私とネオロマンス
わたしの初めてのネオロマンスは「遙かなる時空の中で2」だった。
話が面白い、そしてわたしが好きそうという見立てで、PS2版の遙か2を友達が貸してくれたのだ。
偶然にも作中の花梨ちゃんと同じ、高校1年生の冬のことだった。
出会ったころの思い出
1周目を始めたとき、わたしは遙か2をいわゆる「乙女ゲーム」というジャンルのものだと思っていて、最初から攻略対象を狙ってプレイしていくものと信じて疑っていなかった。
だって友達は「たぶん難しいから」とご丁寧に攻略本まで貸してくれたし、しばらくはまっていたテニスの王子様の「学園祭の王子様」系統のノリでやるものと思っていた。
テニスはだいぶ簡単だけど、ああいうのの本格的に選択肢難しいやつ、みたいなノリ。
そしてわたしは観月はじめさんが特に好きで、そしてそのお声が好きだったのである。石田彰さんである。石田さんが出ているよ!ということもあり友達はすすめてくれたのだった。
始める前に説明書と攻略本を見た感じ、容姿は彰紋くんが一番タイプだった(と思うたぶん)が、とりあえず石田さんの……泰継さん狙いで進めることにした。
なんてつまんねえことを……!と今では思う。
いやでもたぶんこれ、全然普通のやり方なんだけど。
今のわたしが、遙か2とは、色恋のことなど考えず、ただただ話の中に入り込んで、なりゆきに任せてストーリーを追っていくだけでも本当に素晴らしく良く出来た作品である、と知っているからこそ、当時を思うと悔やまれるのであろう。
まじで、まっっっっっっさらな心で遙か2プレイしたいもん。
遙か2の面白さは、あえてまとめるなら、その物語の作り込みの緻密さ、複雑さ、そして美しさにあると思っている。
さて、最初にプレイした頃の話に戻る。
泰継さん狙いなので帝側スタートだった。鬼門裏鬼門はどっちだったか覚えていない。
全体的にやわらかで、落ち着いていて、どこか寂しい雰囲気のあるゲームだと思った。
ぽんこつには1周目は話が難しかった。途中展開される本筋の話に、「ん?どういうこと?」ってなる。
その散りばめられている謎が、最終局面ですべて明らかになったとき、そういうことだったのか、アクラムくそめ、なんてすごい話だったんだ、と思った。と思う。すぐさまもう1周したいと思ったのは確かである。
アクラムに関しては、当時はわりと単細胞だったので、こんなやつと仲良くなるルートが存在するだと……?と思ったしフラグ自体も謎に立ちやすいので結構長いこと引きずった。
攻略本の助けにより難なく見届けた泰継さんの大切な恋には、号泣した覚えがある。
おそらくゲームをやって感動して泣く、というのが初めての体験だった。
よかったね、よかったね、とべしゃべしゃになりながら泰継さんと花梨ちゃんの恋を見届けた。現代エンドだった。
一番がっつり心をつかまれたキャラクターは、間違いなく、一番最初にエンディングを迎えた泰継さんである。
でも、突然の超ジャンプあたりまでは意味不明で笑ってしまってたような記憶がある。状況が理解しづらかった。
今思うと、初代遙かからプレイしていると泰継さんの話はよりグッとくるものがあるはずよね。記憶を消して初代からやりたい。
次は彰紋くん、そして泉水さんと続けた気がする。
もともと穏やかで物腰やわらかなタイプの人が好きなのである。
いろいろと書きたいことは盛りだくさんなのだが、彰紋くんは俯いてる照れ顔が、泉水さんは美しい泣き顔が、めちゃくちゃ好きです。どちらも初めて見たときものすごく興奮した。
そして何周かするうちに、どの人物も魅力的でおもしろいけれど、誰ともくっつかなくてもたぶんこの作品はすごく面白いと気づいた頃に、である。
どういうことだよ幸鷹さん。衝撃だった。
わたしは常々幸鷹さんに嫉妬している。ずるいぞ。
幸鷹さんとある程度仲良くなるまで情報が伏せられているのも憎い。
わたしが幸鷹さんの真実にたどりつくまで、結構時間が空いていたと思うのだが、ネタバレせずに黙ってくれていた友達に感謝した。
のちに夢浮橋で思いっきりさくっと取り上げられていたのには驚愕した。まだ遙か2プレイしてない人もいるかもしれないじゃん!笑った。
平安文学方面からのアプローチ、最高
遙か2を好きになった頃から、学校の古文の授業がめちゃくちゃ楽しくなった。
1周目すぐあとくらいに授業で女郎花が出てきて、大興奮だったのを覚えている。
和歌の折句の題はなにか、という先生の問いの答えが「女郎花」で、あっ泰継さん!!!と思って咄嗟に勢いよく手を挙げて回答した。たぶん相当気持ち悪い顔をしていた。
おそらく遙か2に出会っていなかったら、この当時知り得なかった花の名である。
大学に進んで、主に源氏物語周辺を学ぶようになった。
さまざまな文献に触れ、文学の勉強をしながら、改めて遙か2の面白さに気づいた。
風俗や歴史、和歌や物語、それらの取り入れ方が本当にうまいのだ。
遙か2って文学では?もはや研究対象では?と思うくらい。
一度作中の各章始めに採られている和歌について調べたことがあって、これで論文書けそ〜と思った。
帝側メインの章といえるものは古今から、院側メインの章といえるものは後拾遺から、他は後撰から採られている。
なぜこんなにきっちりわかれているのか?どんな意図が読み取れる?拾遺からの採用がないのはなぜ?
