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12のアーキタイプ解説シリーズ第2回:孤児(オーファン)- 現実との対峙と成長の旅

ごきげんよう!M8小隊.T隊長です。

前回は幼子(イノセント)アーキタイプについてお話ししましたが、今回は「孤児(オーファン)」アーキタイプに焦点を当てます。孤児アーキタイプは、幼子の純粋な世界観が崩れた後に現れる、重要な成長段階を表しています。


孤児(オーファン)アーキタイプとは?

孤児アーキタイプは、理想や期待が裏切られ、現実の厳しさに直面した時に現れます。これは単なる「不幸な状態」ではなく、現実世界との真の対峙を始める重要な段階なのです。

孤児アーキタイプの特徴

目指すもの:安全の回復

孤児アーキタイプは、失われた安全感を取り戻すことを目指します。
幼子は、周り全て良いものだと思っています。
一言で言うとそれが崩れ去ったのが孤児です。

そこで孤児は、周りを頼らず自分自身で安全を確保しようとしている状態だと思います。

恐れるもの:搾取、迫害

幼子が世界の厳しさを知り、孤児となるため、孤児は、他者や環境から搾取されたり、迫害されたりすることを恐れます。

孤児であると言う事は、これまでの人生の中で、自分自身が不条理を体験したり、周りで起こる不条理を目の当たりしたことがある状態だと思います。
そうして、「いつ不条理が我が身を襲うかも知れない」と言う恐怖を持っている状態だと思います。

例えば、いじめ問題であれば、いじめの解決よりもどうしたら自分がいじめに遭わないか?を考えて行動したりする状態だと思います。

ドラゴン(問題)への対処法:

  1. 無力感を感じる

  2. 救出を願う

  3. 冷淡的な従順さを示す

無力感を感じる

無力感を感じるとは、自分には状況を変える力がないと思い込むことです。自分の行動が何の影響も与えられないと感じ、諦めの気持ちが強くなります。
どういうことか?と言うと
例えば
会社で重要なプレゼンテーションを任されたときに、「どうせうまくいかない」と思い込み、準備をおろそかにしてしまうことが挙げられます。

この「無力感を感じる」は、実は心を守るための戦略です。

  1. 心の負担を減らす:「どうせ無理」と思えば、頑張らなくて済みます。

  2. 失敗への準備:最初から失敗を想定すれば、実際の失敗時のショックが和らぎます。

  3. 期待を下げる:低い期待なら、結果が悪くても「予想通り」で済みます。

  4. 責任から逃れる:「できない」と言えば、最初からできないと言ってたと、結果の責任を負わなくて済みます

救出を願う

「救出を願う」とは、困難な状況に直面したとき、周囲の人に助けを求めることです。自分一人では対処できないと感じ、他者の支援や介入を期待します。

例えば
大きなプロジェクトを任されたとき、「これは私一人では無理です」と上司や同僚に伝え、協力を仰ぐことが挙げられます。

この「救出を願う」も、心理的な戦略の一つです。

  1. 責任の分散:問題を共有することで、一人で全責任を負わなくて済みます。

  2. プレッシャーの軽減:周囲の支援があれば、心理的な負担が減ります。

  3. 失敗時の緩衝材:うまくいかなくても「みんなで取り組んだ」と言えます。

幼子の「助けを求める」との違い:

「救出を願う」と聞くと、幼子の「助けを求める」とどう違うの?と思いましたよね?
幼子の「助けを求める」は純粋に助けが必要だと感じて求めます。
また、世の中は「いい人ばかり」だからきっと助けて貰えると信じています。
孤児の「救出を願う」は意図的な戦略です。幼子は無邪気に周囲が助けてくれると信じていますが、孤児の場合は責任回避やプレッシャー軽減という意図があります。

冷淡な従順さを示す

「冷淡な従順さを示す」とは、表面的には指示や要求に従いながら、内心では無関心や反発を抱いている状態です。言われたことは最低限こなしますが、積極的な関与や感情的な投資はしません。

例えば、
上司から新しいプロジェクトを任されたとき、「はい、わかりました」と言いつつ、最小限の努力しかせず、成功にも失敗にも無関心な態度を取ることが挙げられます。

この「冷淡な従順さを示す」ことにも、心理的な意図があります:

  1. 衝突回避:表面上は従うことで、直接的な対立を避けられます。

  2. エネルギー温存:感情的に関与しないことで、心的エネルギーを節約します。

  3. 自己防衛:深く関わらないことで、批判や失敗のリスクを減らします。

  4. 受動的抵抗:言われたことだけを行うことで、静かな形で不満を表現します。

  5. 内的自由の維持:外面は従順でも、内面の自由は保持しようとします。

課題:痛みと幻滅の十分な検証を行い、心を開いて他人の助けを受け入れる

孤児は、痛みや幻滅を経験したことで、世界は危険で信頼出来ないものとみなしています。この見方が、だからすべての状況や人々を疑い恐れや不信感に繋がっています。

「痛みと幻滅の十分な検証」とは、客観的に状況を見直すことです。全ての状況が同じように危険なわけではないことを認識することが目的です。

「心を開いて他人の助けを受け入れる」とは、検証の結果、信頼できる人々や安全な状況もあることを認識し、そう言った人々と関係を築いていく
見たいな事だと思います。

ギフト(特別な才):自立心、共感、現実主義

孤児アーキタイプは、困難な経験を通じて独特の才能を育むポテンシャルを持っています。

  1. 自立心:逆境の中で自力で生き抜く力を培います。他者に頼れない状況で、問題解決能力と精神的強さを発達させます。

  2. 共感:自身の苦しみを経験したことで、他者の痛みや困難をより深く理解できる能力を持ちます。この共感力は、人間関係を築く上で大きな強みとなります。

  3. 現実主義的洞察力:理想と現実のギャップを経験したことで、世界の複雑さを認識する力を持ちます。初期段階では否定的な面に偏りがちですが、成長とともにより均衡の取れた洞察力へと発展する可能性があります。

