上司が部下にホウレンソウをしなさいと叱ってはいけない理由
上司が部下に対して
お前はホウレンソウをしないからダメなんだ。
と叱る。
よく見る光景だ。
ホウレンソウとは、報告・連絡・相談のことである。
これが最近の若いのはできないと上司は悩み、部下は、何度怒られても同じ失敗を繰り返してしまう。
なぜだろうか?
それは、叱り方が適当ではないからである。
ホウレンソウができていない、という現象だけを見て、その行動のみに言及するだけでは、だめだ。
解像度が低いのである。
つまり、失敗を繰り返させないためには、なぜホウレンソウをしなかったのか、部下のその行動心理はどういうものであったかを聞き取り、できるだけ解像度をあげて、現象の要因を把握することが大事なのである。
部下は全ての言動について、ホウレンソウをするわけにはいかない
まず、前提として、部下は全ての行動を上司にホウレンソウするわけにはいかないというのがある。
全てを正確にホウレンソウしていては、コスパが悪い、と言い換えても良い。
上司だってイチイチとても重要度が低く、それは自分で判断してよ、というようなものについてもホウレンソウしてきたら、面倒くさいだろう。
そのため、部下は意識的にか無意識的にか、仕事の重要度や緊急性に応じて、ホウレンソウすべきことかどうかを自身で判断している。
つまり、部下がホウレンソウをしなくて実施した仕事が、上司の意図に反していたとして、それを失敗と名付けるのなら、それに対して「ホウレンソウをしろ」と叱るのは適当ではなく、その仕事は事前に相談してほしいレベルの案件であった旨を伝えるべきなのである。
なぜそれが重要であるのか、どういった経緯でその仕事があるのか、それを意図と異なる風に仕上げてしまうとどういった悪影響があるのか、そういったことを説明すべきなのである。
そうすれば、部下の理解度は格段に上がり、背景知識が共有されたことで、異なる仕事でもその背景が共通することであるなら、同様の失敗をしない可能性があがる。
これが、学びであり、成長なのである。
一つの事象に対して一つのパターンを記憶していくだけでは、成長が遅い。
上司はなぜ部下がホウレンソウしなかったか、その心情的背景まで考えたことがあるか
なぜ部下は上司にホウレンソウしなかったのだろうか。
些細なことだからいいと思ったのだろうか。
ではなぜ些細なことならいいのか。
それは上司にホウレンソウすることのハードルが高いからではないだろうか。
つまり、以前に、小さなことでホウレンソウしに行ったときに、嫌な顔をされたからではないだろうか。
あるいは、「そんなことでイチイチ俺に報告してくんな!こっちは忙しいねん!」と言われたからではないだろうか。
上司は普段から、部下がホウレンソウしやすい態度をとっているだろうか。
些細なことでも知りたいのなら、些細なことでも耳に入るような環境を整えているだろうか。
普段から上記のような態度をとっていたら、部下はできるだけ上司にホウレンソウをしたくないだろうし、結果として上司のもとに情報は集まらないだろう。
そんな組織で良いのだろうか。
そんなことを考えたことがあるだろうか。
そもそもの指示は明確であったのか
逐一ホウレンソウをすることで、上司と部下のイメージや理解度の齟齬をなくせる、というメリットがある。
だから部下は上司に対してホウレンソウしなければならない。
このような意見がある。
これは半分正しいが、半分間違っていると思う。
なぜなら、負担が部下に偏りすぎているからである。
そもそも部下の理解が不十分なのは、上司の指示が明確ではないからだろうか?
上司は自身の指示を省みてるだろうか?
齟齬をなくすための歩み寄りは、部下の方からだけではなく、上司の方からもすべきではないだろうか?
一つの目標の前で、上司も部下も対等であるという考えを私はもっているので、そういう風に考えてしまう。
上司は部下にホウレンソウしているだろうか
部下は、上司に対して圧倒的に立場が弱い。
だから、自分の知らないところで物事が決まっていたとしても、なんで自分に報告してくれないんですか!とは言えない。
つまり、普段そっちは自分たちにホウレンソウしないくせに、なんで自分たちは上司にホウレンソウしなきゃいけないんだ、という気持ちになるのである。
この人間心理を理解しているだろうか。
つべこべ言わず従っていればいいんだ、という上司もいるだろう。
でも、私はそんな大人になりたくないなぁと思う。
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