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失った辛さより、もらってたものが大きかったので…前、向くか

2022年7月24日、夜勤明けの朝。
いつものようにソファで寝落ちしていると、うっすらと聞こえる着信の音。
眠い…無視
もう一回落ちようとしていると、さらに着信、出れず

誰だよ?確認すると同居してる優子の友達、LINEもきてた。
『優子が滑落した!』

『え…?』
またすぐに着信、今度は慌てて出る。
『もしもし』
『やっと繋がった!LINE見た?』
『今見たとこ』
『今は救助要請して待ってるところらしい、また何かあれば連絡する』
『わかった…』

10年越しでずっと行きたがってたジャンダルム(西穂高岳〜奥穂高岳ルート)、昨日は1日停滞したから帰り遅れるとLINE。
それが最後の連絡。

俺43歳、優子38歳、友達20年目。
お互い離婚1回経験して、恋愛感情はないが、気を使わずに済むので同居。
というより、身の回りのお世話してもらう為に広めの部屋を借りて住まわす。

この先コイツとどうなりたいなんて思ってなかったけど、ずっと友達として自分を助けてくれ続けるだろうと思ってた存在。
甘えまくって依存しまくって。

この先にあるものだと思ってた道が急に行き止まり?ブラックアウトした気分…

その後知らない番号から着信。下4桁が「0110」。来た
『もしもし』
『高山警察です。登山届けの緊急連絡先に記載あったので』
こんな連絡が本当にくるとは

滑落したのは天狗のコル付近、20mほど滑落したとのこと。
現状を聞いた後、場所が場所なので覚悟をしておいてほしい、と伝えられる。

どんな場所かはわかってたつもりだけど、まさかこんな近い人にそれが起こるなんて…なんとか無事でいてくれよ。

約1時間後、ヘリで救助されたと連絡が来て喜んだのも束の間、死亡が確認されたとのこと。

友達は電話の向こうで大泣きしてる。
優子のお母さんとも会った。お母さんももちろん泣いてる。
なぜか自分の涙は出てこない…
この世界で誰より大事な存在だったのに…

冷たいのか?今後の心配か?

今もわからないし、結局涙も出てこない。たぶんこのまま変わらないんだろう。
でも前は向けた。
一緒にいた時、いない時でも食事の面倒見てくれて、ずっとなぁなぁ人生送ってた俺のこと誰よりも信じてくれて、俺よりも俺のこと大事に思ってくれた人がいたって事に改めて気づけたから。

泣くより笑って過ごしてる方が安心だろ?

これから2人分幸せになろうと思うと忙しくなりそうだ。

いなくなって、会えなくなったけど、不思議とずっと守ってもらえる気がするよ。心強い、ありがとう。

月命日の24日は、定番のスーパードライ飲むよ。

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