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思い出の端っこ

マフラーを外していたら小鬼が 「それあたしにちょうだい」 と手を伸ばしてきたので、プレゼントしました。 温かそう!欲しい! と思って貰ったはいいものの、巻き方を知らなかったみたいで、「巻いてあげる」とぐるぐる。 はい!できた! 真っ赤なマフラーを巻いた小鬼は、それはもうとても可愛らしくて、連れて帰りたいほどでした。 「あ、ありがと」 そう呟くと、走って逃げちゃいました。 ぽてっと転びそうになりながらも、一生懸命な後ろ姿が愛くるしかったです。 小鬼、何してるか

    • モリトくん

      あなたに出逢ったその日から 友達だなんて思ったこと、一度もないよ。 私だけかもしれないけど。 雨の日だった。 そのうち晴れるだろう、 雨が上がるまで待っていよう、と 夕方遅くまで教室に残って勉強をしていたら、降っていた雨が強くなっていた。 昇降口でぼーっとしていると、足音が聞こえた。 後ろで誰かが小走りしている。 振り向くと、隣のクラスのモリトくん。 モリトくんは「じゃあ」と、目の前で傘を刺して帰っていった。 濡れて帰るか、、と諦めたとき、帰ったであろうさっ

      • ばば

        私のばば(おばあちゃん)、ショウコ。 強くて優しくて、可愛らしい人。 若い頃の写真を見せてもらったのは、一度だけ。 ママの写真を探していると、ばばとじじの写真が出てきた。 アルバムはちょっと黄ばんでいて、写真を固定しているフィルムは剥がれかけている。 ばばが一人で写っている写真に目を向けると、思わず目を疑ってしまった。 忖度なしに、めちゃくちゃ綺麗だったから。 「若い頃は大竹しのぶに似てたんだよ」 ばばがンフフと自慢していると、自営業の一仕事を終え、帰ってきた

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