学生の頃、歌にはちょっと苦手意識があって、本当に基本的なところで古今に関する授業をいくつかとっていたくらいだった。だいぶ悔やんだ。
こんな感じで好き勝手調べて感動し盛り上がる。
わたしは調査と解釈に力を入れるタイプのおたくになった。
なんかずっとハッピーなタイムライン
ところで高校生のころは学校に行けば、わたしに遙か2を布教してくれた友達をはじめ、ありがたいことにしようと思えば毎日誰かしらを捕まえて遙か2の話ができるくらいの環境に身を置いていたのだが、大学生になるとぐっと機会が減った。
そこで、Twitterに参入する。
当初教習所の待ち時間にめちゃくちゃつぶやいたり交流していた記憶がある。勝真さん軽トラ似合いそうとかいう話をしていたのこの頃だったと思う。
もっともっと前の、個人サイト全盛期というのか、それくらいの時期からネット上で遊んではいたけれど、Twitterを始めて「ネットで知り合った人に実際にお会いして遊ぶ」ができるようになった。
1番最初に「あーそーぼ!」してくれた方とは、今でも会合のたびに遙か2の話で盛り上がっている。勇気を出してお誘いに乗ってみて本当によかった。またいつか共に京へ参りたい。
舞台の遙か2を観に行っていた頃くらいであろうか、Twitterで知り合った方々とお会いできる機会が結構あったなあ。懐かしい。
社会人になると、なんとなく想像はしていたけれど、自分はおたく的活動があまりできなくなった。
オンオフともにどんどん引きこもりがちになり、物の数にも入らぬ身……と、ド控えめ泉水さんモードで生きている。
本当は語りたいことだらけなので、わたしの遙か2愛も誰かの目に止まったら嬉しいな、とときたま表に出てすぐまた長いこと隠れる。
とりあえず旧Twitterにいればいつもなにかしらみんなの愛をお裾分けしてもらえるので、旧Twitter急に死なないでおくれよ、と切に願っている。
そういえばなんとわりと最近になって「はるに」という略称を認識した。響きがかわいい。
ずっと「遙か2」と呼んでいたから癖になっていてあまり自分で使わないけれど、「はるに」かわいくて好き。
永遠を信じかけている
人生17年目で心酔した作品に、今もこうして心を奪われたまま、気がつけば…………もう17年過ぎてるかもしれん…………どういうこと…………。
とこしえに続く何かってもしかしてこれのこと?
爆速で過ぎていく現実の時間に、めちゃくちゃ大変なことをしていたんじゃないか、たったひとりで、すごすぎたんじゃないか、千歳ってば……と改めて感じ入るこの頃。
でもまだまだしたいことがたくさんある。
遙か2に関しては、やりたいことが尽きない。
完走したことがない、旧暦に合わせたリアルタイムプレイ。
先述の和歌に関することや、他さまざまな出典調査とまとめ。
ていうか気ままに何も考えず電源オンして、日常的にやりたいわ遙か2。
足腰が大丈夫なうちに、またゆかりの地京都旅行もしたいよ。まだ行ったことないとこ、たくさんある。
着物が趣味にできたら、概念コーデしたい。
そしてそして、また考え、あーだこーだつぶやいていたい。
今これを書いているように、これからもずっと。
「私とネオロマンス」ということで、ネオロマンス作品の私にとっての入り口であった遙か2について語ってみた。
企画してくれた御方、RTして企画を教えてくれた方々、すてきなきっかけをありがとうございました。めっちゃ楽しかったです。
読んでくださったあなたにも感謝を。
実は紫姫に寄り添って双子の仲を繋いで京救ってめでたしめでたしルートが今現在は一番好きです。わたしも!って方、いませんか。
タイトルはこれ、遙かなる時空の中でにするべきなのかな〜と迷いつつ、でも他の作品は遙か2やってなかったらもれなくやってなかったろうし、と思うとやはりネオロマンスでいっかという感じでそのまま。
ネオロマ、遙か2以外にも多少やってるものはあるし、遙か2についてもいくらでも語れそうだし、なにかまた書けたらいいな!
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