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高坂正堯 独自の視点
中曽根内閣のブレーンと言われ、コメンテーターとしても活躍した国際政治学の巨人・高坂正堯(1934〜1996)。直弟子である中西寛氏は、その思想と人柄に魅了された一人だ。
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高坂正堯 ©文藝春秋
「気の毒な古い都会ハンブルク。この楽しくて気前の良い港町を、このように無慈悲に破壊することは絶対に許せないことだ」
私が京大の学生時代、初めて受けた高坂先生の講義で、先生がこのような言葉を紹介されたことをよく覚えています。これは、アメリカの著名な外交官ジョージ・ケナンが第二次大戦後にドイツを訪れた際の回顧録の一節。戦争に勝った側とはいえ、すべての行いが正当化されるわけではない。敗戦国にも、多大な犠牲を払った一般庶民やその暮らしがある。軍事や外交の理論だけではなく、そうしたことまで思いを馳せる独自の視点に感銘を受けました。
先生は、常にユーモアを忘れない人でもありました。90年代に入り、報道番組『サンデープロジェクト』に出演し始めて広く知られるようになった高坂先生ですが、実はそれ以前も関西では有名人。熱心な阪神ファンのおっちゃんとして、関西メディアによく登場していたんです。当時の阪神は成績低迷が続く「ダメ虎」の時代。相当な腕前だった囲碁と比べて「野球はダメな方の趣味や」と周囲を笑わせていましたね。
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