男社会。

 人事が交替しても、年が変わるといっても、わが国の体質である以上、差別主義者は新しく出てくる。国会議員は選良でなければならない、今こそその必要性を強く認識するが、どうもそうではなく、国民は最低でもこの認識を持たないと国が亡ぶ可能性が高い。
 国会議員といっても、所属する政党によって異なる。自由民主党は伝統的であるが、戦前からの右翼体質を受け継いでいるので、どうしても差別主義の傾向が潜んでいる。しかし、それ以上に差別主義を信条とする日本会議や旧統一教会などの団体が支持母体になっていることにも問題がある。
 自民党議員380名のうち、300名近くが日本会議を支持し、180名が統一教会と関係があった。しかも、党の有力者で大幹部の安倍元首相は両者に関係し、広告塔の役割を担っていた。これだけでも、自民党の諸氏はかなり世間から浮いた存在である。
 22年7月8日の安部氏銃撃事件でパンドラの箱が開き、統一教会問題が噴出した。これを契機に閣僚の不祥事が相次いで明らかになり、前例のない5人の辞任ドミノが起きた。しかも、これによって巨大派閥の安倍派を排除できるチャンスがあったにも関わらず、今のところその動きは見られない。
 反知性と最大派閥の横暴の旗を振りかざし、群れて恫喝する安倍派は有害であり、多くの人びとは内心苦々しく思ってきた。これを一掃するために岸田氏の登場を歓迎したが、それも裏切られている。
 5件の辞任ドミノの中で差別発言に関わるものは、「死刑のはんこを押す地味な役職」と暴言を連発した葉梨法務大臣、「わが国には女性差別というのは存在しない」と公言してきた総務政務官の杉田議員で、本来は役職だけではなく、国の品位を傷つけた理由から議員辞任に該当する。 杉田氏の発言は正しく女性差別そのものである。
 政治家は政治思想を持つのは必要で、これは自分の政治的な信条や公約として掲げるのは一向に構わないが、幼稚な手段で特定の個人や団体を血祭りに上げるのはパワーハラスメントと言える。
 岸田氏は杉田氏に能力があるというが、これまでの彼女の言動を見れば、そもそも人間としての能力に欠けている点は明白で、政務官などに任命してはならないのは常識である。岸田氏の任命責任は重く、総理大臣の自覚があれば、自ら辞任をしなければならない。
 とにかく、杉田氏は自民党を代表し、差別発言を繰り返し、高市経済安全保障担当相は防衛費倍増論を打ち出し、男社会に奉仕している。両氏とも熱烈な支援者がいると言うが、日本会議や統一教会の趣旨に賛同する者だろう。

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