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やさぐれ妊婦の毎日

摩訶不思議な生命システム

基本的にみのりんは出産も子育ても希望してはいなかった。
だからこそ、最初はいきなり突き付けられた『妊娠』の事実に思いっきりぶん殴られた訳だけど。

自分の人生や感情の棚卸しがそこで始まって、自分がどんな世界に生きていて、選択しようとしていたのかが分かった。

その他には実はちょっと気がかりなこともあった。

あの世の生命システムがどういう仕組みなのか分からないけれど、体調の変化によって産婦人科に行く前(妊娠していると知る前)、可能性はあるとしてたつみのりでお腹に人がいるのか2人でそれぞれみたことがある。

人の生死について普段はやったりしないけれど、自分に対して自己責任でたっつんは上の人に聞いて、みのりんはペンデュラムでそれぞれみてみた。
結果は『いない』ってことだった。
(ここでちょっと安心したのも事実。)

でも実際にはお腹には人がいた。
見えない世界と物理の世界は必ずしも連動しない。
肉体はお腹の中で用意されてはいるが、まだ魂はそこにはいないということかもしれない。

落ち着いてから色々とお腹の人と話すようになると、お腹辺りから声がするとき、頭の後ろの方とか上の方とか声の出所がまだ毎回違う(笑)

9週目になった時に初めて分かるくらい気配も何もなかったのも驚いた。
もうちょっと分かりやすいと思っていたから。
お腹に子供がいる時は見えない世界にも繋がりやすくなってリーディング力が冴えるとも聞いたけれど、そんな体感もなかった(笑)

そしてどのタイミングでお腹の中に入ったのかはっきりとしたことが分からない。

担当の先生も『生理のタイミングとずれてるんだよな、考えられるとしたらたぶんこの時…』なんて感じだし、当のたつみのり達もはっきり分からなかったけど、お腹に人がいるというのは事実。
事実を事実のまま受け入れた。

更に…お腹の人は『6ヶ月目くらいで1度帰るか帰らないか決めようと思ってるの』と話していたりする。
きっと私のお腹の人はそういうつもりで、他の子達は他の子達の考えや希望・その時の事情があるんだろうけど、それを聞いた時は『あ、こちらに主導権や決定権はないな』と感じた。

この言葉を聞いた時、私は『いいよ、どちらでも自分の好きな方にしたらいい』と伝えられるくらいに落ち着いていた。
生まれたなら誰であってもこの世界で生き抜くしかないのだから。

個人的に生まれる前くらいタイミングは好きなようにすればいいと思う。
きっとお腹の人は私といい感じに息を合わせて好きなタイミングで好きな大きさで来るだろうから。

不思議な不思議な生命システム。
実際のところ、謎だらけだった。

それでも結局のところは…。

お腹の中には人が入っているのだから、どんな形でも最終的には外に出る。
そう、どんな形でも。

自分で出来ることはこなしつつ、私はそれを受け入れるしかない。
そう言った意味では受け入れる気持ちはあった。

んでも、お産は嫌だわ。
みのりんは謎だった。
なぜこんなにも過酷なのか。
うん…こればっかりは本当に分からない。
そう呟くみのりんにたっつんはしみじみと。

『お産の不思議だね。』と、言った。
彼は連日お産が軽くなるグッズやお産が軽くすんだ人の手記やブログを漁ってみのりんの意識をそっちにフォーカスするように促してくれる。

痛みや苦しみ…体への並々ならぬ負担や社会的な負担、金銭的な負担までずらっと並べられた負担を負ってするお産。
きっと、ほんとはそんな負担に比べられない程の何かが生命の誕生にはあるんだと思う。

そして、私は『お産が嫌だ。』と言う度に祖母や母に窘められた。
お腹の子供が聞いてたらどうするの!と。
その時にみのりんははっきり伝えた。
『お腹の子に対する気持ちとお産が嫌だって気持ちは別物。一緒くたに考えないで。』と。

嫌に決まってるだろー!(笑)
人生で1番の痛みだとか、今まで経験したことのない痛さと辛さだとか。
それこそ我を忘れて取り乱すくらいのものをこれから経験すると言われるのに怖くないわけないし、嫌じゃないわけない。

その自分の気持ちをお腹の子に対する気持ちと一緒にしてもらっては困る。
その2つの気持ちをごっちゃにしながらお産に臨む本人だってきっと辛い人は辛いと思う。

私があまり人に伝えなかったのも、受け取れる言葉に制限があるのも色んな自分の気持ちを何より感じて大事にしようと決めたからというのもある。

そんなみのりんが1番に思ったこと。
もし人間を創造したという神とやらに出会ったら『なぜこんなお産システムにしたのか!』と糾弾したいと思う( ・`д・´)←

※実際は人のお産システム(肉体面)については神の領域ではない気がするので、ただどうしようもないことに文句を言いたいだけだ(笑)

二人羽織かな???

イザナミのおばあちゃんはうちにやってきてからずーっとみのりんを懐に抱いて動かない。
これは…抱卵している鳥さんかな?
それとも二人羽織かな?

端から見たらそんな感じ。

数多の神々を産み、最後はお産が原因で命を落とした女神。
彼女がどんな想いで私を抱き締めているのか。
本人の気持ちはイザナミのおばあちゃんにしか分からないけれど。

きっと私だけじゃなくて、お腹に命を抱く全ての人を、母になろうとしている全ての人を、イザナミのおばあちゃんは抱えているのだろうと思う。
黄泉の国の神ともなったと伝えられるけど。

きっと彼女は命の女神でもあるし、全ての母なる存在の母なのだと私は感じる。
(そして追っ払われたイザナギのおじいちゃんは壁の後ろからそっと見ていた。)





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