陽の当たる部屋の中で(2)

『いつも、渡り廊下に立っているあのときの自分を思い出す。
高校生のときからずっと、あなたに慰めてもらってばかりだね。
渡り廊下に立つ私は、いつも困ったような顔で笑って、「大丈夫、大丈夫」って言ってくれるね。
自分を押し殺して、たった15で頑張って頑張って頑張っていたあなたにそんな顔をさせてしまって、本当にごめんね。
あなたの思う未来にできなくて、ごめんね。』

少し前、こんな風に書いていたのに、この間、ついに笑ってくれなくなってしまった。14年経って初めてだった。
怒ったような、それとも何も感じていないかのような暗い目で私を睨んだ。

私は泣き崩れ跪いて謝った。
でも彼女が笑うことはなかった。
ただ、ひたすらに温度を感じさせない目で私を見下ろしていた。

ごめん、ごめんなさい。ごめんね。

どこかで許してくれていると思っていた。
そっか、あなたにも限界があったんだね。

何もできなくてごめんね。
あなたが大切にしてきたものを取り戻せなくてごめんね。
あなたが本当に欲しかったものを一つも手に入れられなくてごめんね。
あなたの宝物だった思い出を汚してしまってごめんね。

もう今の私にできることってないのかな。
あなたが少しでも希望を持てる何かを見つけられないかな。
ずっと探してきたつもりだったんだけどな。

自死って、ずっと生きる選択をし続けてきた人が、最後に選ぶものっていう言葉をTwitterでみた。
そうだよ、ずっとずっと、ずーーーーっと私は生きることを選んできたんだよ。

でもここ数年はふと「何年後かのこんな日に、私はそっと死ぬんだろうな」と思う日がある。

でも、その日までは抗ってみようと思うよ。
まだほんの少しだけ頑張る勇気があるよ。

その日が来たら、ごめん。
だけど、私が謝るのは、他の誰でもない、私にだけって決めてる。

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