山﨑修平「蛎殻町を過ぎたあたりの」 詩
蛎殻町を過ぎたあたりの路地裏をどうして知っていたのだ
私たちはおそらくこれは最初であり
最後でもあることを分かっていた
隅田川の水面のわずかな揺らぎ、風はまもなく止みそうだ
流れに身を任せて噛み砕かれて溶けてゆくのだろう
不細工な高層ビル、下のバルにはにんげんが集う
あの赤ワインのあの渋みのことを知っていたとして
けれど紛れもない、これが私たちの姿
築地のはずれにバスは着いたようだ
もちろん、晴海通りを尾張町へ、明るい光が見えるから
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