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中野信子 フランス革命の裏には地獄絵図
文・中野信子(脳科学者)
大学に入学したばかりの頃、本屋で何気なく手に取り、読み進めていくうちに心がえぐられるように感じたのが『九十三年』(全3冊、ヴィクトール・ユゴー著、辻昶訳、岩波文庫)でした。
1789年にパリ市民の蜂起によってフランス革命が起こり、絶対王政が倒れます。『九十三年』は、共和国政府が樹立した後の1793年以降のフランスを描いたものです。フランス革命は、近代市民社会への扉を開いた出来事として賛美されますが、その裏側で、陰惨なことが起きた歴史を忘れることはできません。
市民革命に成功し、理想の政府ができたはずなのに、内部で対立が起きてしまう。誰もがお互いを信じられなくなり、残虐な行為がまかり通る。その悲惨な地獄絵図がリアルに描かれています。
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