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読書感想「イヴリン嬢は七回殺される」

やっと読み終わったけど全然理解追い付いてない…そんな小説です。多分三回読み直してもまだちょっとよく理解できないんじゃないだろか。

買ってから読み終わるまでに、実に十日を要した。これから読む人達のために私ができる最低限のアドバイスといえば、これは寝る前に読んではいけない本です、という事のみ。

寝る前にベッドの中での読書として開いたが最後、次から次へと投げかけられる謎が私たちのページを手繰る手を止まらなくさせ、体力のない読書家は、謎が謎を呼び終わりの見えない読書体験に体力を極限まで削られ気づけば意識を手放し、翌朝目覚めた時にしおりが昨日読んだ所に挟まれていないと言う、現象を引き起こす本です。(経験談)

作者はこれを書き上げるのに三年以上要した、と訳者あとがきにあったので、やっぱり名作と呼ばれる小説書くのって、片手間じゃ出来ないんですね…。

あらすじ

雨の降りしきる森の中で目覚める主人公。前後の記憶どころか、自分が何者かさえもわからず、手がかりとなるのは目覚めた瞬間口にした「アナ」という名前だけ。頭の中では何者かも分からない男の声が響く。

パニックに襲われる主人公だが、背後から近づいてきた顔の分からぬ男に方位磁石と「東へ行け」と言う言葉を授けられ、唯一の情報を頼りに東へ向かう。そこにはかつての栄華を失いつつある『ブラックヒース館』があった。

愛想の無い執事に招き入れられた館の中では、ほとんどの人が主人公の男の名前を認知しており、男は自分の名前を知る。館では屋敷の令嬢、イヴリン・ハードカースルの帰国を祝うパーティが開かれており、突発性の記憶喪失と診断された主人公も招待客の一人だった。

見知らぬ館で過ごす内、屋敷の令嬢、イヴリン・ハードカースルと友情を育む主人公。屋敷にまつわる凄惨な物語と謎を追って一日が過ぎ、深夜に気を失うと、また見知らぬ場所で目覚める。しかし叩かれる門を開けると、そこにはつい数刻前に認識した『自分の顔』を持っている男が立っていた…。

『ブラックヒース館でのある一日』を別の人格でループする、トンデモ小説

はい!私にしてはあらすじ上手く書けたと思います!うっかりすると全部語っちゃいそうな所、上手く購買に繋がりそうな感じになったと思います!本当に頭がこんがらがる話だけど、特にミステリー好きな人は読んでおいて損はないと思います!

昨今ネットもラノベもアニメも何かと転生に継ぐ転生ばかりだけれども、今どきの転生主人公はこれを読んどけ!とおすすめしたくなる。お前ら異世界にも順応力高すぎなんだよ!普通はこの主人公みたいに目覚めた時点で過呼吸くらいにはなるぞ!!(個人の嗜好的意見です)

ブラックヒース館の招待客たちは、みんな蓋を開けてみれば曲者ばかり。まっさらで綺麗な輝かしい経歴を持つお貴族様なんて誰一人存在しない。その招待客たちと意識を共にしながらイヴリン嬢の殺人を止める為に奔走する主人公。本当の自分の姿を知らないままに、与えられた任務に立ち向かっていくその姿は、正しく作中の暗雲立ち込める嵐の中を歩く様なもの。

後半からは本当に、メモをつけて読み進めた方がいいんじゃないかってくらい難解なので、読む際にはお手元に筆記用具と時計と屋敷の地図を用意するのをおすすめする。私は気合で読み進めたけど、そうだったっけ? と思い出せない情報が所々あった。主人公たちすごいな。

危険人物ながらも魅力的な登場人物ばかりが出てきますが、そんな中で私はレイブンコート卿の執事・カニンガムにつかの間の癒しを覚えました。入浴時の主人公とのやりとりは腐女子の目を通さなくても一興です。

海外ではTVドラマ化の話もあるとか無いとか。読み返しながら、映画になるのを期待して待ちましょうかね。

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