33年ぶりの平均株価の高値。

 株価が高くなるというのは、経済が活性化している、普通はそう考える。株価が上昇するのは高くなるのは、投資家が株式市場にお金を流し込んでいるだけで、実体経済とは関係がない。
 2023年5月17日に日経平均株価が1年8か月ぶりに3万円台を回復したというニュースを聞いても、全く興味がなかった。なぜなら、まだ証券会社が「株屋」と言われた時代に生まれた私は、株式投資は賭け事と同じだと考えている。
 日経平均株価は東京証券取引所に上場している225社の株式の平均価格を示す指数である。この指数はわが国の経済の動向を反映する重要な指標として知られるが、そもそもこの話自体がおかしい。
 私の人生の経験から言っても、株価が上がっても下がっても、サラリーマンの私の生活には何の影響もない。それどころか、この30年間わが国の経済と産業は低迷しているのに、そこへコロナショックで経済はマイナス成長を連発して、さらに元気を失った。
 そういった状況でも、なぜ株価は高値が状態が続くのか、あるいは高くなるのか不思議である。株価の高騰は病気で倒れている人に「元気だね」と言っているようなものではないだろうか。
 実は私は供給と需要の関係は大雑把に知っていても、株式投資について何も知らなく、むろん売買の経験はない。株価は経済活動や企業の営業成績とは無関係に、色々な事件や出来事で揺れ動くと聞いて、びっくりする。真に不思議な現象で、個人投資家は大型株主の動きについていけず、株高に出遅れてしまうことがしばしばある。
 わが国のごく一部の富裕層に限られる個人投資家が持つ株式の割合は、外国人投資家の半分程度の約15%に過ぎない。このため株式を持っていても、相場の実感が分からないという声がある。
 平均株価は4月中旬から上昇し、先週末からは快進撃で、5月19日の終値は3万8088円と33年ぶりの高値をつけた。この理由は円安傾向による外国人投資家の積極的な投資と、広島G7首脳会議開催の影響によると証券アナリストや経済評論家はコメントした。平成バブル崩壊後の最高値を付けたと言われても、猫に小判という感じである。
 わが国の株式市場は、異次元の金融緩和と官製操作によって10年近く支えられてきた。
年金積立金や日銀が大量に株式を買い入れ、政府が多くの企業の筆頭株主となった。これに加えて円安の影響もあって、海外投資家の日本株への関心が高まった。
 わが国の株式市場における外国人投資家の動向は、日経平均株価に大きな影響を与える。彼らが日本株を買う理由は、他の国の株式市場よりも安く魅力的だからで、外国人投資家は、日本株市場において無敵の存在感を示す。23年4月には買い越し額が1兆円を超えるなど日経平均株価の暴走に大きく貢献した。
 世界は金融危機や景気減速に怯えており、銀行が倒産する可能性もある。そんな時に海外から日本へ期待感を寄せられて、最悪状態でも強気で上昇する日本株はあり得ない。物価が上昇して、経済成長や業績が向上するとは考えられない。

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