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フリモメンを導入した話

概要

2024年4月25日に発売された歌声合成音声
「Synthesizer V AI フリモメン」について話します。
かなり個人的な話です。
※調整指南などのお役立ち情報ではありません

この記事を書いた者が作った曲↓

「フリモメン」導入までの出来事

経緯0:理想の低音を探して

歌声合成音声に「低音の響きがよい男声音源が欲しい」と、最初に望んだのがいつ頃だったか記憶は定かでないです。が、ときどき古いHDDの中身を整理していると「Gender振り切って無理くり男声を作ろうとしたときの巡音ルカの歌声」とか、「自分で適当に歌ったものをフリーのボイチェンで低くしようとした何か」とか、そういった痕跡がよく見つかります(見つけ次第消します)
そんなデータの作成日が大体2010年頃なので、少なくとも10年以上求め続けたらしいことは確かです。

なお、そこから年月を経て「どうやらUTAUにはあるらしい」と知り、そこからいくつも理想の声に出会うことができました。
以後たった2年ほどで、自作曲の殆どは男声UTAU曲が占めることとなり、理想の低音への探求は一旦「ゴール」を迎えたといって良いのでは、という実感もあったほどです。

※これは昨年頒布したCDのデモ動画


経緯1:衝撃の全身タイツ

UTAUで「理想の声」に出会えた後、次に求めたのは「自分以外のボカロPが作る低音ボーカルメインの楽曲」を聴きたい、突き詰めて言えば「低音男声(合成音声)という潜在的な市場(需要)が開拓されて欲しい」ということでした。
要するにそういうボイスバンクが国内で商業展開され、色んなボカロPが使っている世界線を見たい、という感じの話です。

が、正直こればかりは自分でどうする事もできないので、
ただ祈るしか術はなく。それでも

「もしそういう音源が本当に出てきたら何がなんでも絶対買いますよ」

みたいなことは、Twitterで何かの折に言ったりしていました
(※アカウントを移行したためログがありません)


そして2023年秋のこと。
ついにその時がやってきました。




経緯2:買うとは言ったものの


「何がなんでも絶対に買いますよ」

事あるごとにそう宣言してきた手前、
購入はもはや決定事項でしたが懸念もありました。

サンプルの音声を聴いた時点で「絶対に欲しい」声であることを確信、「SynthesizerV」というツールに関しても同年、重音テトSVと共に既に導入済みだったため障壁になることはなく、キャラクターが全身タイツのマッチョマンであることも個人的には無問題でした。


※まだこの時点では、SV版がイケオジパッケージかどうかはわからなかった
※余談ですが、「贄」という曲はあの全身タイツ姿から受けた第一印象を元にSV版発表直後から書き始めたものです。初見であの容姿から感じたインパクトを元にサムネの構図が先に出来てしまい、歌詞はそのあと書きました。


ここでいう懸念とは、「フリモメン」自体が企業(AHS)の公式マスコットであり、既存のキャラクターイメージが明確に存在している、ということ。それはいわゆる規約上「どこまでやっていいのか?」というような心配以上に、ただただ個人の心情としての問題です。

キャラクターについて掘れば掘るほど、明るくて、ネタキャラで、そこはかとなく善人オーラのあるこのキャラクターを、普段から「死」とか「病み」とか「退廃」みたいな曲しかやったことのない自分の手で動かすのは何か抵抗がある。
変な話、今までに書いてきた曲の中でこの人(?)に「歌ってください!」と頼めるような曲はほとんど無い気がするし、そんな曲を自分に作れるとも思えない。そういう感じでした。


経緯3:毎日ディグり倒す

様々な心境の変化を経て、
「そんな曲」を作れるようになることにしました。
※詳しい話は後日やります(多分)


いよいよ導入

とにかく声が良すぎた

とにかく声が良すぎました…。

あらかじめ作っていたMIDIデータをフリモメンに差し替えた瞬間の感動はちょっと忘れられそうにないです。

思い返せば、その感覚が新鮮なうちに言語化を試みるべきでした。
本来これはもっとアホのテンションで言うべきことですし、もっともっと理性をブッ飛ばしながら狂喜乱舞を見せつけるべきところだったはずなので。

そういう感じで発売当日に一曲、その翌日にもう一曲出しました。


その後の楽曲制作(変わったこと)

全く予想だにしなかった恩恵として「YouTubeで初めて1万再生を突破した」というようなことがありましたが、それ以外の話をします。

発売日から現在(2024.7.10)に至るまで、廉価魔術によるフリモメンSV向け書き下ろし曲は全部で5曲となりました(※Xのみ公開中の習作を除き)。
それらの殆どは実際に、今までに書いてきた退廃的で重々しい作風から大きく変わって、日常の身近な来事をテーマに据えたライトな音色の楽曲となっているものと思われます

しかしながら、


キャラクターについて掘れば彫るほど、明るくて、ネタキャラで、そこはかとなく善人オーラのあるこのキャラクターを、普段から「死」とか「病み」とか「退廃」みたいな曲しかやったことのない自分の手で動かすのは何か抵抗がある。
変な話、今までに書いてきた曲の中でこの人(?)に「歌ってください!」と頼めるような曲はほとんど無い気がするし、そんな曲を自分に作れるとも思えない。そういう感じでした。


結論を言えば、あの時抱いたこの抵抗感は今も全然払拭できていません。
むしろ常々「自分にはできない」という諦めの境地です。
歌詞の中でどんなに前向きなことを謳ったつもりでも、声になったものを聴いた瞬間あのキャラクターには絶望的に似合わない気がして「そうでもないんだな…」ということを突き付けられたり、ここ最近は大体そんなことばかりです。

が、それも特に苦しいことではないです(故に5曲も出しています)。
今までと毛色の異なる作品を作ろうとはしつつ、

「自分を無理くり明るく捻じ曲げる」とか、
「思ってもないような"良いこと"ばかりを謳う」とか、
「不得意なことだから、出来るようになりたくてやっている」とか、

そういう感じのことをしていないからです。

もっと踏み込んだ言い方であれば、根暗の自分が謳って嘘になるタイプの明るさ前向きさは無理に書かんでいいという事にしています。
何やかんやそれも、単に「暗くない曲をやらねば」とかではなく、フリモメン歌唱を想定した作詞だからこそ意識できている面があります。

何となくですが、そういう小賢しい無責任なポジティブを謳ったりはしないキャラクターのような気がするので…(勝手にそう思っているだけですが)


まとめ

えらく長ったらしい文章になってしまいました。
本当は他にいろいろ書こうと思っていた話があったものの、長文を久しく書いていないため(あとnoteの使い方もよくわかっていないので)、何か軽めの話で練習しようと思い、今回はフリモメンの話になりました。

いろんな意味で様子のおかしい文章だったと思いますが、
ここまでお付き合いありがとうございました。













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