘は冬に生まれたので毛布はもちろん買った。ピンク色のかわいい毛布だ。雪の結晶の模様が付いていて、冬生まれにぴったりだと思った。

出産祝いにはらぺこあおむしが描かれている緑色の膝掛けをもらった。なんと5歳の甥っ子がお年玉を使ってプレゼントしてくれたのだ。この膝掛けはお出かけ用としてよく使っていた。

そして娘が9ヶ月になった頃、抱っこしなくてもひとりで寝てくれないかなぁと思うようになった。それまでは抱っこで寝かしつけていたが、そろそろ卒業させないとなぁ…でもどうしたら?なんて思っている時に娘がわたしの茶色い毛布に顔をスリスリしてひとりで寝たのである。

これだ。

と思った。

それから娘は茶色い毛布と一緒に寝るようになり、私の毛布ではなく、娘の毛布になった。

かの有名なスヌーピーが登場するアニメ、PEANUTSには毛布が大好きなライナスという少年がいる。ライナスは毛布を顔にスリスリして指を咥え、そして日常的にズルズルと引きずって歩く。ライナスの姉、ルーシーはこれを良く思わず、あの手この手で毛布離れをするようにとがめる。ルーシーが土に毛布を埋めた時は、ライナスの目が血走り狂ったように土を手でかいていた。ここまで来るとすごい執念である。

上記のように毛布が大好きな子どもはブランケット症候群などと言われ、好かれている毛布は「ライナスの毛布」と呼ばれている。日本では「安心毛布」と呼ばれることもある。

様々な本を読むと、これは無理やり辞めさせなくて大丈夫だと書いてある。誰だって、安心する物が必要なのだ。子どもであれば、なおさらだ。いつか卒業することもあれば、そのまま大人になることもある。どちらにせよ、本人が安心するならそれで良いのかもしれない。

なので娘も安心して茶色い毛布と寝て、遊んで欲しい。



しかし、たまには洗わせて欲しいものである。

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