これらのギフトは、孤児の経験から生まれる潜在的な強みです。適切な成長と支援により、これらの才能はより洗練され、人生の様々な場面で活かせる貴重な資質となり得ます。

孤児アーキタイプの発達段階

孤児アーキタイプにも成長の段階があります。この発達過程を理解することで、私たちは自身の成長の道筋を見出すことができます。


レベル1:混乱状態

これまで信じていた安全や安定が崩れ、世界の理解を再構築しようと努力する段階です。

例えば、学校でのいじめの経験
これまで「学校は楽しい場所」と思っていた子どもが、突然のいじめに遭遇します。
「なぜ自分が?」「友達はみんな敵なの?」と混乱し、学校や人間関係の意味を必死に理解しようとします。

レベル2:運命の受容

この段階では、自分の置かれた状況を現実として受け入れ始めます。完全な理解や納得には至っていませんが、現状を「自分の運命」として認識し始める時期です。

例えば、いじめの例だと
「自分はいじめられる運命なのかもしれない」と考え始め、学校に行くことを恐れつつも、それを日常の一部として受け入れようとします。

レベル3:成長と決別

この段階では、過去の痛みや困難な経験を踏まえつつ、新たな自分を形成し始めます。単なる受容を超えて、積極的に自己成長を目指す時期です。

例えば、いじめの例だと
いじめっ子に立ち向かう勇気を持つようになったり、いじめは悪い事だと訴え始めたり、他のいじめられている子を助けようとする行動を取り始める。
直接、いじめに対峙しなくても、勉強や学業にはげみ自分の地位を向上させたり、いじめっ子の原動に影響されない精神的強さを育てたりするのもこれだと思います。

孤児

アーキタイプの影(シャドー)の部分

孤児アーキタイプにも、シャドーと呼ばれる暗い側面があります。 各段階で対処しきれない状況に陥ると、この影が顔を出すことがあります。

  • 自己破壊的行為:自分を傷つけることで痛みをコントロールしようとする

  • 他者への攻撃:自分の苦しみを他人にぶつける(噂を広めたり、陰口を叩いたりする)

  • 極端な不信:誰も信じられず、すべてを疑ってかかる

  • 被害者意識:常に自分が不当に扱われていると感じ、責任逃れをする

  • 過度な諦め:「どうせ無理」と、何も始める前から投げ出してしまう

当然、この影の状態では、孤独感はますます深まり、人間関係はどんどん悪化していきます。時として、自分や周りの人を傷つけるような危険な行動につながる可能性もあります。

影の部分と戦士への移行

でも、この影の部分こそが、孤児アーキタイプから戦士アーキタイプへの移行を促すきっかけになることがあります。

  1. 極端な不信感から誰とも関われず、完全な孤立状態に陥る

  2. その結果、一人では生きていけないという現実に直面する

  3. 孤児の諦めや不信感が限界を迎え、自ら変化を求める意志が芽生える(戦士)

このプロセスは、孤児にとっては恐ろしく、リスクの高いものに感じられるでしょう。
でも、この苦しい経験こそが、強さと勇気を身につけるための試練だと思うんですよね。
世界は危険で不公平かもしれませんが、その中で自分の力で立ち向かっていく術を学ぶ。

それが孤児から戦士への道なのです。

おわりに:孤児アーキタイプの意義

孤児アーキタイプは、幼子の純粋な世界観から現実主義的な視点への移行を象徴しています。この過程は確かに痛みを伴いますが、同時に私たちをより強く、思慮深い個人へと成長させる重要な段階なのです。

孤児の経験を通じて、我々は:

  1. 現実世界をより正確に理解する力を得る

  2. 自立心と問題解決能力を育む

  3. 他者の苦しみに共感する能力を発達させる

重要なのは、孤児の段階に留まることではなく、この経験を通じて学び、成長することです。次の段階への移行を見据えつつ、孤児アーキタイプの教訓を活かしていくことが大切です。

皆さんも、自分の中の孤児アーキタイプに目を向けてみてください。そこには、大きな成長の可能性が隠れているかもしれません。

次回は、孤児の次の段階である「戦士(ウォリアー)」アーキタイプについて探っていきます。お楽しみに!

読者の皆さまへお願い

このブログは「分かりにくいものを分かりやすく解説する」をコンセプトにしています。今回の孤児アーキタイプの解説で、分かりづらい部分や、もっと詳しく知りたい部分がありましたら、ぜひコメント欄でお知らせください。

特に、孤児アーキタイプの経験や、それを通じての成長について、皆さんの体験やお考えをお聞かせいただけると嬉しいです。一緒により深い理解を目指しましょう!

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