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塩野七生 龍之介・再び 日本人へ234

文・塩野七生

 前号で約束したように今回は、成績最優秀とて卒業式も待たずに松江の実家に帰っていた恒藤恭に送った、芥川の手紙を紹介する。自作となれば自己制御という名の努力は忘れないのが作家だが、私信ではそんなことは忘れる。それにこれは、まだ作家にもなっていない二十一歳が書いた私的な手紙。省略は抑えて、なるべく全文を紹介したい。

芥川龍之介、東京帝大入学当時 ©文藝春秋

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