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短編小説集

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屈橋毬花の短編小説を掲載していきます。 あらゆるジャンルの話を掲載していきますので、是非、アナタのお気に入りを見つけてください。
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#短編

【短編】ミルクは先か後か入れないか。

 日の光が遠慮がちに差し込む窓。  仄かな光が陰影を鮮明に浮かび上がらせ、テーブルの上の…

【短編】苦いままでいい。-前編-【『ミルクは先か後か入れないか。』CP話】

 鼻腔をくすぐる香ばしい香り。キリっとした大人っぽい黒に程近い茶色。小さめのカップでもし…

【短編】苦いままでいい。-後編-【『ミルクは先か後か入れないか。』CP話】

 早めに終わった大学での時間。いつもより長く居られると踊り出しそうな足で向かった喫茶店。…

【短編】甘いのがお好きで?-前編-【『ミルクは先か後か入れないか。』『苦いままでい…

 業界が仕向けたイベントだと分かっていても、やりたくなる、やらなければならないと思わせる…

【短編】甘いのがお好きで?-後編-【『ミルクは先か後か入れないか。』『苦いままでい…

「もったいない!」 「ま、マスター?」  鼻から思いっ切り息を吸い込み、「あいつは、あん…

【短編】Unwanted

 なあ、知ってるかい? ここらじゃ有名な話だよ。数年前に、両親を亡くした母親に殺されかけ…

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【短編】赤い人は来なくとも。-前編-

 頬を撫でる風が、ツンツンと私の頬をつつく。  吐く息が白くなるのも、あと数日のことだろう。  通り過ぎていく店からは、気の早いクリスマスソングが聞こえてくる。  サンタなんてそっちのけで、恋人たちが愛し合う様子が延々とピアノに乗せて語られている。周りはクリぼっちを回避するのに大忙しで、皆、合コンに気合を入れて挑んでいる。パートナー獲得と言いつつ、今を楽しんでいる。  そう、周りは近づきつつあるイベントに浮かれて幸せなのだ。  聖夜に向けた新作ケーキが並ぶケースを窓越しに指を

【短編】赤い人は来なくとも。-後編-

〈……どうしたの?〉  返事が返ってこない不安が私の裾をついついと引っ張った。メッセージ…

【短編】濡れたミラーボールの下で。

 晴れているのに、雨が降る。  そんな日が稀にある。  雲は少し多めだけど、チラチラと降る…