やさぐれ妊婦バースプラン
とうとう渡されたバースプラン
イザナミのおばあちゃんをメインに見えない世界の流れに乗ってお産に向かうみのりんにとうとうバースプランなるものが渡された。
どんなお産をしたいか。
妊婦が産院のスタッフや先生たちに伝えて理想のお産に向かうため自分の希望や要望を伝えるためのもの…バースプラン。
その中で1つの項目だけが最後まで埋まらない。
立ち会いを希望するかどうか。
実はパートナーたっつんは施設側のこのご時世の規約により立ち会いも入院中のお見舞いも出来ない。
自然と立ち会いが出来る人は限られ、実母だけになった。
『どっちでもいいわよ。私は。』
実母はそんな風に答える。
うーんとみのりんは唸った。
なんか自分の中で引っかかるものを感じるのだ。
でもちょっと待てよ…?
みのりんはつるすっぽんになる予定だし。
母が来るまでにもしやおチビ出てきてない?
たっつんも現場にいて『ほらご主人こうしてああして!』って言われるよりは集中できる所で遠隔でエネルギーワークでサポートして貰った方が良くない?
(しかも、おチビは『えー!?たっつんいないの???じゃ!たっつんいるときに出ちゃうよー!』ということも考えられる…。)
そう考えてみのりんはすこーし引っ掛かりを感じながらも立ち会いを希望しないに自分で丸を付けた。
はぁ?だっせぇ。
丸を付けてからも感じる心のささくれ。
これはなんだろう?
ちょっと私に向き合ってとそのささくれはずーんとそこはかとない不安を感じさせた。
意を決して向き合おう!
今までずーっと向き合ってきたんだから、きっと何が出てきても大丈夫!
その時に感じていた不安に向き合うと…。
陣痛の時に1人だということ。
その不安の奥底にあった記憶は一人暮らししていた時の長い夜の記憶だった。
みのりんは決まって夜の2~3時頃に吐き気や気持ち悪さから眠りから覚めてしまうほどの原因不明の不調を抱えていた時があった。
その度に母に電話して繋いだままにして夜を過ごしていた。
きっと夜中にそのまま大事になってしまった時は母は自分が救急車でも何でも呼ぼうと様子をずっと伺っていてくれていた。
自分の仕事もしていたし、家事をして家族の面倒も見ていたし、妹や弟のこともあったのに。
夜中の2時に電話で起こされて、酷い時は朝方まで寝付けないこともあっただろうに。
その時、私はすごく安心して支えられていたのだと思う。
それを立ち会いの時も欲していたんだ。
それが立ち会いを希望しないと決めた時にも感じた不安の奥底にあるもの。
自分が不安な時に母親が傍にいる。
それはとっても安心するだろう。
だって私は子供になれる。
護って貰える。
で…そこで私は思ったんだ。
はぁ~?だっせぇな自分。
と(笑)
私が母になるんだぞ!!
お産は人それぞれで立ち会いについて私は他人のお産に何も思うことはないけれど、自分のお産について出てきたことに関しては心から『だせぇ』と思った。
母の存在に安心して、支えられて、自分が子供になってどうすんだ。
逆だろ。
おチビも命懸けで産まれてくる。
全身雑巾絞りで呼吸も止めて『こんなの聞いてない!』ってもしかしたら思ってるかもしれない。
途中で生まれるって痛いー!怖いー!って動きを止めてしまうかもしれない。
そんな時に私が『おかあさ~ん!』じゃねぇよ!!!!
おかあさ~ん!!って呼ばれて応えるのはお前や!!
おチビの存在を体を通して感じて、自分の体の産む力を感じて、信じて産むんだよ!
何そんな瞬間に子供という立ち位置になることを考えているんだ!
アホかー!!!!!
※自分に対するやさぐれ妊婦の言葉なのでかなりきつめ表現です(笑)
やさぐれ妊婦が自分に呆れてだせぇと思って、おチビと体の声に集中するためにも『立ち会いは必要ない』と心に決めた時、またイザナミのおばあちゃんはニヤリとした。
どうやらこの決断は私にとってとても大事で必要なことだったみたい。
イザナミのおばあちゃんは私の決断にいたく満足したようだ(笑)
バースプラン。
それはやさぐれ妊婦がやさぐれ母になるバースプランて意味もあったかもしれない。
やさぐれ妊婦のお産予定日まで1ヶ月半もないそんな時だった。
(ちなみにバースプランには体育会系のノリは苦手ですと、褒められて伸びるタイプですと2回ほど書いた。)