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『衣服の仕立て』

ほこりの中に正味がある
正味ばかりと思って、また仕上げをすれば、ほこりが出る
そこで人間の心も、神様のお手入れがあれば、ほこりのいんねんが現れる
お手入れが、だんだん深くなるほど何回も、ほこりが現れる
そこで何回ということなく、ほこりを出してしまって磨きあげる
着物に喩えて話をしよう
もとは綿、いろいろのほこりをとって綺麗な綿となる
そして綿を紡いだら、またほこりが出る
反物に伸ばせば、またほこりが出る
それで、これを伸ばしたら、ほこりはない
でも、これを織ると、けぼこりも出れば糸くずも出る
これを、ちゃんと織り上げて反物にしたら綺麗なもの
なんにも、ほこりはない、捨てるところもない
けれど、また着物に仕立てたら、また綿ぼこりがたつ、どこから出たともしれないほこり
また捨てるような切れ端も出る
そして、ちゃんと着物になる
だから、綿から着物になるまでには、何回ほこりが出るかわからない
これと同じで人間の心のほこりは、いくらないように見えても、ほこりが出ないということはない
ここをよく思案しよう
手入れを頂くと思ったら、何にも案じることはない

#正文遺韻
#着物の仕立て

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