どんどん見えてくる知らない自分
お腹が光っていたらしいみのりん
実家に帰ってきた時に妹がみのりんのお腹を見たときに実は気付いていたことがあるらしい。
『お姉ちゃんのお腹光ってたんだよねぇ。だから、いるとは思ってたんだ。そんなこと簡単には言えなかったけど。』
な、なにぃ!?
お腹光っていた!?
『竹取り物語の竹じゃん。』
『だからw』
どうやら見る人が見たら、そんな神々しいことになっていたらしいよ。
もしかしてお腹の人は月人かもしれない(それはない)
始まる過去の清算
実はたっつんと結婚してすぐの頃は周りから勝手に妊娠を望まれていてそれがすんごくしんどかった。
誤解がないように言うと家族や義実家の方々は一切みのりんにはそういう類いの話をしたことはない。
その時にお付き合いがあった人のその中でも極々一部の人のことだ。
それでもすごく辛くて苦しくて、その時もちょっと荒れたかもしれない。
他人に勝手な期待をして盛り上がらんでくれってすごくしんどかった。
別に今はそんなに気にしてはないけど、それからしばらく経った後に『自然な成り行きで妊娠したら、その時は受け入れられる自分になっているのかな?』と思うようにして落ち着いた。
それから約2年…。
結果は妊娠発覚した帰りの車の中で既にマタニティブルーだったけど!(笑)
それだけみのりんの中で妊娠・出産・子育てに関しての過去の嫌な経験や体験からのマイナスイメージが蓄積してらしい。
子育てに関しては子育てや家庭のことで苦労した母のことや子供が三人欲しいと言って叶えてくれた母がいるのに仕事ばっかりで子育てや家庭を疎かにしてた父のことを思い出し、巷に溢れる子育てへのネガティブな現実に出来れば避けたいライフイベント上位にいつも食い込んでいたし。
子供の相手は厄介でめんどくさい。
男の子は凶暴で泣くと暴れてめんどくさいし、女の子は口ごたえばかりでやっぱりめんどくさい。
教育に関しても自分が受けた教師からの仕打ちや言動をしっかりと覚えていて、基本的に教育機関や教師に対しての不信感と恨みがあった。
そんな生まれ育った場所や、生まれ育った場所に程近い場所での経験や体験がまさしく自分が生まれ育った山形で思い起こされてくる。
何よりこんなに体の変化に戸惑って、どんどん判断を迫られて、それも待ってはくれないし、壮絶な痛みを経験することになるのはなんで女だけなのか。
ちっくしょー!たっつんはずるい!!!
まぁ、出てくる出てくる(笑)
一気に噴き出してくる様々な記憶や経験からの感情にみのりんは荒れに荒れまくった。
そして、たっつんは全部そんなみのりんの感情を受けきった。
どんどん感情の深いところに潜っていく。
私ってどんな世界にいるんだろう?がそれで分かるから。
私はこの時…心の根底に自分が妊娠して子供を産み、育てることで自分や誰かを不幸にするという想いがあった。
今までそういう風にしか思えない世界が在ったから。
頭では違うと分かっていても、私は妊娠して子供を産めば自分は不幸になって、子供や周囲の人は不幸になるという世界を信じて選択していた。
だって私(子供)がいなかったらきっと母は苦労しなかったし、父を嫌って幻滅することもなかっただろうから。
泣きつかれて泣きつかれて嫌になってきた時に自分がいる世界が見えてきた。
自分の心を掬う(救う)
それはもう感情が出尽くしたんじゃないかと思えるくらいに涙が乾いて顔がかぴかぴになった頃だ。
やっと頭が働き出す。
実際はどうだろうと考える。
母の子育てのやり方も父の子育ての態度も私は好きじゃなかった。
けど、母の人生や父の人生に想いを馳せたら、好きではないけれど理解は出来るし、2人の子供だったからその恩恵は1番に長子である自分が受け取れたのも分かる。
子育てはみのりんはたっつんと2人でしていく。
12月にあっさり手放してくれた会社には感謝してる。
あの会社にいたらきっとたっつんと2人で妊娠の時を過ごして、子育てしていくなんて状況は絶対に無かった。
実際、たっつんはあれからずーっとみのりんの傍にいた。
子供へのネガティブな記憶もお腹の人とは全く関係ない。
思い起こせば子供へのネガティブな記憶はお店の店員をしていた時に親御さんに連れて来られた子供がお店でした困った行為や、母の子育てに腹を立ててくちごたえや反抗をした自分そのものの記憶だった。
そもそも正直言ってお店とお客さん(とその子供)の距離感が自分と合ってないお店にいた時の記憶だったし、良くしてくれた親御さんは良くしてくれた。
教育のことだってたつみのりは土地にも人にも縛られない。
そんな世界をこれからも生きていく。
何もかもが自分の記憶や体験とは違った世界を選んでいく。
母も私も不幸じゃない。
お産の痛みに関しては…。
全力で軽くするように努力する。
やさぐれ妊婦は決意した。
私は私の世界を選択する。
自分の過去の体験や経験からの不幸になる未来を選択していたことを認めて、改めて選択するのをやめる。
私は幸せになる。
仕事に関しても自分で調整しながら出来る。
安心できる実家で過ごせる。
いい産院もいい先生とも出会えた。
お金の心配も当面はない。
お腹の人にポリープの存在も教えてもらった。
つわりもなくて、妊娠の経過も今のところ何の問題もない。
たくさんの自分の気持ちと向き合えて、たくさん自分に大丈夫を送った。
なんて完璧な流れの中で守られてるんだろう。
『よーし!つるすっぽん!お産を目指そう。
その方がお互いに楽だから!』
お腹をつんつんしてそう言うと初めて『やー!』とお腹から聞こえてきた。
どうやらお腹の人はつんつんは嫌らしかった。
こうしてマタニティブルーからの過去の清算に続く涙と泣きすぎて鼻血を垂れ流していた日々を越えてみのりんはやっとこさ自分の心を自分で掬い上げた。
(そうだ。お前は幸せになる。)
イザナミのおばあちゃんの声がまた聞こえる。